これだけは知っておいて!働く妊婦さんが気をつけたいこと
職場の理解と協力を得ることが大前提です
産婦人科で妊娠の診断を受けたら、職場の上司に早めに報告しましょう。その際、「妊娠何カ月になる何月まで働きたいと思います」と具体的に時期を伝えます。
長時間の立ち仕事や重い物を運ぶ作業など、身体的にきつい仕事であったりする場合は、上司に状況を伝え、変更してもらえないか相談してみるとよいでしょう。
できること、できないことをしっかり伝え、信頼関係をつくることが大切ですね。同僚の理解と協力も欠かせませんから、今まで以上にコミュニケーションをとるようにしましょう。
具合が悪いのに無理をしたり、1人で仕事を抱え込んだりしないようにするためにも、周囲のフォローが必要です。とくに産休中に仕事を引き継いでくれる人には、感謝の気持ちを伝えましょう。
周囲の配慮があってこそ、体調の不安定な妊娠中、そして、産後に職場復帰したときも気持ちよく働くことができます。
もちろん、職場への報告の前に、妊娠中と産後の働き方について、夫や家族と話し合っておきましょう。
産休に入るのはいつか、産後も仕事を続けるかどうか、育児休業を夫婦でどうするか、職場復帰するなら保育園はどうするか、祖父母の協力は得られるのかどうか・・・・産後の生活プランとキャリアプランまで含めて、今のうちに夫婦の意思を確認しておくといいですね。
無理は禁物。体をいたわって働きましょう
働く妊婦さんを守る法律や制度についても、この機会に知っておきましょう。
妊婦さんが働くにあたっては、「労働基準法」「男女雇用機会均等法」で保障されていて、妊娠・出産を理由に解雇することは禁止されています。
また、体への負担の大きい作業は避けるように指導されています。負担の大きい作業とは、重い物を取り扱う、外勤など連続的歩行を強いられる、常時全身の運動を伴う、頻繁に階段の昇降を伴う、腹部を圧迫されるなど不自然な作業を強いられる、全身の振動を伴う、などの作業です。
「母性健康管理指導事項連絡カード」をご存知ですか?
これは働く妊婦さんが、医師などから、仕事を休む、作業を軽くするなどの指導を受けたとき、その内容を事業主に伝えるためのものです。仕事の内容や体調に心配があれば、主治医に相談しましょう。
カードは母子健康手帳に様式が記載されているほか、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
このように、妊婦さんが働きやすい環境は、少しずつ整ってきています。職種や業種、会社によっても異なりますが、仕事と妊娠生活の両立は決して無理な話ではありません。
ただし、妊娠中はいつ体調に変化が起こるかわかりません。仕事をしていると、ついつい無理をしてしまいがちです。おなかの赤ちゃんを守ることができるのはママだけです。
仕事はペースダウンし、帰宅後や休日はゆっくり休むことが大切です。出血や下腹部痛など異変があれば、早めに受診しましょう。
市川香織 先生
文京学院大学保健医療技術学部看護学科准教授 一般社団法人産前産後ケア推進協会 代表理事 日本助産師会出版 取締役、助産師
大学病院、助産師学校教員、厚生労働省、日本助産師会事務局長等を経て、2014年4月より現職。大学での教育・研究活動のほか、産前・産後の女性のケアをはじめとした、女性の生涯の健康を支援する活動を行っています。
※この記事は「たまひよコラム」で過去に公開されたものです。