まんが家、手の汗で原稿が湿る怖さ【御手洗直子のコマダム日記】
まんが家で2児の母のメジャーなのかメジャーでないのかわからない悩みとは?一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。「つっこみが止まらないコマダム日記」#45
手汗でタッチバッドを壊す族の悩み
身体的なコンプレックス。というほどでもないが、自身の体質でめんどくさい事柄として多汗症というのがある。といっても正式に診断を受けたことはなく、『なんか人より余計に汗をかいている気がする』という程度なのだが、なんか人より余計に汗をかいている気がするのである。
めちゃくちゃ困るのが手の平と足の裏なのだが、この悩みがどの程度一般的なのだろうかとツイッターでアンケートをとったら6割以上の人がこの悩みと無縁なようで驚いた。マジで?!悩みというか、物心ついたときからずっとそうなので「飛べなくて不便だけどしょうがないよね。みんなそうだし。」という感じの気持ちでいたのだが、みんなそうではないらしい。飛べるの?マジで…?
具体的に何がめんどうかというと、誰かと手をつなぐと手がビチャビチャになるし、字や絵を書いていると紙が濡れるし、タッチバッドが反応しなかったり壊れたりする。紙まではまだしもタッチバッドの話をすると「そんなバカな!」という反応をされることがあるのだが、ツイッターのアンケートでも少なくとも人類の2%くらいはいる!(個人調べ)いた!ヤッターーー!ほら!うそじゃなかった!ラピュタは本当にあったんだ!(混乱中)ちなみに指紋認証が使えない。お高い携帯を買ったというのに指紋認証システムが使えないのである。OH…世界は6割以上の人のために回っているのだ。
そんな体質のくせに漫画を描くのが趣味だったため学生時代は苦労をした。学生ならまずノートをとるのに苦労しただろうがそれより漫画で苦労した思い出の方が強いのだが苦労した。手袋をはめたくらいでは手袋ごとベチャベチャになるので手にティッシュを巻いてテープで止めてその上に手袋をして漫画を描いていた。とてもめんどくさい。めんどくさいあるあるだと思っていたのにそうではなかった衝撃である。水性のインクでペン入れするとにじんでしまうので耐水性のドローイングゾルなどで漫画を描いていた。そう…墨汁などの粘度の低いインクで繊細な絵が描きたかったが多汗症ゆえ粘度の高いインクで絵を描くことにより、私の絵はごん太ペンタッチの繊細とは程遠い絵になってしまったのだ…。己の技術の無さをインクにする。インクも漫画チンピラにこんな因縁つけられるとは思ってもいなかったであろう。
苦労話は尽きないが、文字数が尽きてきたので多汗症足裏編は次回にまわしたいと思います。長年の不便をコラムで成仏させる2020である(つづく)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko

