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つわりが重症化。「妊娠悪阻」かどうかの判断基準は? 予防法は? 入院したらどうなるの?

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Goran13/gettyimages

つわりが重症化して、食べることも、水分をとることもできず、生活に支障をきたして「入院治療が必要」と医師が判断したときに「妊娠悪阻(にんしんおそ)」という診断名がつきます。つわりと妊娠悪阻の境目は? 妊娠悪阻になったら、どんな治療を受けるの?など、東峯婦人クリニック院長の松峯寿美先生に聞きました。

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つわりは症状ですが、「妊娠悪阻」は病気です

つわりの主な症状は胸のムカムカや吐きけ、食欲不振、頭痛など。これらは妊娠に伴う生理的な変化で、胃腸の不快症状を伴うのが特徴。妊娠5~14週ごろの妊婦さんの多くが経験します。つらいけれど、なんとか飲食ができて、通常の生活ができるのであれば、それはつわりの症状の範囲内。でも、吐きけがひどくて水を飲むことさえできず、1日の排尿回数や尿の量が減ってしまったり、急激な体重減少が見られたときには「妊娠悪阻」と診断されます。日常生活に支障をきたすような場合は、点滴治療が必要になります。

重症かどうかの判断基準は? 医師に相談する目安は?

●吐きけが強くて水も飲めない
空腹、満腹を問わずに吐きけが起こり、食べ物も水も口にできないような状況が何日も続くときは要注意。激しい嘔吐(おうと)を繰り返すうち、胃液を吐いたり、吐いたものに血液や胆汁が混じることもあります。

●体重が5~10%ほど減少した
数日の間に自分の体重の5%以上が減ったときは要注意(体重が50kgであれば、2.5kg以上)。吐きけとともに、めまいやふらつきを感じるケースも少なくありません。

●トイレの回数、尿の量が減った
トイレに行く回数が減り、トイレに行っても尿が少量しかでないのは水分補給ができていないサイン。脱水症状を起こしている可能性があります。尿検査で、尿中に体内の脂肪が分解されてできた“ケトン体”という物質が出たら、つわりによる低栄養と脱水症状が心配です。点滴治療が必要になります。

※上記の症状のうち、1つでも当てはまるものがあったら、つわりが重症化して「妊娠悪阻」に移行している可能性があります。

妊娠悪阻が赤ちゃんに影響することはあるの?

つわりが起きるのは、妊娠初期にhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの分泌が急激に増えるのが原因のひとつ。また、妊婦さん自身の性格や不安感、ストレスなども関連しているとされています。つわり自体が赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはないですが、万一、つわりが重症化してママが脱水症状を起こすと、ママと赤ちゃんの命にかかわるため、早めの治療が必要です。

つわりにタイプがあるように、妊娠悪阻にもタイプがあるの?

LittleBee80/gettyimages

吐きづわりや食べづわり、においに敏感になるにおいづわりなど、つわりのタイプはさまざまな。「こんな人が重症化しやすい」と一概には言えませんが、激しい吐きづわりがある人は「妊娠悪阻」に移行する心配があります。また、吐きけがあるにも関わらず、食べすぎてしまう人も要注意。加えて、ママ自身か感じる不安やストレスなど、精神面や環境面の要素もつわりを悪化させる一因と考えられています。

Q 妊娠悪阻になりやすいのは、どんなつわりタイプの人?

食べたり飲んだりするたびに吐いてしまう人は注意が必要です。また、気に入った食べ物を一度にたくさん食べて吐いてしまう人は、食べすぎによって胃に負担がかかり、吐きけを誘う心配があります。

Q 胃痛やのどの痛みは、吐きけがひどいせい?

激しく嘔吐すると、逆流性食道炎を起こしたときのように食道の粘膜があれてさらに吐きけが出やすくなり、のどが痛くなることがあります。また、嘔吐とともに胃の筋肉が収縮するため、胃痛が起こることもあるでしょう。吐きけや嘔吐を繰り返すときは、一気にたくさん食べたり、無理やり食べたりしないことです。

Q めまいがしたり、フラフラするのも、吐きけと関連しているの?

吐きけやめまいは、副交感神経が優位になりすぎたときに起こります。“副交感神経が優位”と聞くと、一見リラックスできてよさそうなイメージがありますが、副交感神経が優位になりすぎると、脳貧血が起きてクラッとしたり、吐きけを招くことがあるのです。実は、吐きけや嘔吐は体の防衛本能の一種。嘔吐反射が起きることで、低下した頭部の血圧を正常値に戻す働きもあるのです。めまいや、ふらつきとともに吐きけを感じたときは、頭の位置を心臓より下に下げて休むと少し楽になります。

つわりを悪化させないために、自分でできることは?

吐きけや嘔吐を繰り返す場合は、つわりの重症化を防ぐためにも、水分補給と食事のとり方を工夫してみてください。つわりの時期には、温かいものよりも冷たく冷やしたものが食べやすく、また、少量ずつ食べることで、いくぶん症状を軽減することができます。

水分をこまめに少量ずつとって、脱水を予防しましょう

吐きけが強い場合でも、少量ずつ水分補給を繰り返し、脱水症状を予防することが大切です。「真水を飲むと吐いてしまう」人には、ビタミンや電解質を含んだスポーツドリンクがおすすめ。また、炭酸が飲みやすいという人もいますが、げっぷが出やすくなるため飲みすぎに注意して。カフェイン入りの飲み物は胃を刺激するので、避けたほうがいいでしょう。

