「這ってでも来い!」で退職を決意!指定席通勤、夫と行動…私の「マタハラ回避法」
3歳育児中。ライターの宮本真知です。出産、育児のなかで仕事と子育てのバランスに悩み、ライティングの道に足を踏み入れました。結婚後3年が経過し、ちょうど30歳になった節目の年に、子どもを持つことへの憧れが芽生えました。
社長に「這ってでも来い!」と言われて退職を決意
その年の冬はインフルエンザが大流行し、突然の大雪にも見舞われました。生理が止まり妊娠を期待していたその日も、恐ろしい量の雪が降りました。会社に休みの連絡を入れると、社長から「這ってでも来い」という返事が。妊娠しているかもしれないと思っていた私は、万が一のことを恐れて、社長の言葉を断り、お休みをもらいました。
その後「万が一、子どもができたらお休みをいただけますか?」など、少しずつ社内で根回しをして色よい返事をもらっていました。安心していた矢先、社長がインフルエンザに罹患した状態で出社してきたのです。体調を優先できない職場だと痛感し、大雪の時の言葉もあって退職を決意しました。
女性専用車両も優先席も味方しなかった“電車通勤”
その時期は、電車内のベビーカーのマナーや、「妊婦様」と名付けられたわがままな妊婦の態度が話題になっていました。ネットでは、「おなかを押された」「蹴られた」という妊婦の声と、「妊婦は邪魔だ」「席を譲る義務はない」という妊婦を悪く言う側の声の両方が氾濫していました。
私は、妊婦であることがバレると何かされるのではないか? という恐れから、マタニティーマークをバックのポケットに隠して通勤していました。つわりがひどいときやおなかが大きくなってきたときには、赤ちゃんのためにマークを出しておきました。
そうすると、目の前に座っている人全員が一斉に目をつぶるのです。まるで催眠術師になったような気分でした。それは女性専用車両でも、優先席でも変わりませんでした。7ケ月間出勤していて、席を譲ってもらったのは私の場合は3回でした。
マタニティーマークを見つけると、明らかに嫌そうな顔をする人や、優先席であっても素早く席を奪う人が多く、電車通勤はストレスのかたまりでした。夫と相談した結果、産休を取るまで毎日“指定席”を購入して通勤していました。
“体が大きいから”? 中年女性からぶつかられる
これはほんの数回ですが、スーパーや子ども服店で中年女性からぶつかられることもありました。故意かどうかは確認できませんでした。私の体が大きくなっていたため、他の方にぶつかってしまったというだけなのかもしれません。
こちらもつわりで上の空だったり、貧血でふらふらしていたりすることもありました。おなかが大きくなると動きがゆっくりになるので、遅くてイライラしたのかもしれません。
何度か人とぶつかったり、掴まれたりした後は、なるべく夫と外出すること、なるべく通路の広いお店を選ぶことを心がけるようにしました。あちらの表情が見えない分、意地悪でされたと決めつけないようにして、気持ちを落ち着けていました。
妊娠中は体調の変化とともに、気持ちも不安定になりやすかったように思います。私のマタハラ体験は、他の人に比べたらどうってことないかもしれません。でも「他の人はもっと大変だったから」といって我慢することも、我慢させられることもないと思っていました。私はこれくらいのことでも、つらいと感じましたし、忘れられないショックなことでした。小さなことでも家族に相談できたので、有料指定席を利用するなど、どうにかストレスを減らすことができました。夫の協力には今でも感謝しています。
[宮本真知*プロフィール]
一児の母。妊娠による退職、妊娠糖尿病、20時間の出産、母乳ノイローゼ、保活に失敗と、つまずきだらけの育児を経験。今は子育てと仕事の両立に悩む日々です。悩んだからこそ、失敗したからこそ学べたことをお伝えできれば…と思っています。
※この記事は個人の体験記です。記事に掲載の画像はイメージです。