「少し貯まったお金、どう増やす?」新米ママ向けの「つみたてNISA」講座を取材
noipornpan/gettyimages
妊娠や出産は、お金について見直すいい機会。「子どものため・老後のためにお金を増やしたいけど、具体的にどうしたらいいかわからない」というママやパパは多いと思います。今回は、金融庁と「経済に強いママを増やす会」が主催する「つみたてNISA Meetup mama部 in 東京」の様子をご紹介。お金のことが苦手な人に向けて、具体的にお金を増やす方法が提案されました。
日本では、“投資”は敷居が高いイメージ
セミナーが開催されたのは、証券会社が立ち並ぶオフィス街・茅場町。東京証券会館1階のスタイリッシュなカフェを貸し切り、約30人のママやパパが集いました。「子連れOK」ということで、赤ちゃんや子どももたくさん! 「お金に関するまじめなセミナー」というイメージとは違い、ママ友会みたいな雰囲気です。
初めに金融庁の方がお話されていたのは、「諸外国に比べ、日本では投資をする人が少なく、お金が働いていない!」という内容。確かに、投資をしている人は資産家や専門家という印象で、敷居が高いですよね。
「だって、リスクが大きそうだし…」
「まとまったお金がないとダメそうだし…」
という声が聞こえてきそうです。でも、銀行に預けていてもほとんど金利がつかないこのご時世、手元にあるお金には、賢く働いて増えてもらいたい! そこで登場するのが、初心者さんにおすすめの「つみたてNISA」というしくみです。
初心者向けの投資が「つみたてNISA」
ここで、「つみたてNISA」のしくみを簡単に説明しましょう。2018年1月にスタートした「つみたてNISA」は、年間40万円までの範囲内で投資信託(※)を積み立てていく制度で、値上がり益や、分配金・分配金の税金が、最長20年にわたり非課税になります。
また、「つみたてNISA」の大きな特徴は、特別に投資の知識を持たない普通の人でも安心して商品が選べるように、長期の資産運用に適した投資信託を金融庁が限定していることです。現在は、シンプルで低コストな投資信託148本(4月23日時点)が投資対象商品としてラインアップされています。
※投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配されるしくみの金融商品のこと。
「つみたてNISA」6つのポイント
●ポイント1:少額から始められる積み立てタイプの投資制度
●ポイント2:20歳以上なら、1人1口座開設できる
●ポイント3:運用中に得た利益は非課税(原則20%、現在は復興特別所得税がかかり20.315%の税金がかかる)
●ポイント4:非課税枠は、年40万円、20年間(最大800万)
●ポイント5:お金が必要になったらいつでも引き出せる
●ポイント6:金融庁が、長期投資に適したものになるような基準を設け、対象商品が厳選されている
投資のステップは、家計を明確にするところから
↑ 家庭のお金に関係する話だけに、ママだけでなく、パパも一緒に参加するファミリーが多数。交代で赤ちゃんを抱っこする姿も見られました。
だんだん「つみたてNISA」に興味が出てきましたか? セミナーの第3部では、ファイナンシャルプランナーの岩城みずほ先生より、具体的な資産形成のステップのお話がありました。それぞれの家庭で、いくらをどう使うか、というリアルなお話に、参加者もいっそう前のめりに!
ここで注目したいのが、「貯めながら増やすために、貯蓄全体で、投資信託などのリスク資産をいくら持つか」という部分。岩城先生が提案するのは、「リスクを360で考える」こと。
「最悪の場合、1年で3分の1の損をする可能性もあるけど、同じくらいの確率で、4割くらいもうかることもあり、平均的に年率5%程度でもうかる投資対象があったら、あなたはどれくらい持ちたいですか?」
65歳に定年退職をしたら、多くの人は、公的年金とそれまで貯めたお金を取り崩して生活します。老後が30年間とすれば、月に直すと360カ月です。
運用して貯蓄が360万円増えれば、取り崩せるお金は毎月1万円ずつ増えることになります。逆に減ると、生活費が1万円減ることに。生活費が1万円減っても大丈夫と思えるなら、360万円の3倍の1080万円までリスク資産を持つことができます。1万円も減っては困ると思うなら、投資額を減らしましょう。
「いくら持ちたいか、ピンとこない…」という人は、家計がどのような状況か、わかっていない証拠。家計の状況と、月々の積立額を明確にするところから始めることが大切です。
岩城みずほ先生の「資産形成を始めるための6つのステップ」
STEP 1:まず、月々の積立額を決める
(参考:「人生設計の基本公式」)
STEP 2:全体でリスク資産をいくら持つか決める
STEP 3:リスク資産(国内外の株式、投資信託、外貨預金など)と無リスク資産(普通預金、個人向け国債など)の中身を決める
STEP 4:お金の置き場所を決める(「つみたてNISA」など)
STEP 5:投資商品を選択する
STEP 6:金融機関を決める
セミナー終了後、参加者の方に感想を聞きました。
●「2歳の上の子を夫に預け、7カ月の下の子と参加しました。株で大失敗した経験があり、もうこりごり。つみたてNISAならコツコツ始められるかなと、口座を開設しました。育休中の今が勉強するのにいいタイミングです!」
●「妊娠8カ月で、子どもは3人欲しいと思っています。教育費のことなどを考えると、スマートにお金を貯めて増やしたい。自分が受けた教育レベルと同じくらいのことはしてあげたいから…。もう少しいろいろ勉強したいと思います」
お話を聞いたお二人とも、とくにお金に詳しいというわけではないご様子。こういったセミナーをうまく利用して、お金の情報をインプットしています。「お金って難しそうだから…」と敬遠しない姿勢が、最初の一歩になるのかもしれませんね。(文・たまごクラブ編集部)
■参考:金融庁主催「つみたてNISA Meetup(つみップ)」セミナーの詳細