加藤ローサ、出産エピソードを語る。無痛が8割以上のフランスで出産して感じたこと
6月2日が「無痛分娩を考える日」に制定されました。この日が日本記念日協会から認定されたことを記念し、日本での無痛分娩に関する知識向上をめざしたイベントが、静岡県浜松市で開催されました。
発起人は、産婦人科専門医かつ麻酔科指導医であり、現在は無痛分娩を行う産院に対して、より安全性を高めるためのコンサルティングを行うLA Solutions代表の入駒慎吾先生。イベントでは「日本で無痛分娩を普及するために」というテーマで女優・加藤ローサさんが、フランスで第1子を無痛分娩で出産した時の様子を始め、2児の出産エピソードについて話してくれました。
第1子の長男の出産は、無痛分娩が主流のフランスで
現在、2人の小学生の男の子ママである加藤ローサさん。2011年に長男を出産したのは、プロサッカー選手である夫の松井大輔さんとともにフランス在住だった時のこと。フランスは、お産全体の8割以上が無痛分娩だといいます。
「無痛分娩が主流。無痛分娩が無料で、保険の適用内。なので、無痛分娩にする?しない?というような選択するような次元ではなかったです。最初からお産は『無痛分娩だよ!』みたいな感じ」(ローサさん)
「海外で無痛分娩が普及しているところは、『無痛分娩をしない』と言うと、逆に驚かれるんですよね」(入駒先生)
日本とフランスの違いが大きいと感じてしまいますが、入駒先生によると日本の無痛分娩が決して遅れているわけではないそう。
「フランスのような無痛分娩の普及国では、大きい施設にお産が集約され、一施設あたりの分娩数が多いため、麻酔医と産婦人科医の分業がされています。
一方、日本では分娩数が少なく、アクセスのいい近所の個人産院で出産することが多いため、無痛分娩のために産婦人科が麻酔をするのが一般的です。そういった医療背景の違いから、高い安全性を守るために、日本で無痛分娩が普及するのには時間がかかる、と考えています。いわば、『地に足のついた広がり方をしている』という状況です」(入駒先生)
“無痛”だと思っていたら…、麻酔を受ける子宮口4cmまでが大変!
フランスで第1子を無痛分娩で出産をしたローサさんですが、安産だったのではなく、「本当に大変だった…」と言います。
「『無痛だ〜!(まったく痛くない)』と思って、出産に挑んだのですが、子宮口が4cm開いてからでないと、麻酔が始められないと言われて…。結局、4cm開くまでに一泊入院しているんですよ。その間が結構痛いんです。『助けて、助けて』みたいな感じで、めっちゃナースコール押しました!」(ローサさん)
子宮口が4cmになるまで長く陣痛に苦しめられたものの、それ以降から出産までの陣痛のピークや最後の生み出す痛さは、麻酔を受けて緩和することができたそう。
「麻酔がなかったらどうなってたんだろう?と思うと正直、怖いです。2人目は日本に帰ってきていたので、その時は鹿児島で生活をしていて、『鹿児島の実家から通える距離』に加えて、『無痛分娩ができること』を条件に産院を選択しました。
しかし、2人目はお産の進行がとても早く、麻酔の処置をするより先に、もう出産したほうがいいという主治医の判断で、無痛分娩ではなくそのまま出産になっちゃいました」(ローサさん)
医療の手厚さは日本に軍配!フランスの看護師さんにびっくり
日本で出産した2人目の時は、医療のきめこまやかさや、スタッフのやさしさに感動したというローサさん。
「フランスは、出産費も入院費も無料。ただ、(ママと赤ちゃんへのケアが)手厚いかと言ったら…(苦笑)。出産して、元気そうなら2〜3日で退院して、なんかあったら来てくださいみたいな。最低限ですね。無料だからね。また、『赤ちゃんが泣きやまない』と看護師に相談した時には、看護師さんが突然小指を赤ちゃんの口にブスッと入れ、『こうやったら泣きやむから!』と言われたんです。看護師さん、めちゃめちゃ怖かったです」(ローサさん)
自ら無痛分娩を経験し、日本でももっと普及すればいいと思っている加藤ローサさんから、妊婦さんたちへのメッセージも。
「こういった令和の時代ですからね。いろんな選択肢があるよって、みなさんに知ってもらって、安心して、満足のいく出産にのぞんでいただけたらいいなと思います」(ローサさん)
取材・文/ひよこクラブ編集部
10年前の無痛分娩の体験談をざっくばらんに話してくれた加藤ローサさん。日本とフランスの違いや、経験をしたからこそのリアルな話は興味深いものばかり!現代の日本では、無痛分娩を希望していても、対応している産院がないというケースがまだまだあると思いますが、たくさんの人が選択肢の一つとして無痛分娩を考えられるようになるといいですね。
※イベントの内容を受け、編集部で読みやすく再編したものです。