ゴミ清掃員のパパを尊敬!芸人マシンガンズ滝沢の妻・友紀さん聞く【後編】
お笑い芸人でありゴミ清掃員としての顔も持つ、お笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さん。そんなマシンガンズ・滝沢さんの二足のわらじ生活を支え続けているのが、妻の滝沢友紀さんです。最近は夫のゴミ清掃員での体験を友紀さんがわかりやすく漫画にした著書「ゴミ清掃員の日常」が話題になっています。
インタビューの前編では、友紀さんが初めて漫画を描くことになり奮闘したエピソードや、1人目の壮絶な出産体験、2人目出産後の産後うつについて話をお聞きしました。後編では、夫婦2人の性格や、ゴミと暮らしにまつわるエピソードを紹介します。
プロフィール /滝沢友紀
お笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さんの妻であり、7歳の息子と4歳の娘の母。お笑い芸人とゴミ収集員の二足のわらじで活動する夫・秀一さんの、ゴミ収集員としての体験を綴った漫画「ゴミ清掃員の日常」「ゴミ清掃員の日常 ミライ編」の漫画制作を担当している。
性格は違うけれど、価値観が近い2人
――夫・マシンガンズ滝沢さんの性格と、友紀さんの性格を教えてください!
「夫の性格は真面目、マイペース、コツコツ派ですね。
私は全然コツコツ派じゃないです。夫には『猪突猛進型でやりたいと思ったらガーっとやるタイプだね』と言われますが、そのぶん飽きやすくもあります。
夫は片付いてないのは嫌だけど床のほこりやゴミは気にしない。
私は逆で多少散らかっいても気にしないけれど、床や布団のほこりや髪の毛は嫌。
夫はマイペースなので子どもたちの準備などでバタバタしていても、ひとり本を読み続けていたり腹筋をやり続けたりします。
それで時々イラっとすることもありますが(笑)、私がなにかで怒ったり焦ったり落ち込んだりしても引きずられることがないので助かります。私が先を考えて心配しても『まぁそうなったら考えればいいんじゃない?』と心を軽くしてくれるところも助かっています」
2人の入籍日は5月30日「ゴミゼロ」の日だった!
「だれかのことを悪く言ったり愚痴ったりすることもないですね。インドアなところも合っていると思います。お互い、旅行などどこかに出かけなくても全然平気なので楽です。
今までいろいろな方に助けられてきたので『ありがたいね』というセリフがよく出るのも共通点で、返事は2人とも『ほんとにそうだねぇ』としみじみ答えます」
夫がゴミ清掃員になって目の当たりにした“食品ロス”の現状
――夫がゴミ清掃員になってからのゴミへの意識・暮らしに変化はありましたか?
「まずはゴミの分別に詳しくなったので、自然と夫がゴミ出しの担当になりました。当時子どもも小さかったのでかなり助かりました。
今ではゴミ袋の中をチェックして、洗えばプラスチックに出せる物や雑紙が入ってないか見てくれているので、おかげで可燃ゴミが減りました。
ネット通販を利用するとどうしてもダンボールが増えるのですが、それもやってくれます。ちゃんと清掃員さんが取り扱いしやすいようにまとめています。
夫が特に胸を痛めているのが食品ロスです。
家でもこまめに冷蔵庫チェックをして『これ明日までに食べてね』と教えてくれたり『この食材は子どもが残しやすいから今は買うのをやめてみたら?』とアドバイスをくれます」
もったいない!食べ物のゴミの多さにがく然
「そのため、率先して残り物を食べてくれるので頭が下がります。生ごみもこれでもかというくらい水けをしぼって出しています。
ゴミ清掃員をはじめる前は私の方が分別にくわしかったですし、食品チェックなんてしたことがなかったのでだいぶ変わりました。分別がむずかしい物はすぐに聞けるので便利です(笑)」
食器洗い・自分の作業着の洗濯は夫が担当
――夫・マシンガンズ滝沢さんは自分のお弁当を自ら作っているそうですが、そのほかにも夫が担当している家事はありますか?
マシンガンズ滝沢さん特製、ゼロ円弁当!
