処分したら呪われる?いらなくなった五月人形、どうする? 専門家に聞いてみた
鎧かぶとなどの五月人形は、男の子を病気や災厄から守るお守りのような存在。事情があって処分したいと思っても、「ごみとして捨てたら呪われる?」「どう処分するのが正解? 」などと悩むおうちが多いとか。五月人形の処分のしかたについて、マナーデザイナーの岩下宣子先生にお話しをお聞きしました。
処分したら呪われる?
兜などの五月人形は、子どもの身代わりとなって厄を受け、その子を守るという意味が込められているもの。さらに、毎年、男の子が健康にたくましく育つことを願って飾っていた思い出もあるから、「処分したら呪われないかな…」と思うおうちもあるでしょう。
事情があって身から離すとき、もっとも注意したいことは、その魂を抜くこと。そして、今まで男の子を守ってくれたことに感謝し、粗末に扱わないことが重要です。
どうやって処分したらいい?
まずは、これまでお世話になった五月人形に汚れがないかなどを確認し、キレイに整えましょう。間違っても乱暴に扱わないように! 処分のしかたは大きく4つあります。
1 お焚き上げをしてもらう
人形供養をしている神社やお寺でお焚き上げ供養をしてもらうのが、安心して送り出せるかもしれません。
ただし、人形供養を行う日程は決まっていることがほとんど。ガラスケース入りの人形なら、ケースは受け付けてもらえないこともあるので注意しましょう。
自宅からの持ち込み以外に、宅急便などで受付ができる場合も。前もって確認することをおすすめします。
供養してもらう際には、感謝の気持ちを込めて供養料なども用意したいですね。
一般社団法人日本人形協会では、供養の代行サービスを行っています。
2 支援団体などに寄付をする
ボランティア団体などに寄付し、五月人形を必要としている施設などで再び大切に扱ってもらう手も。宅急便で受付けていることが多いようです。団体などによっては費用がかかったり、寄付の受付期間が限られていることも。合わせて確認しておくといいでしょう。
3 人形供養を行う葬儀場に依頼
一部の葬儀場では、有料で人形供養をしていることがあります。受付は郵送で行っていることが多く、人形が一定数集まった段階で、読経のみの供養を執り行う葬儀場が主流のようです。供養料はさまざまで、一体当たりの場合と、人形が納められている箱の大きさで費用が決まる場合も。
4 お清めして庭に埋葬しても
今まで男の子の成長を見守ってくれたことや、端午の節句のたびに楽しませてくれたことなどに感謝し、自宅の庭に埋葬するという方法も。この場合は、キレイな紙や布に包み、塩とお酒をまいて埋葬しましょう。
取材・文/茶畑美治子 構成/たまひよ編集部
男の子が小さいうちは、端午の節句が来るたびに飾っていたけれど、大きくなるにつれて飾らなくなり、役目を終える五月人形は多いようです。”人形には魂が宿る”と言われます。五月人形の処分のしかたはさまざまありますが、いずれの場合も、「うちに来てくれてありがとう」「今まで守ってくれてありがとう」と感謝の気持ちを持ち、送り出してあげることがいちばん大切なようですね。
岩下宣子先生(いわしたのりこ)
Profile
監修/マナーアドバイザー 岩下宣子先生
現代礼法研究所代表。30歳からマナーの勉強を始め、全日本作法会および小笠原流に学ぶ。「しきたり大全」(講談社)など著者多数。