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「不妊治療に費やすのは100万まで」と体外受精で3人の息子を出産。費用面では後悔も【FPの体験談】

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自身も不妊治療(体外受精)で3人の男の子を授かり、「妊活・不妊治療のお金の専門家」として多くの人から相談を受けているファイナンシャル・プランナーの宮野真弓さん。不妊治療を行っていたころの気持ちやお金のことなどについて聞きました。
(上の写真は宮野さんの3人の息子さん。個性豊かに育っています)

治療に通ったクリニックでおなかの大きな女性の姿を見るのがつらかった…

――宮野さんは10才、8才、6才の男の子のママで、3人とも体外受精で授かったとのこと。1人目のお子さんはいつごろから不妊治療を始めましたか。

宮野さん(以下敬称略) 結婚したとき私はまだ25才だったし、仕事が忙しかったので、子どもはしばらくいいかなと、避妊をしていました。28才のころ「そろそろ子どもがほしいね」と夫と話し、妊活を開始。ところがなかなか妊娠しないので、私が29才、夫が35才のとき夫婦で産婦人科を受診したんです。2人ともとくに原因がなく、まだ若いからと、タイミング法を行うことになり、2年間続けました。

――タイミング法を2年間続けるというのはよくあることなのでしょうか。

宮野 今となっては長すぎたかなと思っています。当時は不妊治療のことをあまりよくわかっていなくて、かかっていたクリニックに言われるままに続けてしまったんです。不妊治療を始める前に、治療についてもっと勉強しておくべきでした。

――不妊治療がストレスにもなっていたとか。

宮野 私も夫も妊娠できない原因がないということだったし、「まだ若い」という気持ちもあったので、「治療さえ始めればすぐに妊娠するだろう」と軽く考えていました。でも、何度タイミング法を行っても妊娠に至らず、「なぜ妊娠しないんだろう」というあせりが、どんどん強くなりました。
月に4~5回程度通院していましたが、仕事が終わってから診察時間ギリギリに飛び込むので、いつも時間にも気持ちにも余裕がありませんでした。そして、生理が来るたびに「またダメだった…」と落胆することを繰り返し、精神的にかなりつらかったです。出産がメインのクリニックだったので、受診時におなかの大きな女性の姿を見るのが苦痛になっていきました。
この2年間は時間的にも金銭的にもむだ遣いをしてしまったと反省しています。

体外受精と顕微授精の併用で妊娠!治療開始から3年で長男を授かりました

長男、生後2カ月でお宮参りに行ったときの写真。

――タイミング法がうまくいかなかったあと、どうされましたか。

宮野 このままでは妊娠できないと思い、紹介状を書いてもらって不妊治療に力を入れている病院に転院しました。2つ目の病院では改めて一通りの検査を行い、やはり夫婦ともに問題がなかったので、人工授精を3回行いました。それでも妊娠に至らず、体外受精と顕微授精を行うことになりました。
3つの胚盤胞(受精卵)ができ、1回目の胚移植で見事に妊娠!妊娠中の経過は順調で、2666gで出産しました。私は32才、夫は38才でした。

――出産は1つ目の病院でされたそうですが、どのような理由からでしょうか。

宮野 2つ目の病院でも出産できたのですが、こちらの病院は不妊治療に通っている人が多いので、タイミング法をしていた時におなかが大きい妊婦さんを見てつらい思いをしていた私のような経験をほかの方にしてほしくないと考え、1つ目の病院に戻りました。出産費用が2つ目のほうが高かったというのも、理由の1つではありますが(笑)。

2人目、3人目も体外授精で出産。3人目はエコーを見て「またついてる!」

二男、生後3カ月ごろの写真。3人の中では一番大きく生まれました。

――下2人の息子さんも体外授精で妊娠されたとのことですが。

宮野 1人目のときに凍結した受精卵が残っていたので、2人目はそれを使おうと決めていました。1人目同様1回で妊娠でき、経過も順調。34才のとき3250gで出産しました。
1人目の出産から2年後のことでした。

そしてその約1年後、凍結した受精卵がまだ残っていたので、3人目が欲しいと思ってトライしましたが、着床しませんでした。
35才のときもう一度採卵し、4つの受精卵をつくることができました。でも、3回胚移植を行っても着床に至らず、「今回は妊娠できないかも…」という思いがよぎった4回目でやっと妊娠。36才のとき2560gで出産しました。

