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「1才過ぎたらしつけが必要?」親が抱える悩みに3児のママ小児科医がアドバイス

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指をしゃぶる子供
chachamal/gettyimages

3児を子育て中のママ小児科医・藤井明子先生が、診療の中でママ・パパたちから寄せられたお悩みについてのアドバイスや、日々の子育てに頑張っているママ・パパに伝えたいさまざまな情報を発信している連載です。第9回目は、先生自身の子育てを通して感じている「子どものしつけ」がテーマです。

しつけのスタートに、早いも遅いもない

1才過ぎくらいになると、赤ちゃんから徐々に子どもらしくなってきて、自己主張が出始めてくる子もいます。
それと同時に、お母さん・お父さんたちから、「そろそろしつけを始めたほうがいい?」といった相談を受けることもあります。

しつけとは社会で生きていくためのルールやマナーを身につけさせることですが、いつから、どのようにしたらいいのか、どのくらい頑張ったり、厳しくしたらいいのか、悩む親が多いようです。

子どもは、親の姿やまわりにいる大人の姿をよく見ています。まずはお母さんやお父さん自身の作法や礼儀などを振り返ることがいいかと思います。その姿を見て、お子さんもまねをしていくでしょう。
だから、いつからというわけではないですが、赤ちゃんのころからしつけを意識していても悪くはないわけです。

親だけがしつけを頑張らなくていい

たとえば、まわりにいる大人が日ごろから「いただきます」と言って食事をしている姿を見せていれば、子どもに強制したり、「しつけなくちゃ」と親が力んだりしなくても、ごはんの前にはそうするものだ、と伝わっていきます。

また、しつけはお母さん・お父さんだけがするものでもありません。園の先生、祖父母、地域の人など、子どもにかかわるすべての大人がかかわっていくことだと思います。親だけが頑張る必要はないかと思います。

私は3年前まで長崎県の病院に勤務していましたが、長崎の生活環境は、しつけの意味でもとてもよかったなと感じています。朝、子どもたちが学校へ行くときには、近所のお花屋さんが「おはよう、いってらっしゃい」と声をかけてくれ、子どもたちも「いってきます」と返す、というやりとりがありました。商店街を歩けば、「〇〇ちゃん、大きくなったね」「えーおかげさまで、元気にしています」といった大人同士のやりとりを子どもに見せる機会も多くあったように思います。

同年代の子どもとのかかわりは、園での生活で見られるかと思います。園生活でお友だちに何かしてしまったときに、お友だちに謝ったり、謝られて許したりと言ったやりとりを促すことができるのは、園の先生の場合もあるでしょう。

親を中心に、子どものまわりにいる大人全体が、子どものしつけを担っているという社会になればいいなと思います。だから、お母さん・お父さんには、自分たちでやらねばならないと思いこまないで、周囲にいる大人を巻き込むような形で、しつけができるといいと伝えています。

子どもに“強制”するのはやめよう

また、しつけのしすぎが虐待につながるのではないか、と心配する親もいます。虐待を心配するほどに、強制的に行動を変えさせようとするのは、子どもにとっても親にとってもマイナスなことです。

子どもが大きくなったときに困らないように、恥ずかしい思いをしないように…という親心ゆえのしつけなのかもしれませんが、“強制”してしまったら、せっかくの親心も伝わりません。

しつけも大切ですが、それ以上に大切なのが、お母さん・お父さんと子どもとの信頼関係、安心できる関係性です。その関係性が崩れそうなほどのしつけ方をしなければならないのか、一度立ち止まって考えるのもいいでしょう。

外来では、「ひじをついて食事をするのがどうしても直らない」「バッテン箸で食べるのが直らない」といった小学校高学年以降の子どもがいる保護者からの相談もあります。

その都度に声かけしてもいいのですが、がみがみと言ってしまうことでせっかくの食事がつまらなく、おいしくないものになってしまったら、それは残念ですよね。たとえば、声かけするとしても、「1回の食事中に1回だけ声をかける」など、親が限度を決めて接するのはいかがでしょうか。

お母さん・お父さんも含めた大人との日々のかかわりの中で、子どもにはマナーやルール、生活習慣社会が身についていきます。
すぐに成果が感じられない、根気がいるなと思うかもしれません。でも、たとえ今日できなくても、日々の積み重ねで伝わっていくものだと思います。

文・監修/藤井明子先生

構成/ひよこクラブ編集部

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