【医師監修】妊娠初期の頭痛で注意すべきこと!
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妊娠初期に、頭痛で悩まされたという声が多く聞かれます。妊娠したらつわりというイメージがありますが、頭痛はあまり聞いたことがなく不安になる人が多いようです。そこで、産婦人科医の竹内正人先生に、妊娠初期のつわりと頭痛との関係について、お話をうかがってみました。
記事監修
日本医科大学大学院修了。米国ロマリンダ大学留学を経て葛飾赤十字産院などに勤務。よりやさしい「生まれる・生きる」をサポートするため、国や地域、医療の枠を終えて活動中。著書・監修書も多数。
頭痛は、妊娠初期によくある症状のひとつ
妊娠初期は、ホルモンの影響で、母体の血管が拡張しやすい状態にあり、その影響で頭痛が起こることがあります。これもつわりの一種のようなもの。つわりは、吐きけがする、食べていないと気持ち悪くなる、においで気持ちが悪くなる、食欲がない、これらの症状がよく聞かれます。でも実際は、唾液(だえき)が増える、ある一つの食べ物だけを食べてしまう偏食型になる、ひどく眠い…なども多くある声で、“頭痛がする”という声もその中のひとつとして、少なくありません。頭痛はつらいと思いますが、ホルモンの影響によるものなら、つわりが終わるころと同じくらいに、または妊娠経過が進むにつれて、症状は自然に治まってくることがほとんどです。
ホルモンの影響以外の初期の頭痛&対策
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ホルモンの影響による頭痛ではなく、なかには、注意したい頭痛がかくれていることもあります。チェックしておきましょう。
妊娠前から頭痛持ち
妊娠前から頭痛持ちの人の場合、頭痛が減ったという人もいる一方で、妊娠してから頭痛の頻度が増えた、頭痛がさらに強くなったという人もいます。妊娠前から服用していた薬は、市販薬も、病院から処方されていた薬も、自己判断で服用するのはやめましょう。頭痛でかかりつけの病院があるなら、その主治医に報告し、今後どうすべきか聞いてください。
風邪
妊娠中は免疫力が落ちるので、風邪もひきやすくなります。妊娠中は重症化しやすいので、無理をせずしっかり体を休ませましょう。
ストレス
妊娠した喜びがある一方で、仕事のことや今後のことを考えて不安になってしまう人も。不安を解消するのは、それほど簡単なことではありませんが、人に気持ちを聞いてもらうだけでも違います。夫や友人、先輩ママなど、信頼できる人に話を聞いてもらいましょう。
肩こり、目の疲れからくる頭痛
スマホやPCなどで、姿勢が悪くなったり、視力の使いすぎで頭痛が起きてしまうこともあります。妊娠中はとくに目が疲れやすい傾向にあるので、なるべく目を休ませる時間をつくったり、丸まった肩を広げるなどして、目や肩周辺の筋肉などをほぐしてあげましょう。ちなみに、肩こりなどがあっても、湿布薬の中には、妊娠時期よってはおなかの赤ちゃんへの心配な成分が入っているものもあります。勝手に市販の湿布薬を使うのは、妊娠中はNG。湿布薬などがほしい場合は、産科医に相談しましょう。
高血圧 「妊娠中は突然高血圧になる場合もあり、とくに注意が必要です!」
もともと高血圧の人は要注意ですし、妊娠中は突然高血圧になる場合もあり、とくに注意が必要です。赤ちゃんの発育が悪くなったり、ほうっておくと、最悪の場合、くも膜下出血になる可能性もあります。
<以下の場合は要注意! すぐに産院へ連絡しましょう>
□目がチカチカする
□頭痛がどんどんひどくなる
□割れるような痛みがある
□吐きけを伴う
など
脳出血
ごくまれではありますが、脳出血やくも膜下出血の症状であることもあります。頭痛がどんどんひどくなる、割れるような痛みがある、吐きけを伴うなどの場合は、早めに病院へいきましょう。
脳腫瘍
ごくごくまれなこととは思いますが、脳腫瘍の症状であることもあります。頭に割れるような痛みがある、吐きけを伴う、早朝に強い頭痛がある、視力の低下を伴うなどの場合は、早めに病院へいきましょう。
妊娠中でも辛いときは頭痛薬が処方されます
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Q妊娠に気づかず、妊娠超初期に、市販の頭痛薬を飲んでしまったのですが大丈夫でしょうか?
Aまず心配ありませんが、主治医に相談してみてください
受精卵が着床して1週間まで(妊娠4週未満;妊娠1カ月)の妊娠超初期であれば、そのころはまだ、ママが口にしたものが赤ちゃんに影響することはないので、現在妊娠を継続できているのであれば、問題ないでしょう。また、それ以降の服用であっても、妊娠中に飲むと問題がある薬というのはそれほど多いわけではありませんし、市販薬を数回飲んだくらいならば、赤ちゃんへの影響はあまり心配ないでしょう。ただ薬の種類によっても、判断は異なりますので、念のため主治医に「いつごろ・何を飲んだか」相談してみてください。専門の相談外来を紹介される場合もあります。
Q産科の先生に薬を処方されましたが、飲んでいいかやはり不安です
A妊娠経過に影響のないものが処方されます
妊娠中の薬の処方は、医師はとても慎重になります。医師が薬を出したときは、飲まないよりも飲んだほうが妊婦さんにとってメリットがあると判断したときで、妊娠に影響のない薬を選んでいます。でも、不安なまま服用するのもよくありませんから、その気持ちを医師に話して、納得して飲みましょう。ちなみに、妊娠中に処方される頭痛薬は、比較的穏やかな効果のものが多いです。痛みが強くなってから服用しても効果を実感しにくいようなら、本格的に痛くなる前に飲むようにしたほうがいいでしょう。
妊娠初期に頭痛の症状に悩まされる人は少なくありません。でもほとんどは、ホルモンの影響によるものなので、つわりが終わるころと同じくらいに、または妊娠経過が進むにつれて、症状は自然に治まっていきます。心配しすぎると緊張して、さらに頭痛がひどくなることもあるので、あまり考えすぎないことも大切かもしれません。痛みがひどいときは、妊娠中に飲んでも心配ない薬があるので、かかりつけの産科医に相談しましょう。
(文/たまごクラブ編集部)
初回公開日 2018/12/16
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