――男の子2人に恵まれたので、3人目は女の子がいい、というような希望があったのでしょうか。

宮野 私の母は私と妹を産み、妹は女の子の双子を産み…と、うちはどちらかというと女系家族なんです。だから1人くらいは女の子が生まれるんじゃないかと、3人目はちょっと期待しました。でもその反面、また男の子だろうなあという予感もあったんです。妊娠中のエコー検査で股間が見えたとき「あ!やっぱりついてた!!」と(笑)。でも、妊娠できたことが何よりの喜びなので、性別は関係ないです。

仕事と治療の両立のため、雇用形態を変更。その結果収入減に…

三男が生後2カ月ごろの写真。性別を聞く前に、エコーの画像を見て「男の子」とわかってしまったそう。

――1人目の不妊治療の時は、ファイナンシャル・プランナーの会社に勤務していたとのこと。仕事と治療のバランスはどのようにとっていたのでしょうか。

宮野 自宅、病院、会社がかなり離れていました。でも、不妊治療をしていることを会社に伝えられずに、仕事が終わってから夜間診療に飛び込むなど、時間的にかなり追われていました。それもストレスの一因だったと思います。

なかなか妊娠しなかったこともあり、気持ちに余裕を持って治療を受けたいと考え、思い切って上司に相談したんです。理解してもらい、在宅勤務を併用する働き方に変更しました。それはよかったのですが、雇用形態の変更で収入は2割弱減りました。「子どもを授かるためだからしかたない」と夫婦ともに納得しましたが、不妊治療費がかかるのに収入が減り、家計への負担が大きくなるのは避けられませんでした。

――2人目、3人目の不妊治療のときはすでにFPとして独立していたとのこと。仕事と治療の両立は楽になりましたか。

宮野 時間の調整はしやすくなりました。でも、「治療のために仕事を減らす=収入が減る」なので、その点は会社勤めのころよりシビアでした。だからこそ、不妊治療にはマネープランが必要だと実感したんです。

「不妊治療にかけるのは100万円まで」と決めてから治療にのぞみました

――不妊治療とマネープランをどのように考えたのか教えてください。

宮野 不妊治療にお金をかけすぎて、いざ子どもができたとき貯金がない…という事態は避けるべきなので、1人目の不妊治療を始める前に、「不妊治療に費やすのは100万円まで」と夫婦で決めました。1人目の治療費はタイミング法と体外授精、顕微授精を含めて80万円程度。予算内で収まりました。

――2人目、3人目の不妊治療費も100万円が目安でしたか?

宮野 そうです。2人目は1人目の時の凍結受精卵のみで妊娠できたので、治療費は20万円程度でした。3人目は凍結胚移植に加え、受精卵を新たにつくって4回胚移植を行ったので、120万円かかりました。2人目の治療費が20万円で済んだから、3人目は4回トライできましたが、もしも2人目の治療費が100万円以上かかっていたら、3人目は途中であきらめたかもしれません。

――不妊治療はどこまで治療費にかけていいのかわからなくなる、という話をよく聞きます。

宮野 「次こそ妊娠するかもしれない」と期待して、どんどん治療費がかさんでしまうのはよくわかります。でも、不妊治療がゴールではなく、その先も人生が続くことを考えなければいけないので、不妊治療にかけていい金額を事前に想定することは大切ではないでしょうか。
もちろん、その金額に達したら絶対に治療を断念しなければいけないということではなく、「予算額に達してしまった。この先どうしようか」と夫婦でもう一度話し合うことが大切だと思うんです。

再試算して治療を続ける、治療をやめて夫婦2人で生きていくことを選ぶ、特別養子縁組を検討するなど、気持ちを切り替えて前に進むためには、区切りをつけながら治療を行うのがいいのではないかと思います。

お話・監修・写真提供/宮野真弓さん 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

不妊治療が保険適用になることで不妊治療を検討している方はもちろん、現在治療を行っている方も、将来の生活とマネープランについて夫婦でよく話し合い、気持ちを一つにして治療に取り組む必要があるようです。

宮野真弓さん(みやのまゆみ)

ROFILE
FPオフィスみのりあ代表。ファイナンシャル・プランナー(1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者)。体外受精で3人の男の子を出産した自身の経験を元に、子どもを望む方や育児中の方などへ向けた講演や執筆、個別相談を中心に活動中。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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