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産後約10%が発症する産後うつ。パートナーが気づいて!いつもと違う…と思ったら【専門家】

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投稿出生うつ病に苦しんで疲れている母。
※写真はイメージです
kieferpix/gettyimages

出産後はただでさえ睡眠不足や育児不安などの大変さを抱えやすいもの。それに加えて今は、新型コロナウイルスの影響で感染リスクの不安や、人と会話できないストレスを抱えるママも少なくないでしょう。
なんとなくモヤモヤするけれどだれに相談していいかわからないことも。産後の変化に気づき、適切な支援を受けるにはどうすればいいのでしょうか。産後ケアや周産期のメンタルヘルスに詳しい東京医療保健大学の米山万里枝先生に聞きました。

コロナ禍で産後うつ傾向のある人が増えている

――出産後はだれもが産後うつになる可能性があるのでしょうか?

米山先生(以下敬称略) 産後うつは出産後の女性のうち10%前後が発症するとされています。誰でもなるわけではないので、過度に心配する必要はありません。しかし、産後は急激な身体の変化、ホルモンの影響、赤ちゃんのお世話、夜の授乳で眠れない、などいろんなことがあるので、不調になるのは普通だ、と知っておくことは大事です。

――産後うつになるきっかけはどんなことが多いのでしょうか?

米山 妊娠中に多く分泌された黄体ホルモンや卵胞(らんぽう)ホルモンが、産後に急激に減少することでホルモンのバランスが乱れます。産後数日から2週間程度のうちに、わけもなく悲しくて涙が出たり、不安を抱えたり眠れなくなったりする「マタニティブルー」といわれる症状が現れることがあります。通常は徐々に治まってきますが、思うようなサポートが得られずにストレスを感じるなどがある場合には、産後うつの症状が見られるようになることも。

また、新型コロナの感染対策のための外出自粛で気分転換ができなかったり、実家の母親や父親に会いにくくなったり、人との会話が減ってストレスがうまく解消できなかったりすることも背景にあると考えられます。

――産後うつが発症する時期はいつくらいですか?

米山 これまで、産後うつが発症する時期は個人差があるとされてきました。しかし近年の国の調査では、出産から2週間後をピークにした、およそひと月の短い期間にリスクが高まることがわかってきています。赤ちゃんが生まれた1~3週間後に症状が現れるのが一般的ですが、数カ月後や1年後に発症する場合もあります。

産後うつは自覚できない。周囲の気づきが必要

――産後うつの兆候や症状はどのようなものでしょうか?

米山 産後うつには以下のような症状が見られます。
・気分が落ち込む、気分の浮き沈みが激しくなり突然泣いてしまう 
・赤ちゃんをかわいいいと感じない
・ひどく疲れて元気がなくなる
・イライラしたり、すぐ怒ったりしやすい
・いいママではないと不安になる
・自分に価値がないと思う感情に陥る
・集中力がなくなり、物事への対応力が落ちる
・ママ自身や赤ちゃんを傷つけるような衝動に駆られる
・死や自殺について繰り返し考える


これらの症状のいずれかが2週間以上も続いている、症状が悪化している、改善していないなどが見られたら、出産した病・産院に相談してみましょう。自治体の産後ケアなどの地域支援に相談する、育児教室に参加するなどの方法もあります。重要なポイントは早期発見です。

産後うつは本人が自覚できるものではありません。パパや周囲の人がママの様子の変化を見つけてあげてほしいです。赤ちゃんとうまくかかわれない、表情が暗い、笑わない、などの様子が気になったり、「赤ちゃんをかわいく思えない」なんてつぶやいたら、それは産後うつのサインかも。

また、うつうつとした気分でいるときは、積極的に情報を探したり、助けを求めようという気にならないこともあります。ママの表情がいつもと違うな、泣いたり怒ったりしやすいな、と感じたら、パパや家族が「おむつ替えしようか?」などと声をかけたり、専門家のところに行ってみよう、と提案してみるといいと思います。


――産後、ママの様子が少し違うな、と感じたら、家族はどんなサポートができますか?

米山 子どもを産むことは、本当に偉大なこと。パパはママの頑張りをちゃんとねぎらって、自己肯定感を持たせてあげることがとても大事です。できるだけママの話を聞いて、気持ちを受け止めてあげてほしいですね。

ある夫婦の例ですが、ママが妊娠中はとても強気でパパにあれこれ指示を出していたのに、産後はすごくイライラしたり、急に突っ伏して泣き始めたりするようになったそうです。強気だったママの態度が急変したのを見て、パパは「こんなに変わるなんてきっと弱っているんだな」と気づき、ママの大変さに共感できたと言っていました。いつもと違う、という変化を見逃さなかったんですよね。それまではパパも「仕事で疲れているからあれこれ言わないでほしい」と思っていたのが、「育児は大変なんだ、大事にしてあげよう」と思い直し、ちゃんと話を聞くようになったらママの気分も落ち着いたそうです。

また、産後はとても繊細になって、傷つきやすい時期でもあります。別のある夫婦のところに助産師が訪問に行った際のエピソードを1つお伝えします。

そちらの家庭では、パパがていねいに赤ちゃんのお世話をしていたそうなんですが、訪問時に赤ちゃんのグズグズがなかなかおさまらなかったそうなんです。
するとパパは、「どうしたんだろうね、おっぱいがたりないのかな」「やっぱりおっぱいかな」などと何度も言っていたのだとか。助産師が帰り際にパパにこっそり「おっぱいがたりないかも、と悩んでいるママにその言葉は禁句ですよ」と伝えると、ハッとしていたそうです。産後は周囲の人が何気なく言った言葉でも深く傷ついてしまうことがあります。パパはできるだけママの悩みを聞いて、共有してあげられるといいですね。

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

お話・監修/米山万里枝(よねやままりえ)先生

出産後は、ママの体にも心にもさまざまな変化が起こります。頑張りすぎてモヤモヤをほうっておくと、メンタルの不調が悪化してしまうことも。ゆっくり休む、専門家に相談するなど、できるだけ早期の対応が大事です。また、妊娠中から、地域の産後ケア事業や一時保育などサポートしてもらえる方法を夫婦で調べておくと安心です。

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