わが子をアレルギーから守るために! 妊娠中の気がかりQ&A【アレルギー専門医】
現代の日本では、アレルギー疾患になる子どもが増えています。現在妊娠中で、生まれてくる赤ちゃんがアレルギー疾患にならないか心配なママも多いのでは? そこで、妊娠中のママのアレルギーの気がかりについて、小児アレルギーが専門の大矢幸弘先生に聞きました。「妊娠中から知っておきたい! 赤ちゃんのアレルギー予防」第2回
【Q】親がアレルギーの場合、赤ちゃんに遺伝する?
夫がそばアレルギーなので、赤ちゃんに遺伝しないか心配です。親のアレルギーは遺伝するのでしょうか?
【A】アレルギーになるやすい体質かどうかは遺伝することが
「母親がそばアレルギーだから、子どももそばアレルギーになる」というよ
うな単純な遺伝はしません。ただ、アレルギー疾患になりやすい体質というのは遺伝することが。また、両親ともにアレルギー疾患がなくても、子どもがアレルギー疾患になることもあります。
【Q】妊娠中にできる、赤ちゃんのアレルギー対策はある?
妊娠中の今から、赤ちゃんのアレルギー対策として、できることはありますか? アレルギーになりやすい食材は避けたほうがいい?
【A】決定的な対策は今のところなし。バランスのいい食事を心がけて
今のところ「これ」という決定打はなく、妊娠中に食事制限をしても、掃除を徹底しても、赤ちゃんがアレルギー体質になるのを防ぐことはできません。
食事制限はせず、なんでもバランスよく食べるようにしましょう。また、一般的な傾向として、魚や野菜中心の和食のほうがアレルギー疾患の予防にはいいと考えられています。添加物の多い食べ物やジャンクフード、砂糖が多いお菓子は食べすぎないほうがいいでしょう。
【Q】心配な場合、生まれたら、早めにアレルギー検査をしたほうがいいの?
両親ともにアレルギー体質で、小さいころは食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、大人になった今は花粉症があります。赤ちゃんも生まれたらアレルギー検査をしたほうがいいでしょうか?
【A】症状が出ていなければ、検査は必要ありません
何がアレルギーの原因になっているのかは血液検査で調べることができますが、検査は症状が出てからその原因を特定するために行うもの。予防のために行うものではありません。心配な症状が出てから、医師に相談しましょう。
【Q】産後、授乳中は食べ物に気をつけたほうがいいの?
授乳中にママが食べたものでアレルギーになることもある? アレルギーが心配な食べ物は控えたほうがいいのでしょうか?
【A】授乳中にアレルゲンを除去してもアレルギー発症の予防にはなりません
母乳には母親が食べたアレルゲンが微量に含まれますが、アレルギーが心配な食べ物を除去しても、赤ちゃんのアレルギー発症を予防する効果はありません。
むしろ、授乳中に母親がいろいろなものを食べて、母乳を通してたくさんの食べ物を赤ちゃんの口から入れておいたほうが予防になると考えられます。
ただし、アレルギーを発症した赤ちゃんの場合には、母乳に含まれる微量なアレルゲンにも注意が必要になることがあるので、医師に相談をしてください。
取材・文/渡辺有紀子、たまごクラブ編集部
「昔は妊娠中や授乳中に母親が食べたものが原因となると考える人もいましたが、今はさまざまな研究からそのような事実はないことが証明されています」と大矢先生は言います。小児アレルギーの研究は日々進化しているので、昔の常識が今では違っていることも多いそうです。
赤ちゃんのためにも、小児のアレルギーを研究している専門医が発信する情報をチェックして、間違った情報に惑わされないようにしましょう。
参考/『たまごクラブ』2020年8月号「“わが子をアレルギーから守る!”新生児からの心得」