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子どもはふたりで育てます、イケメン部長のひとことに【小説「ご懐妊!!」Vol.13】

『ご懐妊!!』Vol.13
スターツ出版文庫の大人気小説『ご懐妊!!』が、たまひよWEBにて連載中。「たまごクラブ」でもおなじみの産科医・大浦訓章先生のひと言解説もお見逃しなく。

●これまでのあらすじ
広告代理店で仕事に打ち込む佐波。悩みといえば、上司のイケメン鬼部長・一色が苦手なことくらい。それなのに、お酒の勢いで彼と一夜を共にしてしまい、後日、妊娠が判明!不安と途惑いの中、佐波はある決心をし部長に「赤ちゃんがいます」と告げたところ、部長の答えは「結婚」。途惑いながらも前進しだした佐波は…。


三ヵ月

 いつもの総合病院に着くと、処置室に通される。ちょうどお産が入って病院に来ていたおじさん先生が、姿を現した。
「気持ち悪いんだって? 点滴を処方しといたから、ここで受けてってね。私はこれからお産に入っちゃうんだけど、午前診療のどこかで診られるから」
「あの……先生、私ずっと食べてないし、赤ちゃんの様子もあれっきり見てなくて、心配で……」
「あー、はいはい」
 慣れた様子で看護師さんに指示を出すと、先生は行ってしまった。
 私と一緒に処置室にいる部長は、ポカンと後ろ姿を見送る。すぐに別の看護師さんが、コンパクトな箱型の機械を持って現れた。
 あ、この人、私にティッシュを渡してくれた人だ。胸のプレートで実は助産師であることがわかった。
「梅原さん、トイレはさっき済ませましたよね。こちらのベッドに寝てください。点滴は1本二時間くらいで、二本ね」
 私は言われるがままにコートを脱ぎ、ベッドに横になる。腕に点滴の針が入った。
 助産師さんは上掛けをかけてくれたけど、すぐに膝まで下ろす。
「お腹出しますよ」
「え?」
 私のヨレヨレ部屋着を、ぺろんとめくる。
 ぎゃー! 部長にお腹見られるっ!
 私の慌てっぷりにかかわらず、助産師さんはチューブからゼリーみたいなものをにゅるっと出して、お腹に伸ばし始める。そして、例のコンパクトな機械から伸びるマイクみたいな棒を、お腹に押しつけた。
 ――ドッドッドッドッ。
 あ、これは。
「なんだ?」
 部長が私を覗き込みながら聞いた。
「赤ちゃんの……心音です」
 私が答え、助産師さんが言う。
「赤ちゃん、元気ですね。梅原さんは、あとで下からの超音波で動いてる画像が見られますよ」
「はい、ありがとうございます」
「赤ちゃん、産む、でいいのかな?」
 この助産師さんが言ったのだ。『もう少し考えたら?』って。
 部長が割り込むように答える。
「はい! 彼女の婚約者です。子どもはふたりで育てます」
 助産師さんが嬉しそうに、うんうんと頷いた。

 点滴に繋がれ、私は二時間ほど眠った。病院で処置されているって安心感と、ここ数日の吐き気による睡眠不足もあって爆睡。
 その間、部長には外出してもらった。朝から迷惑かけちゃったし、さらに二時間も病院に缶詰めじゃ悪い。
 夢を見ていた。
 モヤモヤした揺らめきはなんだろう。私、海の底にいるのかな? 気持ちいいなぁ。
 ふっと目が覚めると、助産師さんが私の腕から点滴を抜くところだった。
「よく眠れました? 婚約者の彼が待合室に戻ってますよ。じきに診察で呼ばれるから、ふたりで中待合室に入っててくださいね」
 夢の余韻でふわふわしながら、部長と合流する。身体が少し楽になったみたい。油断は禁物なんだろうけど。
 すぐに診察室に呼ばれ、おじさん先生と再会した。
「まず、内診するよ。彼は遠慮してください」
 先生にあっさり言われ、部長は『なにっ!?』という表情をした。たぶん、赤ちゃんのエコーを一緒に見たかったんだと思う。うーん、わかりやすい人……。
 エコーの機械、だんだん慣れてきちゃったなぁ、なんて思いながら画面を見ていると、動画が映った。
 え! おっきくなってる!
 豆粒が二等身になった程度なんだけど、確実に前回とは違う。
「今日で十週一日だね。頭からお尻までで三・五センチメートル」
「そんなに……」
 私は人差し指と親指でだいたいの大きさをイメージしてみる。こんなに大きな命がすでにお腹にいるの?
「母子手帳もらった? 検診の補助券が入ってるから、次回からはそれ出してくださいね」
 画面のブレだけじゃない。赤ちゃんが少し動いているのも見えた。
 すごい。私がこんなに苦しんでいるのに、この子はマイペースに大きくなっている。マイペースにモゾモゾやっている。すごいよ。尊敬しちゃうよ、我が子!
「あらためまして、妊娠おめでとうね、梅原さん」
 助産師さんから聞いていたみたいだ。カーテンの向こうでおじさん先生が言った。

つづく
【小説「ご懐妊!!】次回をお楽しみに


大浦先生アドバイス

点滴は1本500ミリリットルで100キロカロリー(ごはん一杯ちょっと)です。1本約2時間かかります。つわりで点滴する場合は2本で合計4時間ということが多く、ベッドの都合もあるためあらかじめ病院に電話して受診する可能性を相談しておくとよいでしょう。

著者/砂川雨路  イラスト/くにみつ 監修/大浦訓章先生

この小説はスターツ出版文庫から刊行されている『ご懐妊!!』より掲載しています。たまひよWEB版は産婦人科医大浦訓章先生の監修のもと一部改訂しております。


砂川雨路
Profile
群馬県出身。東京都在住。著書に、『愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~』『クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした』(ベリーズ文庫)、『僕らの空は群青色』(スターツ出版文庫)などがある。現在、小説サイト「Berry's Cafe」「ノベマ!」にて執筆活動中。『ご懐妊!!』(スターツ出版文庫)は現在3巻まで発売中。テキストリンクなどもはれる。

大浦 訓章先生
Profile 
南流山レディスクリニック院長 慈恵医大卒。産婦人科准教授、同大付属病院総合母子健康センター産科部門長、東京母性衛生学会理事、日本周産期新生児学会評議員・副幹事長、日本周産期新生児学会新生児蘇生法委員などを歴任。現在、周産期メンタルヘルス学会評議員、女性スポーツ研究会理事、2020年産科婦人科学会、医会産科診療ガイドライン作成委員、2023年同評価委員。「たまごクラブ」でも監修をつとめる。

南流山レディスクリニック

ご懐妊!!3~愛は続くよ、どこまでも~

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