22年10月スタートの男性版産休。「人手がたりないから育休ムリ!」というパパに知ってほしい

2022年10月からスタートする男性版産休を知っていますか? 言葉は聞いたことがあっても、どんな制度がよくわからないという人もいるかもしれません。
そこで、育児休業給付金の解説と相談の専門家、ベンゾーさんに男性版産休をわかりやすく解説してもらいます。
「SNSで始めた育休相談は今までの累計で500件以上対応している、ベンゾーです。この記事では、
・男性版産休とは?
・従来の制度との違いは?
などを解説します。
とくに『ウチの会社は人手がたりないから、育休なんて取れないよ』っていうプレパパにぜひ読んでほしいです。
逆に言うと『ウチの会社は超ホワイトだから、余裕で育休取れちゃいます』って人は読まなくても大丈夫。」(ベンゾーさん)
2022年10月スタートの男性版産休とは? 従来の制度と違う3つのポイント
2022年10月からスタートする男性版産休。正式名称は「出生時育児休業」で、「産後パパ育休」などと呼ばれることもありますが、この記事ではわかりやすく「男性版産休」という名称を使用して説明します。
また、育児休業制度も10月に一部改定されていますが、男性版産休と比較するために、育児休業制度のことを「従来の育休制度」と表現して解説しますね。
その男性版産休と従来の育休制度には上の表にまとめたような違いがあります。
男性版産休は使える期間やタイミングは限定されている代わりに、休み中に働いてもいいというのが特徴です。
もちろん、パパが男性版産休ではなく、従来の育休制度を使用することも可能です。
「男性が育休制度を利用することが推進されているのに、なんで新たに男性版産休なんてできたの?」と思う人もいますよね。
男性版産休の最大の特徴は「休業期間中に働く予定を入れられる」こと。
たとえば「どうしても出席したい会議」とか「月末の仕事」だけ出勤して、普段は「育児に専念するために休業する」という休み方が可能になるわけです。
今改定で、柔軟な休み方が可能に。パパが育休を取りやすくなる
今回の男性版産休。改正が発表されたとき「男性の育休が取りやすくなる」と話題になりました。
なぜなら男性版産休は、従来の育休よりも「柔軟な休み方」が可能になった制度だからです。
そもそも男性が育休を取りにくい要因の1つに、「仕事をほかの人に振る習慣がないから」というのがあります。
そういう意味では、「仕事をほかの人に振ることができる環境を作りましょう」というのが根本的な正解かもしれません。
しかし、現実として多くの企業が人手不足に悩まされています。
ほかの人に仕事を振る余力のある企業は限られています。
男性版産休では休業期間中に働く予定を入れられるので「ほかの人に振るのが難しい仕事だけは、育休を取っているけど、自分でやっちゃおう」などの柔軟な休み方が可能になったわけです。
自分のパートナーだけでなく、知人にもうすぐ赤ちゃんが生まれる夫婦がいて、もしも「育休を取りたいけど、今やっているプロジェクトから抜けるのはちょっと厳しいかな・・・」という気持ちなら、ぜひこの制度を教えてあげてください。
男性版産休を上手に使うため、注意しておきたい3つのこと
男性版産休を上手に使うためには、注意しておきたいことが3つあるので紹介します。
【1】休業期間中に働く場合は、休み始める前に予定を決めておくことが原則
先に解説したように、男性版産休では「育休を取っているけど、自分で仕事をしちゃおう」という柔軟な休み方ができます。
この休み方をする場合、休み始める前にいつ働くのかを明確にしておく必要があります。上の表のように、事前に会社とやりとりして、双方の同意が必要です。
「でも突発的な仕事が発生して、どうしても出勤してもらいたい!ってときは事前にいつ働くかなんて決められないのでは?」
と思う人もいるでしょう。
実は突発的な場合、従来の育休制度でも働くことは認められているんです。(もちろん男性版産休でも)
従来の育休制度で認められていないのは「予定して働くこと」です。
たとえば、「月1回程度、業務がまわらなくなったときにヘルプとして少し勤務」は、従来の育休制度でも認められています。
対して「毎週水曜日の定例会議に出席する」は、突発的ではないので従来の育休制度では認められていません。でも、男性版産休では、この働き方も認められるようになりました。
【2】産後8週間の、4週間しか使えない! 期間限定なので要注意
男性版産休が使えるのは、産後8週間のなかの4週間だけです。期間限定であることをあらかじめ知っておきましょう。
たとえば妊婦の妻だけが実家に帰って出産し、産後1~2週間ほど実家で過ごすような場合、夫はこの期間に仕事を休む必要度は低いかもしれません。
そんな場合は、妻が自宅に帰ってきてから夫は休み始めればいいわけです。
逆に里帰りせずに出産する場合、産後すぐに夫のヘルプがあったほうがいいですよね。
産後8週間の内ならどのタイミングに使ってもいいので、自分の状況に合わせて休むといいでしょう。
なお、「産後8週間の内」と表現されることが多いですが、赤ちゃんが生まれてからではなく、出産予定日から休み始めることも可能です。
【3】正社員じゃなくても取得権利がある! 非正規でもあきらめないで
「正社員でなくても男性版産休は取れるの?」という質問もよくありますが、結論、取れます。
正社員でなくても取れるかどうかは、従来の育休制度と同じ扱いになっています。
なので、アルバイトでもパートでも契約社員でも、男性版産休は取得可能です。
転職直後の場合も従来の育休制度と同じ扱い。会社には「入社1年未満の従業員からの育休申し出を断る権利」があります(条件もありますが)。
なので、転職したばかりの従業員は、会社に男性版産休(従来の育休制度も)の取得を断られる可能性があります。
そういう意味で、転職直後は、男性版産休が取れるかどうかは「会社による」となります。
ちなみに「給付金をもらえるかどうか」でいうと、さらに条件が追加されるので、注意が必要です。
文/ベンゾーさん、たまひよONLINE編集部
2022年10月からスタートする男性版産休のポイントは、
・従来の育休を取ることも可能
・従来の育休制度との違いは「休業中に働けること」
・おおまかには、従来の育休と同じ制度
ということですね。
パパが従来の育休制度を取得することもできますが、仕事との両立に苦労しそうな人は男性版産休の取得を検討するといいかもしれません。
「これからパートナーが出産する予定があるという男性。ぜひこの機会にお休みを取り、育児と向き合ってみてください。
この記事を見ている妊婦さんは、ぜひパートナーにLINEでシェアしましょう!」(ベンゾーさん)
●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
ベンゾー
PROFILE
育児休業給付金の解説と相談の専門家。SNSで始めた育休相談は累計500件以上対応。社会保険労務士事務所に7年以上勤務。子育て世代のための情報を発信するサイトを運営。
・育児休業の解説と個別相談サービス「私の育休ホットライン」
・出産内祝いのマナーの本音を解説「内祝いとか正直めんどい」
「転職のからむ受給条件の詳細は『【私も対象?】転職1年未満で育休は取れない?辞めるべき?』の記事でも解説していますので、ぜひ読んでみてください」