妊婦健診のノンストレステスト(NST)「気分が悪くなるので苦手……」産科医・北島米夫のニンプのお悩み相談室
測定用の器材をおなかにつけて、20〜30分じっとしていなければならない「NST(ノンストレステスト)」。ママとおなかの赤ちゃんのために必要な検査だとは思いますが、検査中に動いちゃいけないのが苦痛で…。
モヤモヤがスッキリ晴れる助言をくれる、と妊婦雑誌「たまごクラブ」編集部員からも信頼されている北島米夫先生が、ニンプさんのお悩みをスッキリ解決! 悩めるニンプさんの心を軽くするアドバイスをお届けします。
NST(ノンストレステスト)が苦痛です
妊娠10カ月に入り、妊婦健診時に「NST(ノンストレステスト)」を受けるようになりましたが苦痛です。じっとしていなくてはならないし、体勢がきつくて、装置をつけて10分ぐらいたつと気分が悪くなってしまいます。途中で少し姿勢を変えても問題ありませんか?(妊娠10カ月のニンプより)
検査の間ずっと耐えられる姿勢で受けて
NSTはおなかの張りや胎児の心拍を見る検査で、妊婦さんは検査中20〜30分間、動くことができません。
ご相談のニンプさんが、NSTを受けているときに苦しくなるのは、仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)によるものだと考えられます。これは、妊娠後期に多い症状で、あお向けになったときに、大きな子宮が背中側の下大静脈を圧迫することで低血圧となり、具合が悪くなることをいいます。
最近は、リクライニングする椅子を使う産院が多いですが、そのような椅子がなかったとしても、背中側に毛布を挟んで上半身を起こしたりすることで対応できます。場合によっては、分娩室や手術室などの、背もたれが動くベッドが使われることも。途中で姿勢を変えると赤ちゃんの心音がずれてしまうので、初めから、NSTの間ずっと耐えられる姿勢で受けることが大事です。
妊婦さんも自分から伝える努力を
そもそも、NSTで仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)になる人は、妊婦健診時に超音波検査をしているときも気持ち悪くなりやすいもの。そうした様子が見られた場合には、医師はカルテに、「仰臥位に注意」と記載するはずです。しかし、本人が我慢して何も言わずにいると、気づいてもらえないこともあるかもしれません。
言いたいことを我慢して言わない、我慢強い人が多いのかもしれません。しかし、医療従事者からしたら、迷惑どころか、むしろ言ってくれたほうが、事故を防ぐといった意味でも助かることが多いのです。もし、「以前伝えたのに、忘れられている…」ということがあれば、また言ってください。わがままと受け止められることはないし、「我慢してください」と言われることもありませんよ。
監修/北島米夫先生 イラスト/花くまゆうさく 文/たまごクラブ編集部
いかがでしたか? 北島先生の相談室は「たまごクラブ」で好評連載中です。
参考/『たまごクラブ』2022年1月号「産科医・北島米夫のニンプのお悩み相談室」
※掲載している情報は2021年12月現在のものです。