「コロナ禍で働きたくても働けない…」キャリアの専門家が考える、今しておくといいコト2つ
今年はコロナの影響で雇い止めや出勤数の削減など、様々な業界で収入の目減りが起きています。そうした背景の中、新たに職探しを検討している人も多いようですが、先行きの見えない状況で悩みを抱えているケースも。
口コミサイト「ウィメンズパーク」に寄せられた職探しの悩みを紹介するとともに、これまで2万人の仕事に関する悩みを支援してきたキャリアコンサルタントの上田晶美さんにアドバイスをもらいました。
コロナの影響や子どもの年齢など、子育て世代の懸念点は様々
まずは最初に、ママたちから寄せられた悩みに上田晶美さんからがワンポイントアドバイス!
パート勤務が週1に減らされて別の仕事を探すも気ばかり焦って…
「中学生の子どもがいます。去年からパートを始めましたが、コロナの影響でパートが週1勤務になってしまい、夫もテレワークや時差出勤などで残業がなくなり、収入が激減しました。今、別の仕事を探しています。甘いと言われるかもしれませんがハードな仕事はできそうになく、気持ちばかり焦っています」
上田さん「収入減は全家庭に及んでいます。大変なところですが、焦らず安定的な仕事を探しませんか?おそらく年齢も40代か、もしくはそれに近いところかと思いますので、正社員になるには最後のチャンスかもしれませんよ」
慣れたら正社員登用だったはずがコロナの影響で雇い止めに
「雇い止めを宣告されてしまいました。入社時、育児と勤務の両立ができるようになれば社員登用をという話だったのですが、コロナにより会社の業績が落ちて、ついに…。
本社なら、どうにか籍を置いてもらえるということですが、現在30分の通勤時間が1時間になります。フルタイム勤務なので、子どもより早く出て子どもより遅く帰宅することになり、パートのメリットが全く見出せません。さらに仕事内容が現在とまったく異なり、続ける意味があるのか悩んでいます。ただ、少し就活を始めてみたものの、なしのつぶて。どうすることがベストなのか、考えすぎてわからなくなってきました」
上田さん「本社へと言ってもらえるなんて、ラッキーだと思います。継続なさったほうが何倍も得な気がします。チャレンジしてみてはいかがでしょうか? 通勤や勤務時間の問題はありますが、子どもは大きくなっていくものです。
パートのほうがメリットがあるというのは時間のことだけですか? 本社に行って正社員になれれば、将来の安定が見込めます。コロナはいつか終わります。その時のことも考えてチャレンジする時かもしれません」
育児とのバランスを考えていたらアラフィフに。収入を増やすにはバイトかけもちしかない?
「子どもが一人で留守番できるようになったので、仕事を増やしたいと思っているうちに、50代になってしまいました。今のパート先で正社員の話もないし、転職も無理だろうし、単発バイトなどを増やすしか方法はないのでしょうか」
上田さん「50代になってしまったということ、このままでは正社員になる道はかなり狭そうですね。これまでの仕事に関連ある資格を取ってみる方法はありませんか? 単にバイトを増やすのはおすすめできません。また、あっという間に60代になってしまいます。ここが最後のチャンスと思って考えましょう!」
そろそろ働きたいけれど、資格その他、どんな準備をすれば?
「現在、3歳と1歳の子を育てている専業主婦です。2人目が入園する頃に、パートや派遣などでまた働きたいと考えています。それまでに資格を取りたいのですが、どのような職種がいいのか悩んでいます。
子どもが大きくなれば、いずれ正社員を目指していけるような働き方をしたいと考えています。事務などの内勤ができたらと思っていますが、パソコンスキルがないので、医療事務や簿記などの資格取得を目指そうかと思っています。未経験者では、資格を取っても難しい分野でしょうか」
上田さん「資格にチャレンジするのはよいお考えだと思います。資格を取ってから経験を積んでいかれるのがいいと思います。パソコンも並行して習得なさるとよいでしょう。地方なら公的な職業訓練校にも入りやすいと思います」
キャリアの専門家が考える「今しておくといいコト」
今回のコロナ禍で、職を失ってしまった人、収入が減ってしまった人、職探しを考えていたけどコロナの影響で頓挫している人と、様々な悩みがありました。
そもそも、2020年の社会を覆い尽くしたコロナは、仕事にどんな影響を与えたのでしょうか。キャリアコンサルタントである上田晶美さんにお聞きします。
「コロナ禍は雇用不安を広げ、特に女性の雇用を圧迫しています。全女性の25%は仕事で悩んでいるという調査もあります。では、コロナ禍はなぜ女性を直撃しているのか。
これには2つの理由があります。1つは女性は非正規雇用が多いということ、2つ目は女性の多い職種にサービス業が多いからです。サービス業、観光、飲食などはコロナ禍の被害が大きい業界ですから。
構造的な問題は長期の対策計画が必要ですが、当事者としての短期の対策としては、以下のようなことができると思います。
1 コロナ期間をインプットの時にする
2 コロナは終わるが、働き方は変わる(地方と都市部の差が縮まるなど)ということを念頭に置く」
「まず、1つ目から説明すると、コロナの今は資格取得のために勉強するといった、インプットに充てる時かもしれません。コロナが終わった後、大きく跳躍することを目指しましょう! これから、ますます女性は資格がものを言う時代になります。
初めからダメと思わず、チャレンジしてみてください。今は小さいお子さんがいる人も、子どもは徐々に成長し、育児の時間よりも教育費が気にかかるようになります。パートの残業代よりも、正社員の昇給を狙っていくほうが得策です。
次に2つ目。コロナでテレワークが進み、働き方が変わってきました。コロナが終わっても働き方の変化はそのまま残るでしょう。地方からでも都市部の仕事ができる場合もあります。そうなると、よりITリテラシーが問われます。パソコンスキルは現在必須であり、意外と文章力やデザイン力などもネット上では活かせるものです。
私なんか歳だからと諦めないでください。『今が一番若い!』と考え、諦めずにマインドセットを柔軟に変えて、今のうちに勉強して次のステップを考えましょう。どんな資格がいいのか、自分の経験を生かすにはどうしたらいいのか、といった悩みを個別に相談したい場合は、オンラインでできる仕事相談もあります。
例えば私たちは、仕事の悩みを気軽に相談できる社会を目指して、仕事の不安を抱える人と100人のキャリアカウンセラーを結ぶ『はなキャリ』をスタートさせました。
このような制度を活用して、自分の望む働き方をぜひ見つけて欲しいと思います」
子育て世代の職探しに関する悩みは雑多ですが、ママたちの悩みに対する上田さんのアドバイスを見ると、自身と子どもの年齢やスキル、居住地などによって、対策も少しずつ異なるようですね。
こんな時期だからこそできることもあるはず。アドバイスやシステムを活用して、望むものにできるだけ近い働き方に出会えますように。(取材・文/橋本真理子)
上田晶美さん
株式会社ハナマルキャリアコンサルタント総合研究所代表。日本初のキャリアコンサルタントとして28年の実績。これまで2万人に仕事のアドバイスをしてきた。2大学で非常勤講師をし、日本経済新聞夕刊、読売新聞に連載コラムを執筆中。テレビ出演多数。
現在は100人のキャリアカウンセラーが登録する「はなキャリ」を新開設しzoomなどのオンライン相談を受け付けている。二男一女の母。
http://hanamaru-souken.com
■文中のコメントは『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。