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父親の育児参加促進のためにも、今求められる「母子手帳」とは?デジタル?両親手帳?【専門家】

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お母さん・お父さんが赤ちゃんの健康記録を記入している母子健康手帳(以下母子手帳と表記)は、戦後まもなく日本で生まれたもの。70年以上にわたり、お母さんと子どもの健康を守るために活用されてきました、父親の育児参加促進や、デジタルの活用が進む今、母子手帳のあるべき姿が見直されています。これからの時代に求められる母子手帳の役割について、母子手帳の研究と世界的な普及のために尽力されている小児科医の中村安秀先生に聞きました。
(上の写真は、表紙に父親を含めた親子の姿が描かれた母子手帳。左/インドネシア、中/タイ、右/パレスチナ)

「親子手帳」と名称を変えただけでは、父親の育児参加にはつながらない

ベトナムでは赤ちゃんの健診に親子3人でやってくることが多いそう。お母さんが持っているのは母子手帳。

母子健康手帳(以下通称の「母子手帳」と表記)は、第二次世界大戦が終わった直後の、1948年に日本で生まれました。以来70年以上、「母子手帳」という名称が使われてきましたが、お父さんも母子手帳を使いやすくするために、「親子手帳」という名称を併記する自治体も出てきています。

――「親子手帳」とすることで、お父さんの育児参加への意識が変わってくると思われますか。

中村 子どもは必ずお母さんのおなかから生まれてくるのですから、「母子手帳」でいいというのが私の考えです。名称は「母子手帳」だけれど、ページをめくるとお父さんが育児をする写真がたくさん掲載されていて、父親の育児参加を促す工夫をしている母子手帳が、世界にはたくさんあります。名称を「親子」としただけで何の工夫もしないのであれば、父親の育児参加にはつながらないのではないでしょうか。

――世界のさまざまな国の子育て事情を見てきた先生から、日本の父親の育児参加はどう見えますか。

中村 日本の父親の育児参加率の低さはひどすぎますね。インドネシアで子どもの医療相談を行っていたころ、お父さんが子どもの普段のうんちの回数や形状について、すらすらと答えてくれたのに驚きました。1980年代の話です。その当時の日本のお父さんは、家庭にもよるとは思いますが、おしっこのおむつを替えることすら、まれだったのではないかと思います。そのころに比べたら、今のお父さんの育児参加はかなり増えたと思います。でも、子どもを病院に連れていったとき、普段の子どもの様子をきちんと説明できるお父さんは、まだ少数派ではないでしょうか。

また、ベトナムやタイなどの国では、子どもの健診日は父親も会社を休むのが当然のことになっていて、子どもの健診にはお母さんとお父さんが一緒に来る家族のほうが多かったです。日本で「明日は子どもの健診だから休みます」と上司に言えるお父さんが、どれくらいいるでしょうか。
お父さん個人の問題だけではなく、父親が育児をしやすい社会環境を整えなければ、日本のお父さんの育児参加率は改善できません。

世界の母子手帳の中には、表紙が母子ではなく、お母さん、お父さん、子どもの姿が描かれているものもあります。「育児はお母さんとお父さんが一緒にするもの」だという、その国の考え方が現れていると思います。

【妊婦健診もお父さんが付き添う国が多い】

健診に訪れたインドネシア・バリ島の妊婦さんとパートナー。手にしているのはインドネシアの母子手帳

冊子とデジタルの“いいとこどり”で記録を子どもに残そう

――母子手帳のデジタル化(電子母子手帳)を進める自治体も増えています。「電子母子手帳」のメリットとデメリットを教えてください。

中村 メリットは、「電子母子手帳」を入れているデバイスを紛失してもデータのバックアップがあるので、災害などが起こっても子どもの健康記録が消滅するリスクが少ないこと、ワクチンや離乳食などの最新情報に簡単に書き換えられること、読み書きに障害がある人でも使いやすいこと、多言語への対応が容易なこと、です。

デメリットは、「母子手帳は子どものもの」と考えたとき、子どもが大人になったときにもデジタルデータが使えるのか、という問題があることです。現状の「電子母子手帳」は民間企業が開発したアプリを使っていることが多いと思いますので、万一、その会社がなくなってしまったときデータはどうなるのか。20年後、30年後に、今のデータを読み取れる機器があるのか。さらに、「電子母子手帳」を管理しているお母さんやお父さんが亡くなったとき、子どもがデータを引きつげるのか、といったことなどが懸念されます。

――お母さん・お父さんの直筆コメントが残るのは冊子の母子手帳ならではで、
デジタルにはないものなのですね。

中村 直筆の文章は臨場感があり、書いた人の体温を感じますよね。ぜひお子さんのために残してほしいです。冊子とデジタルの母子手帳を併用し、それぞれの“いいとこどり”をして、お子さんの健康情報と、お母さん・お父さんの愛情の記録がたっぷりつまった母子手帳を、お子さんに残してあげましょう。

お話・監修・写真提供/中村安秀(なかむらやすひで)先生

取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

「お母さんと子どもの健康を守る」とい母子手帳の役割を100%発揮するには、お母さんとお父さんが協力して育児をすることが欠かせません。冊子もデジタルも、そのことを忘れないようにして活用しましょう。

海をわたった母子手帳 かけがえのない命を守るパスポート

インドネシアでの農村診療で日本の母子手帳の素晴らしさを再発見した中村先生は、その普及の先頭に立つことを決意。貧しい国の母と子の命を守りたい――小さな手帳が生んだ、大きな奇跡の物語です。旬報社刊。

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