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小児の川崎病発症数が激減。新型コロナウイルス感染症との関連性は?【専門医】

アジアの3 - 4歳の幼児の男の子は、子供のための公衆トイレ/バスルームの流しに自分で手を洗う保護医療マスクを着用 - ソフト&選択的な焦点
yaoinlove/gettyimages

2020年、欧米で新型コロナウイルスに感染した子どもが川崎病に似た症状を示したと報道されるなど、新型コロナウイルスの流行で、川崎病にも注目が集まっています。この2つの病気には関連性があるのでしょうか。日本川崎病学会副会長を務める、日本大学医学部小児科新生児科科長の鮎澤衛先生に、現時点でわかっていることを聞きました。

新型コロナウイルス感染症と川崎病は直接的な関係はない、と考えられる

川崎病は日本の医師、川崎富作先生が1967年に世界で初めて報告した病気。0~4才に多く発症し、38度以上の高熱が出て、全身の血管に炎症が起こります。近年、日本国内の患者数が増え続けているのが問題視されていました。
一方、昨年欧米で、新型コロナウイルス感染症が重症化した子どもに、川崎病に似た症状が見られたと報道され、新型コロナウイルスと川崎病の関係が注目されるようになりました。

――川崎病と新型コロナウイルス感染症は、関連があるのでしょうか?

鮎澤先生(以下敬称略) 新型コロナウイルスと川崎病の関係が注目されたこともあり、日本川崎病学会では、2020年11月4日~12月30日に、学会運営委員(54人)に川崎病と新型コロナウイルスに関するアンケートを実施しました。その結果、PCRや抗体検査などで新型コロナウイルス陽性と判断された小児の川崎病患者は、検査を実施した99人のうち2人でした。この割合は、川崎病以外の病気で入院した子どもと変わりません。この結果からも、新型コロナウイルス感染症と川崎病には関連がないと言えると思います。

――川崎病は日本では発症率が高い病気なので、新型コロナウイルス感染症とは別の病気であるとわかったら、子育て中のママ・パパの心配を1つ減らすことができそうです。また、川崎病にかかったことがあるからといって、新型コロナウイルスにかかりやすいわけではなく、仮にかかっても重症化しやすいわけではない、と考えていいでしょうか。

鮎澤 そう考えていいです。2021年2月までの時点で、子どもの新型コロナウイルス感染症が重症化したときに見られる「小児多系統炎症性症候群」が国内で3例だけ報告されてはいます。2例が10才前後、もう1例はもっと年齢が上の子どもで、治療によって全員回復しています。血液の炎症を抑えるために免疫グロブリンを使用するのは、川崎病の治療と同じですが、それ以外の症状に対する治療も必要になります。

――2021年2月25日に、日本小児科学会と日本川崎病学会が連名で出した「新型コロナウイルス感染症の小児重症例について」の文書の中に、「川崎病と診断された患者さんを特別に隔離する必要はない」と書いてあったのが気になりました。そういう事例があったのでしょうか。

鮎澤 欧米で新型コロナウイルスに感染した子どもが川崎病に似た症状を示したことから、「川崎病で入院した子どもからも感染が広がるではないか」と考え、個室に移した例があったようです。欧米の医師は、日本の医師のように川崎病の扱いに慣れていないことが多いので、そのようなことになったのではないかと思います。
日本国内では川崎病は珍しい病気ではなく、日本の医師は川崎病の知識が豊富で治療法もよく知っているので、川崎病の子どもを隔離するような間違った対応はしないと思います。しかしながら、ここのところ川崎病と新型コロナウイルスの関連性が取り上げられていたので、文書内で発表しました。

2020年は川崎病が顕著に減少。川崎病はウイルスなどの感染による何らかの刺激で発症する!?

――新型コロナウイルスの感染が拡大する直前まで、川崎病が年々増え続けているから警戒が必要だと言われていました。最近の発症数はどのようになっていますか。

鮎澤 先ほども話した川崎病に関するアンケートによると、17の施設での2020年1~10月の川崎病患者の入院件数は460件でした。2019年1~10月は711件でしたから、4割程度減っています。これは日本全体を見ても同じような傾向にあるようです。

――1990年ごろからずっと増加傾向にあった川崎病が減ったんですね。新型コロナウイルスの流行によって手指消毒やマスクの着用などで感染予防に努めたことは、川崎病の減少に関係していると考えられますか。

鮎澤 手指消毒とマスク着用などの感染予防対策によって、子どもの感染症が減っていることは明白です。そして、川崎病も同じように減っています。川崎病は人から人への感染はしないので、感染症とは考えられていませんが、子どもの感染症が減ったことと、川崎病が減ったことの間に何らかの因果関係があることは確かでしょう。

川崎病は50年以上研究が続けられていますが、いまだに原因は解明されていません。そのため断定はできませんが、「ウイルスなどの感染によって何らかの刺激を受けること」が川崎病発症の大きな要因になっているのではないかと考えられます。これを機に川崎病の解明が進むことが期待されます。

――日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。現状では16才以上が接種対象となっていますが、いずれは子どもも接種対象になるのでしょうか。

鮎澤 子どもへのワクチン接種も研究はされていますので、少しずつ接種対象年齢が下がっていく可能性はありますね。でも、今のところ子どもは感染しても重症化リスクは低いと考えられるので、基礎疾患がある子どもなど、リスクが高いケースに限定されるかもしれません。

現状では今まで通り、日常生活の中でできることで感染予防に努めましょう。外に出たら、とくに不特定多数の人が触るものに注意を。たとえば、子どもはバスやエレベーターのボタンを押すのが好きですが、触ったらすぐにアルコール消毒をするのを習慣にしてください。
そして、何より重要なのは大人が家庭内にウイルスを持ち込まないこと。子どもだけでなく、大人の感染予防も徹底して行ってください。

お話・監修/鮎澤衛先生 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

川崎病、新型コロナウイルス感染症ともにわからないことが多い病気ですが、どうやら、この2つの病気は直接的な関係はないようです。当面は感染予防に努めつつ、研究が進むことを期待しましょう。

鮎澤衛先生(あゆさわまもる)

Profile
日本大学医学部小児科新生児科科長。専門分野は循環器、川崎病。日本小児科学会認定小児科専門医・指導医。日本循環器学会認定循環器専門医。日本川崎病学会副会長、日本小児循環器学学会評議員なども務める。

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