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新型コロナ、再びの一斉休園・休校をふせぐためにできること 村中璃子医師特別寄稿

緊急事態宣言でゆれる今、「このままいったら、また休園・休校?」「なんで今回は休園・休校にならないの?」など、不安に思うママ・パパのために、ドイツ在住で、WHO(世界保健機関)でパンデミック対策に携わった経験を持つ村中璃子医師に、「休園・休校」に関する2021年1月6日時点の考えを寄稿してもらいました。

保育所や学校は新型コロナを広げるのか?

3密回避・マスク・手洗い・換気――。やれることは全部やっているはずなのに、新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。冬がくれば再び感染が拡大し始めることが予測されていましたが、気候以外で春の第1波と違うことは何でしょうか。

ひとつは保育所や学校が開いていたことです。

新型コロナにかかっても子どもの症状がとても軽いことは、当初から知られていました。また、新型コロナに対する「感染しやすさ」は大人と変わないことについても、かなり早い時期から分かっていました。

ところが、子どもが新型コロナを広げるかどうか、つまり、症状が出にくい子どもが「サイレント・スプレッダー(静かに感染を広げる人)」であるかどうかについては、はっきりした答えがありませんでした。そして、この「子どもはコロナを広げるか?」という重要な問いに対するはっきりした答えは、残念ながら今でもありません。

答えがない最大の理由は、第1波ではほとんどの国が問答無用に保育所や学校の一斉閉鎖をともなう制限を実施したから。秋に再流行が始まった際、「保育所や学校は開け続ける」という決断をする国が出てくるまでは、比較対象となる一斉閉鎖しなかった場合のデータはほとんどありませんでした。

そんな中、日本小児科学会は2020年11月、「一斉休園・休校は感染拡大防止につながらない」という評価を下しています。子どもの感染は家庭内での感染が中心で、学校で感染したとみられる例や集団感染は少なく、その傾向は学校が再開されるようになってからも変わらなかったからというのが理由です。11月24日、萩生田文部科学大臣も「小中高校の一斉休校について、現時点では文科省から要請をすることは考えていない」としています。

一方、海外からは日本とは少し異なるデータもいろいろ出ています。

たとえば、わたしの暮らしているドイツでも、子どもの感染例と言えば、親や保育士、教師など大人からの感染が中心で、子どもが集団生活を行う保育所や学校が流行拡大に果たす役割は小さいとしていました。ところが、詳しく見てみると、社会全体での感染者が増えればやはり子どもの感染者は増えているし、若い人の割合が増えようが高齢者の割合が増えようが、「小学生以上の子どもとその家族の感染者」が全体の感染者に占める割合はほぼ一定しているというのです。

特に、小学校高学年以上では、家庭内で感染して学校で別の子に感染させたり学校で感染した子が家庭に感染を持ち帰ったりと、「ミツバチ」のように感染を媒介してしまうケースが後を絶たず、「学校は流行コントロールの上で決して無視できない存在だ」と評価しています。

「接触」はしても「濃厚接触」は避けるようにして

ではなぜ日本とドイツとでは異なるデータが出ているのでしょう。

ひとつは、検査体制の違いです。

ドイツでは、「ちょっと喉が痛い」と言った場合や、家族にそういう症状の人がいるというだけでも、簡単に念のための検査を自費で受けることができます。また保育所や学校に通う特定の子どもや親の集団を対象にPCR検査や抗体検査を定期的に実施し、子どもの感染についての実態をつかむための調査も行っています。

そのため、症状が出にくいために見逃されがちな子どもたちの感染について、日本よりも全体像をはっきりと把握できていいる可能性があります。

もうひとつは、保育や教育の場での対策の差です。

日本では、保育士や教師などの大人たちはもちろんのこと、子どもでも年中さんくらいからはマスクや手洗いを習慣づけるなど、保育や教育の現場でウイルスが広がりにくい体制が早くからできていました。

その点、体調が気になるときにはマスクをしたり食事の前に手を洗うなどの習慣のなかったドイツでは、つい最近まで「授業が聞き取りにくい」「子どもに息苦しいマスクをさせるのはかわいそう」などを理由に、子どもも大人もマスクをしていない学校や保育所が多くありました。そして、恐らくやれることはまだあったにもかかわらず、再ロックダウン(都市封鎖)が決まったため、12月にはクリスマス休暇を数日早める形で、学校や保育所も再び閉鎖されてしまったのです。

対策の厳しい日本でも、保育所や学校における人と人との「接触」をまったくのゼロにすることはできません。これからも時どきは感染者が出て、数日間の学級閉鎖くらいは起きるでしょう。

しかし、大切なのは、マスク・手洗い・換気などを徹底し、“「接触」はあっても「濃厚接触」はない”という状態を作ることです。

濃厚接触者の定義は、「換気の十分でない環境で、感染者とマスク無しで15分以上の会話をした人」。仮に保育所や学校で感染者が出ても、この条件に当てはまらない人は濃厚接触者にはなりません。100%は無理だとしても、「接触」はあっても「濃厚接触」はないという状態を常に心がけるようにすれば、学校を舞台とした大きなクラスター(集団感染)は起きづらく、全国一斉に保育所や学校を閉鎖しなければならないような事態はきっと避けることができるでしょう。

保育所や学校が閉じてしまった時のあの大変さと言ったら!
いい加減マスクを外したいと思う時もありますが、あともう少し。
冬休みが終わり、せっかく再開した保育所や学校がすぐまた閉じてしまうことのないよう、がんばりましょう。

村中璃子先生
PROFILE
医師・ジャーナリスト。一橋大学社会学部出身、北海道大学医学部卒。京都大学医学研究科非常勤講師。WHOの新興・再興感染症チームの勤務を経て、現在は医業の傍ら、執筆や講演活動を行っている。2017年、科学誌『ネイチャー』等主催のジョン・マドックス賞を、日本人として初めて受賞。海外メディアにもたびたび取り上げられ、世界からも注目を集める。著書に、『10万個の子宮 あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか』 (2018年、平凡社刊)。近著に『新型コロナから見えた日本の弱点~国防としての感染症~ 』(2020年、光文社新書)

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