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【料理家・コウケンテツ】日本の家庭料理はレベルが高過ぎ!ママはもっとラクしていい!

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3人の子どものパパでもある人気料理研究家・コウケンテツさんは「1人で当たり前のように、毎日育児・家事・ごはん作りをしているママが心配」と言います。理由は、ママの自己犠牲の上でなりたっているから。コウさんが料理研究家として、そして3人の子の父親として、日本のママについて思うことを聞きました。

日本の家庭料理はレベルが高過ぎ! 仕事、子育て、家事…ママがキャパオーバーになるのは当然

根っから料理が大好きなコウさん。「公私ともに、料理を作ることが楽しみだった」と言います。しかし子どもが生まれてから、少しずつ気持ちに変化が…。

――子どもが生まれてからの、料理に対するコウさんの気持ちの変化について教えてください。

コウさん(以下敬称略) 子どもが生まれるまでは、料理家というプライドもあって、どんなに忙しくても、コンビニでお弁当を買うなんてあり得ないという感じでした。食に関しては、手を抜けないという気持ちが強かったです。
しかも子どもが生まれてからは、よりしっかり作らねば、という意識が強くなって…。
うちは妻が僕のマネージャーとして仕事をしていることもあり、二人三脚で仕事と子育てをしていますが、それでもかなり大変です。ほぼ1人で、子育て、家事、仕事…すべてをこなしている世のママたちは、想像を絶するほどの大変さだと思います。
僕の講演会などでも、ワンオペママの悩みをよく聞くのですが、そもそも日本のママは家事、子育て、仕事のほかに、子どもの幼稚園や保育園、小学校のPTA活動など、1人でこなさないといけないことが多すぎます。キャパオーバーになるのは当たり前です。

――コウさんは、世界の家庭料理を取材することも多いようですが、諸外国と比較すると日本の家庭料理って特殊なのでしょうか?

コウ 取材では、ヨーロッパやアジアを訪れることが多いのですが、ヨーロッパでは、平日はほとんどごはんを作らない家庭が多いように感じました。総菜や冷凍食品などをよく使っています。
あるママに理由を聞いてみたら「家で料理ばっかり作っていたら、私のサンシャインが輝かないじゃない! 私が輝いてこそ、家族が輝くのよ」と言われ、日本との文化の違いを痛感しました。
またアジアは、家族全員が家のことをやっている印象です。子どもも手伝います。
しかし日本では、ママ1人で料理をすることが多いですよね。しかも昨日はハンバーグ、今日は肉じゃが、明日は餃子など、和洋中のメニューが並びワールドワイド! 諸外国と比較すると、日本の家庭料理は彩りや品数にこだわったり、栄養バランスを考えたりしてレベルが高すぎます。

“やって欲しいこと”をパパに求めるより“やめて欲しいこと”を伝えたほうが効率的

ママの負担を減らすというと“パパに協力をしてもらう”ことが最善のように思いがちですが、コウさんは「逆効果になることもある」と言います。
そこでコウさん夫婦が実践しているのが、“やめて欲しいこと・気になること”を伝え合うことです。

――ママたちの負担を減らすために、コウさん流のアイデアを教えてください。

コウ うちでやっているのは、夫婦で“やめて欲しいこと・気になること”を話し合う時間を、5分でもいいので作ることです。第1子が生まれる前に妻の提案で始めました。これがとてもよかったです。
僕の場合は、妻に「手を洗った後、高い位置で手を振って水を切らないで! 水が飛ぶから」「ベッドの横に、水を飲んだコップを置きっ放しにしないで欲しい」「洗濯物を取り込んでくれるのはうれしいけど、畳むのは私がやるからいいよ」などと言われました。
どれも自分ではあまり意識したことがなかったことなので、妻に言われて初めて「それ気になっていたの?」と思うことばかりでした。

僕が妻に伝えたことは「時間にルーズだから直して」ということですね。でも、これを繰り返しているおかげで、お互いにストレスが軽減できています。
料理が苦手なパパに「たまにはごはん作り手伝って」と言うと、結局、ママの仕事が増えがちです。そのため“やめて欲しいこと・気になること”を伝えたほうが、ママにとってはいい結果が出るかもしれません。

ママ1人で、すべてをこなすと悪循環に! ノータッチパパならできることからでも 

――ひよこクラブでは、ママ1人ですべてを抱え込まず、周囲の人に協力を得る“チーム育児”を提唱していますが、イクメンのパパがいる一方で「パパが家事・子育てにノータッチ」と悩んでいるママは少なくありません。そうした悩みを解決するには、どうしたらいいでしょうか。

コウ これは1つの社会問題だと、僕は思います。日本は、まだまだ社会全体で「ママがやって当たり前」という考えがあるので、それを変えていかないと! またママが1人で何でもこなしていると、家族の間では「それが当たり前」になってしまいます。
なかには「パパに頼むと失敗して、仕事が増えるだけ」とあきらめているママもいるかも知れませんが、たとえばお皿を洗ったり、テーブルセッティングを任せたりするなど、パパにできることからお願いしてみてはどうかなと思います。それすら難しいという現状もありますが…。「食卓は家族みんなで作るもの」を合言葉に、パパもお子さんも巻き込んで、みんなで楽しく食卓を共有できれば素敵ですよね。

お話・写真提供/コウケンテツさん  取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

ママが1人で家事も子育ても頑張ったり、料理もお弁当作りもパーフェクトだったりすると、だんだん家族は“それが当たり前”と思うように。コウさんによると「家事や料理は、ママ1人で頑張りすぎると、けしていい結果は生まれない」と言います。「私、頑張りすぎているかも…」と思うママは、この機会に家事や子育てを見直してみませんか。

コウケンテツさん

Profile
料理研究家。旬の素材を活かした手軽でおいしい家庭料理を提案し、テレビや雑誌、講演会など多方面で活躍。YouTube公式チャンネル「Koh Kentetsu Kitchen」も人気。プライベートでは10歳、8歳、3歳の3児のパパ。

「本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ」(ぴあ刊)

「おうちごはん」作りがしんどいと感じている人に寄り添う内容のコウケンテツさんの初エッセイ本。やさしいアドバイスと、気持ちをラクにするアイデアがいっぱいです。

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