少量ずつ小分けにして、ちょこちょこ食べるのがおすすめ

吐きづわりの人は、一気にたくさん食べると吐きやすくなるため、1日3食の食事を5回にくらいに分けて、少量ずつ食べるようにしましょう。揚げものや油っぽいメニューは胃に負担をかけ、食後の吐きけを招きやすいので避けたほうが無難。できるだけ消化のいいものを食べましょう。

熱いものより、冷たいものが食べやすい

つわりの時期は、冷たいものが食べやすく、胃を冷やすと症状がおさまるとされています。おすすめは、冷ややっこや寒天、ソーメンなど、口あたりがよくて消化のよいもの。冷たいミネラルウォーターやシャーベットなどもいいでしょう。熱々のメニューは香りがたつため、気持ち悪くなりがちですが、少し冷やすと香りが気にならなくなります。ただし、冷たいものを食べすぎると胃を刺激してしまうため、食べるときは少量ずつにしましょう。

食事がつらいときは、サプリメントを利用してもOK

つわりの予防にはビタミンやミネラルがバランスよく配合されているマルチビタミンが有効とされています。1日あたりの用量・用法を守って服用すれば問題ありません。市販品でも妊娠中の女性向けのマルチビタミンが安心です。

妊娠悪阻になった場合、どんな治療を受けるの?

jeep5d/gettyimages

産院の尿検査で、体脂肪が分解されてできるケトン体が陽性反応(2+以上)を示し、生活に支障をきたしているときには「妊娠悪阻」と診断され、入院治療が必要になります。治療では点滴補液を行います。一方、吐きけがあっても、妊娠悪阻まではいかず、自分で飲食ができる人は通院治療となります。

入院して治療を受ける場合

●主な治療法は
吐きけや嘔吐、胸のムカムカは消化器障害。それらの症状を落ち着かせるために、入院後は医師の管理下で2~3日間絶食して、点滴補液で水分や栄養を補給します。点滴補液には1日に必要な水分1500~2000ccとともに、ブドウ糖や電解質、水溶性ビタミンが含まれています。
そして、絶食が明けたら、冷ややっこや寒天など、冷たくて消化のよい食べ物を少量ずつ食べ始めます。家事の心配をすることもなく、上げ膳(ぜん)据え膳の安静生活を送ることで、精神的にも肉体的にも楽になるようです。
※絶食の期間などは症状をみて医師が適宜判断します。

●入院期間と退院の目安は
症状の程度にもよりますが、入院期間は1週間から10日程度です。ひどい吐きけに悩まされ、起き上がるのもつらかった人たちが、思いきって入院することで回復していきます。

入院しないで通院治療を受ける場合

●主な治療法は
多少なりとも飲食ができる人を対象とするため、絶食は行わずに点滴補液を行います。入院と同様に安静に過ごせる環境が整っていないと、重症化して長引くケースも見られます。

●通院期間の目安は
数日間から1週間ほどの期間が一般的。回復しない場合は入院がすすめられるケースも。

●自己判断で絶食するのはNGです
通院治療を受けている妊婦さんが、自己判断で絶食を行うのは危険です。妊娠悪阻の絶食は医師の管理下で、点滴治療とセットで受ける必要があるからです。もしも自己判断で絶食して脱水症状に陥った場合、血栓性静脈炎や脳梗塞(のうこうそく)などのトラブルを招く恐れもあります。「吐きけが強くて、水も飲めない」というときは、医師に相談してください。

ママが妊娠悪阻になった場合、パパに知っておいてほしいこと

妊娠悪阻はつわりが重症化した病的な状態。自分ではコントロールできない体の不調です。ママが横になって過ごす時間が多かったとしても、理解してあげてください。赤ちゃんが「ママの体を大切にしてほしい」と、周囲にサインを出しているのだと考えましょう。
吐きけや嘔吐が続いて、食事がとれない妻を心配するあまり、「食べなきゃダメだ」と強要するのはNG。おなかの赤ちゃんはまだ小さい時期なので、ママが食べられないからといって、赤ちゃんに影響する心配はないので大丈夫です。パパはママにやさしい言葉をかけるなど、いたわってあげましょう。「つらいよね」と共感してあげてください。パパの思いやりを感じるだけで、ママの心がちょっぴり楽になるはずですよ。

妊娠悪阻を体験したママの体験談

「5週からつわりが始まり、現在11週です。何を食べても吐いてしまい、水分もとりづらい状況で、1カ月で体重が7kg落ちました。いつか終わりが来るとわかっているけど、つらすぎて心が折れそうです」

「3人目妊娠ですが、今回がいちばんしんどいです。体重が60kgから52kgに減り、朝から晩まで涙目でえづいています。でも、妊娠中苦労したら生まれてからは楽なはず! そう信じて頑張っています」

「つわりに効果的な飲み物、食べ物が自分にはあてはまらずイライラ。もともとBMIが低いため、病院で数回点滴を受けました。気分がよくなることはなかったですが、おなかに栄養がいくと思うだけでストレスが減りました」

「初めの病院では対応してもらえず、しんどくなる一方で、やむを得ず転院。5kgやせていたことに医師もビックリ。赤ちゃんに影響が出るといわれて入院し、点滴を受けたところ楽になっていきました。」

つわりと妊娠悪阻との境目は、日常生活に支障をきたすほどの強い吐きけによって、脱水症状の陥る心配がないかどうか。尿検査で、脂肪を分解する際につくられるケトン体という物質が見られたら、入院治療となる可能性が高いでしょう。症状を悪化させたり、長引かせないためにも、早めに受診してくださいね。
(文/大石久恵、たまごクラブ編集部)

監修/松峯寿美先生(東峯婦人クリニック院長)

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■文中のコメントは口コミサイト『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。

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