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キャッシュレス時代、子どもの「お金の教育」どうすればいい?【専門家】

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ファミリー 82
写真はイメージです
Iam Anupong/gettyimages

将来、子どもが金銭的に苦労しないためには、幼少時から「お金の教育」をすることが大切です。家庭で、どのようにお金とのつき合い方を伝えたらいいのでしょうか。教え始めるタイミングや、家庭で取り組む内容について、ファイナンシャルプランナーの高山一恵先生に聞きました。

キャッシュレス化が進む今、お金の教育はさらに重要に

キャッシュレスが進む今の時代は、現金を使う機会が減っています。カードを使うことに慣れてしまうと、子どもたちの金銭感覚をはぐくむのが難しくなりがちです。そのため、これまで以上に子どもへのお金の教育が大事になっているといいます。

「今は急速にキャッシュレス化が進み、現金を使う機会が減っています。そのため、子どもたちは『買い物をしたらお金が減る』という当たり前の感覚が得にくくなっています。
将来、きちんとお金のやりくりをできるようになるためには、小さなうちからしっかりと金銭感覚を身につけさせることが大切です」(高山先生)

お金の教育で、まず子どものお手本になるのはママとパパ

これまでたくさんの家計相談に乗ってきた高山先生。そのなかで実感しているのは、親の金銭感覚の大切さだといいます。

「お金とのつき合い方は、学校では教えてくれません。だからほとんどの人は、自分の親の金銭感覚を受け継ぐことに。親が堅実だと、自然と子どもも堅実な考え方を身につけます。逆に浪費家の親だと、子どももムダ遣いが多くなる傾向にあります。子どもが小さければ小さいほど、親の考え方に影響を受けやすいので、ママやパパのお金に対する考え方は、とても重要になってきます」(高山先生)

大切なのは、日常のなかで金銭感覚を養うことです。

「最近は、幼児期からのお金の教育が注目されていて、3歳くらいから使えるドリルなども発売されています。でも頭で理解していても、実際に活用できなくては意味がありません。お金とのつき合い方は、普段の生活のなかで感覚的に覚えることが大切です」(高山先生)

子どもの金銭感覚を養うために、普段の生活で心がけ、実践するといいのは以下の3点です。
【1】3歳くらいから少しずつお金のしくみを教える
【2】買い物に一緒に行く
【3】7歳くらいになったら、おこづかいをあげ、使い道を考える

この3つについて、それぞれ解説します。

【1】3歳くらいから少しずつお金のしくみを教える

ママやパパがクレジットカードやキャッシュレス決済で買い物をしていると、現金でのやり取りを目にしないため、『お金は自然とわき出てくるもの』という感覚を抱く子どももいるといいます。

「大人でも、クレジットカードを使って買い物をすると、現金のときより約20%増しになるという統計もあります。
だから、子どもには『お金を得られるのは、ママやパパが働いているからだよ』とか、『お金は無限にあるものではなく、決まった予算のなかでやりくりするものだよ』ということを、説明してあげましょう。
こうした理屈をきちんと理解できるようになるのが、5歳くらいからといわれています。でも、3歳くらいから少しずつでも伝えていくと、お金が身近になっていくはずです」(高山先生)

【2】買い物に一緒に行く

お金のしくみがまだ理解できない3歳くらいのうちでも、実際に買い物をしているところを見せることが大切です。

「一緒に買い物に行くだけでも、お金が身近な存在になります。『今日はにんじんが安いから買おう』『お肉が高いから、お魚にしようか』など話しながら買い物する姿を見せると、自然と、物の適正価格がわかるようになります。また、限られた予算のなかでやりくりすることも覚えられます」(高山先生)

【3】7歳くらいになったら、おこづかいをあげる

実際におこづかいをあげるのもお金の教育の一環になります。

「7歳くらい(小学校に入学したら)になったら、おこづかいをあげましょう。そのとき、すぐに全部使ってしまうのではなく、子ども自身に使い道を考えてもらうようにしましょう。今すぐほしいもの、じっくり貯金して手に入れたいもの、などと予算分けできるようになると、大人になってもお金の使い方が上手になります。気をつけたいのは、親が使い道をコントロールしすぎないこと。子どもの自主性が育たなくなってしまいます」(高山先生)

おこづかいは定額制? お手伝いの報酬制? それぞれのメリット・デメリットは?

実際におこづかいをあげる際、気になるのは、どのようにあげたらいいかです。

「おこづかいは、月にいくらと定額をあげる方法と、お手伝いをしたら1回いくらという報酬制にする方法があると思います。
定額制のメリットは、ママやパパも管理しやすいこと。子どもも、決まった予算のなかでやりくりする方法を身につけやすいです。デメリットとしては、何もしなくても決まった金額をもらえるので、労働の対価として報酬がもらえるという感覚ははぐくみにくくなります。
一方、お手伝いに対する報酬制は、子どものモチベーションを上げやすくなります。けれど、こちらのデメリットは、報酬をもらえないとお手伝いしなくなりがちということです」(高山先生)

定額制と報酬制、どちらにもいい面と悪い面があります。どちらにするかは、子どもの個性や、ママやパパで相談をしてやりやすいほうを選んでいいそうです。

「基本的には定額制としても、たまにはお手伝いしたらおこづかいをもらえるボーナス期間を設定するなど、両方を取り入れる工夫をしてもいいですね。子どもに合った形で提供してあげましょう」(高山先生)

子どもと一緒に勉強するつもりで、ママやパパも金銭感覚を養って

「もし、ママやパパに『自分は浪費家だ』という自覚がある場合は、子どもと一緒に勉強するつもりで、自らの金銭感覚を養っていきましょう。子ども向けのドリルなどは、家計管理の基礎となる部分を教えてくれます。また、将来子どもが投資をするかどうかも、ママやパパの考え方が大きく影響します。今は、投資の知識は、資産を増やすために必要なものです。ママやパパが積極的に勉強する姿勢を見せることで、子どもも関心を抱くようになるでしょう」(高山先生)

ママやパパが勉強する姿勢を見せることで、子どもも多くのことを学ぶに違いありません。

お話・監修/高山一恵先生 取材・文/齋田多恵、ひよこクラブ編集部

日本では、まだ「お金のことを話すのははしたない」という感覚があるようです。そのため、家庭のなかでもあまりお金について話題に出す機会は少ないかもしれません。
でも、お金はとても大切なものです。普段から、親子できちんと話し合うことそのものがお金の教育につながっていくでしょう。

高山 一恵先生(たかやまかずえ)

Profile
ファイナンシャルプランナー。2015年に株式会社Money&Youの取締役へ就任。女性FPと女性をつなぐマッチングサイト「FP Cafe」の事業に注力している。FPとして活動をして以来、女性にこそお金の知識が必要不可欠だと思い、講演、執筆、個人マネー相談等さまざまなチャネルを通して、「女性」にお金の知識を伝えるべく精力的に活動を展開している。

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