いざという時のために知っておきたい妊婦さんとママの災害対策
普段からやっておきたい災害への備え
災害はいつ起こるかわかりません。妊婦さんや、小さな赤ちゃんがいる家族は避難先でも困ることが多く、大きな負担を強いられます。普段から災害に備え、対策を立てておきましょう。
まず、家の中の安全を確認します。背の高い家具を固定する、天井の照明を直づけにして落下を防ぐ、ガラスに飛散防止フィルムをはるなどの対策が基本です。
次に、避難方法や避難場所、避難ルートを家族で決めておきましょう。電話がつながりにくいときは、災害用伝言ダイヤル(171)でメッセージを録音・再生できるほか、携帯電話やスマートフォンからも災害用伝言板などのサービスで安否確認ができます。
また、自宅や勤務先、子どもの保育園などから近い避難場所に行ってみて、ルートや周囲の様子なども確認しておくといいですね。地域によっては妊産婦や乳児のいる家族を優先的に受け入れる母子避難所がある場合もあります。住んでいる地域の情報収集をしておくと、いざというときに安心です。
近所の人とのコミュニケーションも大切です。普段からあいさつをしあったり、お互いに顔の見える関係になっていれば、災害時に助け合えるのはもちろん、産後の子育てなど、いろいろな面でプラスになります。
災害に遭ったときは、避難場所でまず相談を
万一、災害に遭ったら、避難所に移動後、まず周囲の理解を得ましょう。避難場所も混乱していて、すぐには言い出せないかもしれませんが、少し落ち着いたところで、妊婦であることや乳児がいることを申し出て、避難所の責任者や医療従事者(助産師など)に配慮してもらえるよう相談しましょう。
妊婦さんは保温を心がけてください。流産が心配な時期でもある妊娠初期は無理は禁物。妊娠後期の妊婦さんは、胎動が赤ちゃんの元気のバロメーターですから、毎日確認しましょう。状況が落ち着いてきたら、健診を受けられる施設や場所を探します。予定日が近い場合は、分娩場所を決め、早めに受診することが大切です。
産後すぐのママは、横になる時間を増やし、体を休めましょう。赤ちゃんは毛布やおくるみなどで保温。抱っこや添い寝も安心します。母乳で育てている場合は、今までどおり母乳を飲ませ続けましょう。被災のショックで一時的に母乳の量が減っても、飲ませ続ければ増えていきます。
通常の防災用品に加え、非常用の物品を用意しておきましょう。持てる重さは5kgが目安。リュックは両手があいて便利です。
妊婦さんは、清浄綿、生理用ナプキン、下着・衣類、保温できるもの(毛布、カイロ、靴下)、常用薬、母子健康手帳・筆記用具など。
乳幼児のいるママは、粉ミルク(必要な方)、授乳服・授乳ケープ、離乳食・おやつ、紙おむつ、おしりふき、赤ちゃんの衣類、バスタオル・ブランケット(複数枚)、保温できるもの(毛布、はおるもの、靴下)、抱っこひも、おんぶひもなどです。普段から使うものをストックして、赤ちゃんの成長に合わせ定期的に見直す習慣をつけておくとよいでしょう。

市川香織 先生
文京学院大学保健医療技術学部看護学科准教授 一般社団法人産前産後ケア推進協会 代表理事 日本助産師会出版 取締役、助産師
大学病院、助産師学校教員、厚生労働省、日本助産師会事務局長等を経て、2014年4月より現職。大学での教育・研究活動のほか、産前・産後の女性のケアをはじめとした、女性の生涯の健康を支援する活動を行っています。
※この記事は「たまひよコラム」で過去に公開されたものです。