妊娠中のデリケートゾーンのケア、おりもの、かゆみ…不快症状のサイン&対策は?
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妊娠中、デリケートゾーンが不快に感じたことはありませんか? おりものが急激に増えたり、かゆみがあったりする場合、多くは問題ないですが、感染症のサインであることも。注意したいおりものやかゆみの症状と快適にするケアの方法を、三井記念病院産婦人科医長・中田真木先生に伺いました。
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妊娠中は生理的におりものが増えやすい
「妊娠中は、胎盤から分泌されるホルモンの影響で、おりものが増えます。また、妊娠に伴って、子宮や子宮頸管からも分泌物が出てきます。いずれも生理的な体の変化で、妊娠経過とともにおりものの量がなだらかに増えていく傾向があります。ただし、急におりものが増えた場合は感染症などのケースもあるので、普段からおりものの状態を見ておくことは大切です」
●妊娠中の正常なおりものの色・形状・におい
「半透明から乳白色で、卵白のようなとろみがあります。下着について乾燥すると固まったり、黄色っぽくなります。においは無臭か、少しすっばいにおいがするのが正常です」
気をつけたいおりものの変化やデリケートゾーンのかゆみは?
「デリケートゾーンが過剰にむれたり、不衛生だと、腟内の常在菌のバランスが崩れ、自浄作用が低下します。すると雑菌が増え、おりものの変化やかゆみを感じるように。そのままにしておくと、細菌性腟炎が起こりやすくなり、さらに雑菌が子宮頸管に侵入して炎症が進むと、破水しやすくなったり、子宮収縮を促したりするため、流・早産につながる心配が出てきます。
また、性感染症に感染して、おりものの変化やかゆみが現れている可能性も。『おりものがいつもと違う?』『おしもがかゆい』と感じたら、下記の項目を目安に、医師に相談しましょう」
かかりつけの病院を受診するレベル
□おりものに血が混じる、茶褐色のおりものがある
□においがきつい
□ボロボロしたおりもの
□黄緑色のおりもの
□破水かわからない水っぽいおりもの
□かきむしるほどかゆい
□痛みがある
□排尿時などにしみる
下着の選び方やケア方法で、デリケートゾーンが快適に
「少しおりものが増えたかな?」「少しかゆみを感じるけれど、我慢できないほどではない」という場合は、つけている下着やケアを見直すだけで改善されることも。デリケートゾーンを快適にする方法を、中田先生にうかがいました、ぜひ実践してみてください。
下着は通気性のいいものに
「外陰部は、膣の分泌物で湿っている場所です。その部分を、きつい下着でふたをするような状態にすると、腟内の常在菌のバランスが崩れて自浄作用が下がり、有害な菌が繁殖します。下着は綿素材など通気性のいいものを選びましょう。鼠径部にゴムのあたらないバミューダタイプが無難ですが、太もものつけ根が締まるタイプのものなら、クロッチの幅が広いものがおすすめです」
おりものシートの使い方には注意して
「おりものシートをあててぴったりした下着やズボンをはくと、外陰部と膣にふたをして閉め切る状態に。においやかゆみが悪化する原因にもなるため、妊娠中はあまりおすすめできません。基本はシートをあてず、通気性のいい下着で、外陰部の風通しをよくしましょう。
『おりものが増えてどうしてもあてたい』『尿もれも気になるのであてたい』という場合は、ある程度の厚みと吸収力がある、普通サイズの生理用ナプキンや尿もれパッド(尿もれの場合)を使い、こまめに交換しましょう」
おりもの、かゆみが気になるときはとくに温水洗浄機能は使わない
「おりものの変化やかゆみがあるときに、温水洗浄便座のビデ機能で洗うと症状が落ち着くかというと、そのようなことはありません。むしろ、腟炎が悪化するというデータもあります。
日本レストルーム工業会からも『膣や外陰部に異変があるときには、温水洗浄便座のビデ機能を控えるよう、製造元も広報しています』とお知らせしています。おりものやかゆみが気になるときはとくに、温水洗浄機能の使用はやめましょう」
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おりものは、子宮や腟内の状態を知るバロメーターともいえます。普段から気にすることも大切ですね。そして、デリケートゾーンを衛生的で快適な状態にするためには、おりものシートや温水洗浄機能を必要がないのに乱用していないか見直すことも必要です。(文・たまごクラブ編集部)
■監修/三井記念病院 産婦人科医長 中田真木先生
■参考:『たまごクラブ』2018年8月号「妊娠中のおりもの、デリケートゾーンのかゆみ これって大丈夫?」
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