年々値上がりする妊婦健診・出産費用は誰が負担する⁉「トータル100万円自腹」「納得いかない」と、不満の声も!
年々、右肩上がりで値上がりしている妊婦健診&出産費用。「たまひよ」アプリユーザーに「妊婦健診、出産費用でかかった実費の負担は誰がしましたか?」と、質問。「夫婦平等」という声が多くある一方で、共働きの増加と夫婦別財布の影響で「妻が負担」という考えも定着しつつあるようです。
Q:妊婦健診、出産費用でかかった実費の負担は誰がしましたか?
夫婦で管理している家計から(夫婦で平等に)負担 46.4%
妻が全負担 21.3%
夫が全負担 12.1%
夫が多めに負担 7.7%
妻が多めに負担 7.2%
自己負担は発生しなかった 3.4%
夫親族または妻親族が負担 1.4%
その他 0.5%
「夫婦で平等」46.4%がトップでした。次点は「妻が全額負担」21.3%ですが、「妻が多めに負担」7.2%を加えると計28.5%に。背景には、急増している共働き&夫婦別財布の影響があるようです。
「Q:妊婦健診、出産費用についてエピソードや思うことがありましたら教えてください」と、募集すると不満コメントが殺到。その内容は…。
納得していない妻は少数派⁉費用は妻が多めに負担のコメント
「夫婦別財布です。帝王切開だったので出産費用は保険金で賄えました。とはいえ、私たち夫婦の子どもなのに、(妊婦健診での)助成金からはみ出した費用は1人で負担させられたことにモヤッ」(妻が全負担/向日葵)
「体をズタボロにして出産したので、せめて出産費用だけでも夫が出して欲しい…な」(妻が全負担/pino)
「妻が全負担」「妻が多めに負担」のコメントでは、不満は少数派。意外にも納得しているママの方が多いようです。
「私の方が稼ぎは良いこともあり、出産費用は妻多め負担です。そのかわり夫に文句は言わせません(笑) 帝王切開だったので(保険がおりたので)幾分か返ってきましたが、出産費用がこんなにかかるのかとビックリでした」(妻が多めに負担/つみち)
「共働きなので、基本自分のことは自分で支払うルールです。ただ、産休で収入がガクンと減った分は夫から受け取るスタイルに。頼りすぎないようにしたいとは思っています」(妻が全負担/ここ)
「夫は生活費の8割を担っており感謝しかないので、健診費用は全額自分が払っています。自分の財布のほうが管理しやすい」(妻が多めに負担/みん)
実は不満コメントの大半は「費用をどちらが負担するか?」ではなく、「健診・出産費用が高すぎる!」という声でした。
妊婦健診は健康保険が適用されないため全額自己負担となりますが、市区町村の自治体から健診や検査費用を助成する制度があります。それが「全然足りない」という声が殺到しました。
請求書を二度見するほど「健診・出産費用が高すぎる!」
「請求書を見たら(助成金を使っても)手出しが34万円。事務の方の計算間違いかと思って、聞きに行ってしまった」(みぃ)
「助成金制度はあるけれど、東京の病院は全然足りません。健診費用などトータルで約100万円は自腹…」(みーちゃん)
「市から助成金が出るからラッキー!と思っていたら、(病院によるらしいけれど)足りなくて持ち出しの日もあった。予定日過ぎても生まれてこず、最後は補助券もなくなり、診察代は全額自費に。『生まれてこないのは私のせいじゃないのに…』とモヤモヤしました」(かず)
「私が通院していたクリニックだけなのかもしれませんが、採血検査などの日は、助成券があっても2万円を超す会計の時もありました。エコーを動画で提供するサービスも常に有料。選択制になればいいのにと思いました」(さきいか)
「助成金だけでは補えませんでした。エステがあったり食事が豪華だったり高い理由はわかります。でも市立病院だと外来時間は短く、産後のサービス等も少ない。また無痛分娩だと+10万円ほどかかるので、無痛を選択するかどうか悩みます。出生率を増やしたいのであれば、すべての出産費用を補助金で賄えるようにして欲しい」(mii)
「私がたまたま選んだ産院は、自治体の助成金で賄えましたが、近所の別の産院は、毎回自腹で1000円以上かかるそうです」(もち)
「総合病院で出産しました。食事はそんなに豪華ではなかったけれど、助成金内でなんとか納まったので嬉しかったです」(ちゃ)
実は出産費用は年々5%~7%の推移で値上がりしていることがわかっています。
「全然足りない」「補助金で賄えた」と、コメントが割れた理由は、病院によって出産費用が異なるだけでなく、住んでいる都道府県によって差があることが背景にあるようです。厚労省の調べによると、平均出産費用が最も高いのは東京都で625,372円。最も低いのは熊本県で388,796円でした(令和5年度)。※1
出産費用について、ファイナンシャルプランナーの前田菜穂子さんに伺いました。