「食器洗い、お米炊きを率先してやってくれます。食器洗いは私が一番嫌いな家事なので助かっています。トイレそうじやお風呂そうじ、子どもの宿題をみるなどもできるときはやってくれますね。
ゴミ清掃員をはじめた当時、小さい子どもの衣類とゴミ清掃服を一緒に洗うことができないので、夫が自分のものは自分で洗いそのまま今でも洗ってくれています。
掃除機がけやごはん作り、子どもたちの準備や保育園や学校のことは私が全部やっています。夫は子どもたちをお風呂にも入れるのもやりたいようなのですが、下の娘がなんでも『ママがいい』なのでそこも私が多いですね」
父の背中を見て育った子どもたち。仕事は“2つ”が当たり前?!
――お父さんの仕事に対して、子どもたちの反応はどうですか?
「子どもたちは2人とも仕事は2つやるものだと思っています(笑)。
小2の息子はお笑いの方にはそんなに興味を示さないのですが、ゴミ清掃の方は『パパはずっと走って仕事していてすごい。おれは疲れるから無理だなー』と言っています。
息子くんの将来の夢はパパみたいな「ゴミの人」!
「4歳の娘はパパがテレビに出ているとうれしそうに見ています。その姿を見て夫もうれしそうにしています。パパの漫才を真似したりもします。以前お笑いバトルでマシンガンズが負けたのを見て大泣きしていました。
また、家にロケが入ると子どもたちは遊び感覚でとてもうれしそうですが、自分の出番がないとつまらなそうです。会社勤めの親がいないので、子どもたちの中で“仕事”というものがどのようにうつっているのか謎ですね」
育児に家事に仕事…夫婦で協力してもやっぱりハード!
――漫画家・仕事・家事・育児はどのように日々こなしていますか?
「漫画や仕事はなるべく子どもたちが保育園や学校・学童に行っている間にすませようといつも計画を立てているのですが、なかなか進まず夜間や休日を使うこともあります。
平日夜は寝かしつけてから、休日は夫が子どもと遊んでいる時間を使います。できないときもありますが、平日夕方~寝かしつけるまでと休日は子どもとの時間、それ以外は仕事としっかり分けたいですね。いまは小学校のPTA役員もやっているので、集中して仕事をできるようにしたいと思っています。
漫画については『ここの部分は一人のときにしっかりとやる』『夜や休日でもできる部分』『移動時間でもできる部分』に分けて進めるようにしています。ここにたどりつくまでは2年もかかってしまいましたが(汗)。
家事に関しては時短メニューにしたり、夫と2人で協力しながらなんとかこなしています。そうじは土曜日一気にやることが多いですね。全然完璧ではなく、手抜きばかりです」
――最後に、友紀さんからたまひよの読者のみなさんに伝えたいことはありますか?
「全国のお母さん、毎日本当にお疲れ様です。とにかく無理をしないでくださいね。
私も子どもに対してキーーッとなることもありますが、生まれてすぐ呼吸が止まった息子が今元気にしていること、半年施設にいた娘が今そばにいること。これを思うとこの日々がいかにありがたく愛しい日々なんだと思い返すことができます。こうして生きていることで十分幸せなんだと。へなちょこな私でもなんとかここまでくることができました。
子どもが小さいころは特に余裕が持てないことも多いですが、どんどん手を抜いて頼れるところには頼って自分が楽しくなる時間を少しでも多く持てることを願います」
「ゴミ清掃員の日常」発売中!
夫がゴミ清掃員になって知ったこと・出産して体験したことのありのままをたくさん話してくれた友紀さん。インタビューの言葉の端々からは「ゴミの分別や環境問題、産後うつのことをもっと多くの人に広めたい」という友紀さんの願いがたくさん伝わってきました。
夫婦2人で作り上げた漫画は、おもしろいうえにゴミの勉強もできて、自分がどう生きるかという深いところまで考えさせられるような内容になっています。できるならば家族全員で最後までしっかり読んでほしい……!! 読めばためになること間違いなしなので、気になった人はぜひお手に取ってみてくださいね。(文・清川優美)