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妊娠中から産後のメンタルケアのチェックポイント&予防のためにできること6つ

更新

妊娠中の女性を感じるうつ病
●画像はイメージです
RyanKing999/gettyimages

今、妊娠中から産後にかけてのママのメンタルケアに関心が集まっています。今回は、ママたちのメンタルケアに注力し、日々寄り添っている産婦人科医の齋藤知見先生に、妊娠中から産後のママたちのメンタルのチェックポイントや、ママ自身、あるいは家族ができることなどについて聞きました。

ママのメンタルの不調にはどんな兆候があるの? 医療機関を受診するチェックポイントは?

妊娠・出産の過程で、気分の浮き沈みやメンタルの不調を経験するママは少なくありません。だからといって、よくあることだと見過ごしていると、うつ病などにつながる可能性もあります。医療機関を受診するポイントにはどんなものがあるのでしょうか。まず、うつ病では注意すべき症状として、以下の2つが挙げられます。

□一日中憂うつな気持ちが続いている

□以前は楽しかったことが楽しめない

気持ちの波は誰にもあるものです。たとえば「日中は赤ちゃんと2人きりで滅入ることもあるけれど、夕方パパが帰ってくれば大丈夫」「ふさぎこんでいるときもあるけれど、スイーツを食べているときは幸せ」といったような場合は、病的なものではありません。

これ以外にも、うつ病では以下のようなことがあります。

□眠れない(反対に寝過ぎてしまう場合も)

□食欲がない(反対に食べ過ぎてしまう場合も)

□集中力がない

□やる気が出ない

□動作が極端に遅い(反対にソワソワしてじっとしていられない)

□「私はダメだ」などと自分を責める

□消えたいと思う

最初の2つを中心に、以上のような症状が2週間以上続いている場合はうつ病の可能性があります。一度早目に医療機関に相談しましょう。

加えて、双極性障害といって、気分が異常に上がってしまうケースもあります。まわりの人がいつものあなたと違うと感じるほどハイテンションになる、寝なくても平気な状態が続く、極端にイライラしているなどの状態が1週間以上続く場合も医療機関に相談しましょう。

メンタルケアのためにママ自身が妊娠中からできること6つ

メンタルの不調は産後に生じることもあり、妊娠中からの心構えで、予防につながることもあります。妊娠中からどんなことをしておくといいのか、ポイントを6つ紹介します。

【1】困った時の相談先を考えておく

妊娠中や産後は、どんなママでも心が揺らぎます。「自分は絶対大丈夫」と思わずに、元気なうちから「困ったときはこの人(この機関)に相談しよう」などと、相談先を考えておきましょう。メンタルの問題が起きてから相談先を探すのは、とても大変だからです。

【2】住んでいる地域のサポート内容を調べておく

最近では行政のサポートも充実していますが、自治体によって内容が違います。まずは住んでいる地域にどんなサポートがあるのか、調べておくことが重要です。なかには事前予約や登録が必要なところもあり、困ったときにすぐに相談できない場合もあります。妊娠中からできることはしておきましょう。

【3】産後の負担を減らすためのサービスの情報を仕入れておく

産後に備えて宅配サービスやシッターサービス、家事代行サービスなども調べておき、情報を仕入れておくことも重要です。メンタルのみならず、産後は育児で睡眠不足が続くなど、ママの体にも負担が大きいためです。

【4】人に頼る練習をしておく

ママのなかには、そもそも人に頼ったり、サポートを受けたりすることに抵抗がある人もいます。調子がいいときから、身近な夫や実母などに気軽に頼む練習をしましょう。「ちょっと食器を洗っておいてくれる?」など、小さなことでいいのです。そのうえで感謝を伝え合えるといいですね。

【5】妊娠中から気になることは夫婦で話し合っておく

人間関係のストレスは、産後うつに直結しています。赤ちゃんが生まれたらゆっくり話し合う時間はありません。妊娠中から気になることや、改善してほしいこと、産後にやってほしいことなど、夫婦間でざっくばらんに話し合っておきましょう。

【6】妊娠中から“毎日のちょっとした楽しみ”を見つけて習慣化しておく

よくも悪くも、産後は環境が大きく変わります。だからこそ妊娠中から「変わらない楽しみ」を持っておきましょう。たとえば1日10分でもいいので、ストレッチの動画を観てやってみる、大好きなマンガを読む、アロマを楽しむなど、毎日のお楽しみの習慣をつくっておき、産後もそれだけは楽しみとして意識的に続けるのです。それが、ママの息抜きにもなります。

ママのために夫ができること、夫が気をつけたいこと

妊娠中から産後にかけて、女性は体だけでなく心にも大きな影響を受けます。万が一、ママのメンタルに気になる症状が見られたら、パパは、勇気を持って医療機関につなげてください。ママが相談に行きたがらない場合は、まずはパパだけでも相談にきてください。

とくに産後は、健康なママであっても、日中赤ちゃんと二人きりで過ごすと鬱々としてしまうことがあります。唯一話せる“大人”がパパだけ、という人も少なくありません。

仕事で忙しいパパも多いと思いますが、できるだけママの話を聞いてあげてほしいと思います。女性は、アドバイスや解決策ではなく、ただ話を聞いてほしい場合が多いことも、知っておいてくださいね。

幸せなママを一人でも増やしていくために

妊娠中から産後にかけては、女性にとって特別な時期です。妊娠中に一人で不安をかかえているママはもちろん、ママ友がほしい人、産後、近くに頼れる家族がいない人、赤ちゃんを預けてゆっくりしたい人などさまざまなケースがあります。この時期のママと赤ちゃんを周囲がしっかり支えてあげることがとても大切なのです。

多くの妊婦さん、産後のママたちに接してきて思うのは、「この子を産んでよかった」と思えるママが増えてほしいということ。さらには、ママ自身も「生まれてきてよかった」と思えるようなケアが必要だと強く感じています。

その思いから、総合母子保健センター愛育病院では、妊娠中から産後以降も、子どもの成長に合わせてずっと継続してママやパパたちにかかわっていける産後ケア事業を立ち上げました。2023年8月に「産後ケア子育てステーション」としてスタートする予定です。産院とのかかわりが、出産後、退院して終わりではなく、この大切な時期のママ・パパ・赤ちゃんをサポートしていく体制として、全国で広まっていくことを心から願っています。

お話・監修/齋藤知見先生 取材・文/樋口由夏、たまごクラブ編集部

妊娠中や産後に精神的に不安定になってしまうのは、珍しいことではありません。でも、必要以上に怖がらなくても大丈夫。
妊娠中から情報を得ておくこと、家族と一緒にしっかり知識をつけておくことが大切です。不安なことがあれば身近な家族に頼ることはもちろん、産科医や助産師などに相談してみましょう。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

齋藤知見先生(さいとうともみ)

PROFILE
産婦人科医。総合母子保健センター愛育クリニック周産期メンタルヘルス科副部長。順天堂大学産婦人科学講座非常勤講師を経て、2022年4月より現職。こころの診療科きたむら醫院非常勤医師、北村メンタルヘルス研究所研究員。専門外来では妊娠中〜産後のお母さん、家族に周産期カウンセリングを行なっている。

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