妊娠・出産費用をきっかけにオープンな家計を目指しましょう
2023年のたまひよアンケート(※関連記事:共働き家計は「夫婦別財布」が主流)によると、「家計は夫婦別財布」は約52%でした。今回のアンケートでは「健診・出産費用は妻が全負担」は約21%。多くの夫婦が「家計は別財布だけれども、健診・出産費用を同じ財布にしている」とも受け取れます。
専門家としては、健診・出産費用は夫婦協力体制が多数派であることに安心しました。この先、増え続ける子ども費(教育費)に対して、協力体制の礎を築けているからです。
健診・出産費用も夫婦別財布のカップルは、子を鎹(カスガイ)にして家計の話をオープンにするチャンスとみてください。このまま別財布だと、教育費が増え続けても相談するキッカケを見失い、一方的な負担感に悩む可能性も…。ぜひ、出産費用をきっかけにオープンな家計を目指してほしいと思います。
本当に必要なサービスなのか、事前に調べて産院を選びましょう
医療機関や地域によって金額の開きが大きいのは事実なので、地方出身であれば、金銭的負担を下げる視点からの里帰り出産も選択肢にしてみてください。とはいえ、夫が急に一人暮らしで飲み会が続いたり、妻は最後の羽伸ばしで旧知の友人とランチ三昧したり…と、かえって食費出費がかさむこともあるので夫婦で予算の話し合いは必須です(笑)
そして出産費用を事前に確認し、無理のない範囲で計画を立てておくと安心です。そのうえで、公立か私立か、自分に合った施設を選びましょう。私立はサービスが充実している分、費用が高めなこともあります。
FPでもある看護師の育休ママは、健診では毎回クーポンプラス3000円の支出があったそうです。想像できる理由は4Dエコー。
事前に「当院では4Dエコー利用のため追加の健診費用が必要」という説明はなかったそうで、安価にする方法も選べないそうです。最新の4Dエコーにより、我が子のリアルな様子を動画で見ることができるすばらしいサービスの裏には、それなりの支払いがあると肝に銘じて産科選びをすることも大事なようです。
なお「この産院にしよう!」と、決め手となった“産後の祝い膳の豪華さ”については、「分娩の処置による痛みが激しすぎてゆっくり味わえなかった。いっそ回復後に、ちょっと豪華な産後ケアホテルでご褒美時間を過ごすのもアリだったな…」と、こぼしておりました。
産院選びの基準としては、厚労省の検索ポータルで実際に金額を比較してみるのもオススメです。
2025年4月から「妊婦のための支援給付」が始まりました。妊婦の認定後、自治体から5万円が給付され、妊娠しているこどもの人数の届け出をすれば妊娠している人数×5万円(双子なら10万円)がさらに支給されます※3
また自治体によっては、妊婦健診の費用補助とは別に出産育児一時金にプラスαする助成があったり、タクシーチケットや商品券を配布しているところもあります。住んでいる地域の自治体ホームページや母子手帳配布時の案内資料などを通じて、利用できる制度や助成を早めに確認しておくと安心です。
そして5月、「厚労省が出産費用の自己負担を無償化する方針を固めた」というニュースがありました。健診・出産スタイルの多様化(無痛分娩、4Dエコーなど)に政府がどこまで対応するのか、安心して出産を迎えられるよう、前向きな進展に期待が高まります。
前田菜穂子
PROFILE)
みつめFP事務所代表で、1級FP技能士(国家資格)、CFP®(日本FP協会)、日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー(平成29年10月~令和7年9月)、J-FLEC(金融経済教育推進機構)認定アドバイザー 、FPmamaFriendsおこづかい教室認定講師。猛烈に働いた13年間の会社員生活での挫折や長く続いた不妊治療経験など、人生の壁にぶつかったことをきっかけに、金融業界未経験ながら5年間猛勉強してFPの資格を取得。“今より幸せで円満な家庭づくりのお手伝い”をモットーとし、娘として、妻として、母として、そして専門家として広い視野をもち、親子や夫婦でも話題にしづらい「お金のハナシ」に向き合うきっかけを提供しています。プライベートでは一児の母。
(取材・文/和兎 尊美、たまひよONLINE編集部)
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2025年3月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数207人)
※記事の内容は2025年5月の情報で、現在と異なる場合があります。


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