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いよいよ実家へ……どきどきのドライブ【小説「ご懐妊!!」Vol.18】

『ご懐妊!!』Vol.18
スターツ出版文庫の大人気小説『ご懐妊!!』が、たまひよWEBにて連載中。「たまごクラブ」でもおなじみの産科医・大浦訓章先生のひと言解説もお見逃しなく。

●これまでのあらすじ
広告代理店で仕事に打ち込む佐波。悩みといえば、上司のイケメン鬼部長・一色が苦手なことくらい。それなのに、お酒の勢いで彼と一夜を共にしてしまい、後日、妊娠が判明!不安と途惑いの中、部長に「赤ちゃんがいます」と告げたところ、部長の答えは「結婚」。途惑いながらも前進しだした佐波、ふたり暮らしを始め、会社にも報告し段々と…

四ヵ月

 助手席の窓を薄く開ける。
 高速道路なので、結構な強風が車内に飛び込んでくる。ぶぶぶぶぶと大きな風の音も。
「手ぇ出すなよ」
 部長が風の音に負けないように声を張った。
「出しませんよ!」
 子どもじゃあるまいしと、私も負けじと声を張った。まだ気持ち悪いときもあるし、窓を開けたほうが気が楽なのだ。
 関越道(かんえつどう)は空いていて、スムーズだ。この調子ならあと一時間半で到着ってところだろう。
 私たちは結婚の挨拶のために、私の実家に向かっている。
 そもそも、結婚したいと母に電話で話した時点で、両親は賛成だった。
『でね、赤ちゃんがいるんだ、お腹に』
 言いづらい、できちゃった婚報告なのに、母は明るい声で答える。
『あらっ、今は授かり婚っていうのよ。Wハッピー婚ともいうんだって。この前テレビで観たわ』
『相手は会社の上司で、部長なんだけど』
『ずいぶん年上?』
『まだ三十三歳』
『やだ! あんた優良物件、捕まえたわねー。ちょっとトロいところがあるから心配してたのに、すごいじゃない~。ちょっと、お父さん聞いて~!』
 ……こんな調子。
 うちの母、かなり天然で呑気なんだけど、還暦(かんれき)が近づいて磨きがかかっている。
「部長のご家族には、本当に挨拶へ行かなくていいんですか?」
 空気が入れ替わったので、窓を閉める。私は車窓を眺めながら尋ねた。
 部長は私の両親への挨拶だけで入籍すると言うのだ。
「いい。実家を仕切ってる叔父には連絡した。うちの親父は二十年も前に死んでるし、母親は今、体調が悪くて入院中だ。たぶん、式も叔父夫婦が来るだけになるだろう」
 そんなものなのかな? 部長はひとり息子だ。お母さんの具合が悪いなら余計に、挨拶に行ったほうがいいんじゃない?
 でも、この件に関しては部長の口が重いので、私は特になにも言わないようにしていた。

 車は高崎(たかさき)インターで高速を降り、実家の方向に向けてぐんぐん進む。山沿いの少し高くなった土地に、両親の住む実家がある。
 車を降りると、すぐに母が飛び出してきた。
「まーまー、よくいらっしゃいました。遠かったでしょう」
「はじめまして、一色と申します。大泉(おおいずみ)で関越に乗って二時間ほどでした。それほどかかりませんでしたよ」
 部長はすでによそ行きの笑顔。さすがですよ、そのコミュニケーション力。
 久しぶりの実家に入ると、居間で父が待っていた。
 父は決して頑固親父ではない。どちらかというと、母と同じくらい呑気者で穏やかな人だ。でも、この対面の瞬間は緊張した。ソファに座る父の表情が厳しかったから。
「一色褝と申します」
 部長は丁寧に言い、床に膝をついた。そして、なんと型通りに土下座したのだ。
「佐波さんと結婚させていただきたく、お許しを頂戴しに参りました」
 私は仰天していたけど、すぐに自分も部長の横に膝をついた。
「結婚前に佐波さんを妊娠させてしまったことは、誠に申し訳なく思っております。ですが、佐波さんを愛する気持ちに偽りはありません。どうかお許しくださいますようお願いします」
 相変わらずスラスラ出てきますね、部長。私は呆れではなく、感嘆を持って見守る。
 すると、ソファから父が立ち上がった。彼は私たちの前にやってくると、同じように床に膝をついた。そして、厳しい表情のまま言う。
「佐波はひとり娘です」
 その雰囲気で、私は一気に不安になった。
 

つづく
【小説「ご懐妊!!】次回をお楽しみに


大浦先生アドバイス

長時間のドライブは2時間ごとに休憩をとって水分をしっかりとってください。血栓予防のため、足の曲げ伸ばしをしまそう。妊婦さんは膀胱炎になりやすいので、トイレはガマンしないようにしてください。

著者/砂川雨路  イラスト/くにみつ 監修/大浦訓章先生

この小説はスターツ出版文庫から刊行されている『ご懐妊!!』より掲載しています。たまひよWEB版は産婦人科医大浦訓章先生の監修のもと一部改訂しております。


砂川雨路
Profile
群馬県出身。東京都在住。著書に、『愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~』『クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした』(ベリーズ文庫)、『僕らの空は群青色』(スターツ出版文庫)などがある。現在、小説サイト「Berry's Cafe」「ノベマ!」にて執筆活動中。『ご懐妊!!』(スターツ出版文庫)は現在3巻まで発売中。テキストリンクなどもはれる。

大浦 訓章先生
Profile 
南流山レディスクリニック院長 慈恵医大卒。産婦人科准教授、同大付属病院総合母子健康センター産科部門長、東京母性衛生学会理事、日本周産期新生児学会評議員・副幹事長、日本周産期新生児学会新生児蘇生法委員などを歴任。現在、周産期メンタルヘルス学会評議員、女性スポーツ研究会理事、2020年産科婦人科学会、医会産科診療ガイドライン作成委員、2023年同評価委員。「たまごクラブ」でも監修をつとめる。

南流山レディスクリニック

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