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【医師監修】赤ちゃん・子どもの発達障害の合併症(二次障害)とは?生活に影響が出ることも

リビングルームで子供を叱る親
takasuu/gettyimages

「発達障害」と総称される何らかの障害があると診断された子どもは、人間関係や日常生活で感じる困難によって、新たな症状や問題の「合併症(二次障害)」が生じることがあります。障害の特性によって起こりやすい合併症(二次障害)と、その予防・改善のために周囲の大人が知っておきたいことについて、発達障害研究の第一人者である、お茶の水女子大学名誉教授で小児科医の榊原洋一先生に聞きました。

「発達障害」と総称される、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)、発達性協調運動障害(DCD)などの障害があると診断された子どもは、その特性から集団生活や人間関係などで苦労することが多く、それがきっかけとなって新たな症状や問題を抱えることがあります。これを「合併症(二次障害)」と呼びます。
合併症(二次障害)は思春期ごろからあらわれることが多いですが、小さいころからのかかわり方で、合併症(二次障害)のリスクは大きく変わります。障害の特性によって現れやすい合併症(二次障害)と、合併症(二次障害)を予防・改善のために必要なことを理解しておきましょう。

「発達障害の合併症(二次障害)」とは、1つの障害が起因となり、後から現れる症状や問題のこと

注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)、発達性協調運動障害(DCD)などと診断されても、それぞれの障害のことを周囲の大人が理解し、その特性を踏まえたかかわり方をすれば、障害があっても子どもは毎日を穏やかに過ごすことが可能です。しかし、周囲の大人が理解不足によって不適切な対応をすると、子どもが困難と感じることが増え、新たな症状や問題が引き起こされることがあります。それぞれの特性によって現れやすい合併症(二次障害)について知っておきましょう。

「発達障害」は生まれつきの脳機能障害の“総称”

まず大前提として理解しておきたいのは、「発達障害」は単独の障害の診断名ではなく、基本的には注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)という3つの代表的な障害の総称です。また、発達性協調運動障害(DCD)、チック症、吃音は「発達障害に近縁の障害」と考えられています。
なぜ「発達障害」という総称で呼ばれるのかというと、どれも幼少期から症状がみられる、生まれつきの障害だからです。以下で「発達障害」と表す場合は、診断名ではなく、これらの障害の総称として使っています。

合併症(二次障害)は身体、精神、行動面などに広く現れます

合併症(二次障害)が起こると、それまでできていたことができなくなったり、得意だったことにも自信がなくなったりするなど、心身にさまざまな不調が現れるようになります。
合併症(二次障害)は長引くと解決しにくくなるため、早期の対応が非常に重要です。日ごろから子どもの様子をよく観察し、気になる症状や問題に気づいたら、早めに担任の先生やかかりつけの小児科、通っている場合は療育の先生などに相談しましょう。

発達障害の種類によって起こりやすい合併症(二次障害)があります

合併症(二次障害)で起こる症状は、発達障害のない子どもにも起こる可能性があるものです。また、発達障害があっても合併症(二次障害)を起こさないこともあります。しかし、何らかの障害があると診断された子どもは、障害の特性から合併症(二次障害)を起こすリスクが高い傾向にあるのは事実。起こりやすい合併症(二次障害)を知っておきましょう。

注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもは自尊感情が低くなりやすい

注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもは、物をなくす、忘れものが多い、じっとしていられない、集中できないなどの問題行動がみられるため、
・小さいころから繰り返ししかられる
・周囲の子どもに仲間外れにされる
・いじめにあいやすい
など、悲しい思いや悔しい思いをする場面が多く、自己肯定感や自尊感情が低くなりがちです。
その結果、自ら行動しようとする意欲を持てなくなったり、反対に反抗心が強くなったりすることがあり、思春期ごろに合併症(二次障害)が現れやすくなります。

注意欠陥多動性障害(ADHD)の思春期の子どもに起こりやすい合併症(二次障害)

●精神面

□抑うつ気分
□過度な不安や緊張など
さらに深刻化すると…
□うつ病
□不安障害 など

●行動面

□過度に反抗的な態度や暴言
□暴力 など
さらに深刻化すると…
□反抗挑戦性障害(※1)
□行為障害(※2) など

※1 反抗挑戦性障害/大人の指導に反発・反抗して従わないことが続く障害
※2 行為障害/社会で決められたルールを守らず、反社会的な行動を起こし続けてしまう障害

自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもは、いじめへの対応が遅れて不登校になることがあります

自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもは抽象的な表現を理解することが難しいので、児童期後期(9~12才ごろ)に抽象的な内容を含む学習につまずきが目立つようになり、学校に行きたがらなくなったり、自尊感情の低下が見られたりするようになります。

さらに、パニックを起こすなどしてクラスの中で目立ってしまうと、いじめの対象になることがあります。自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもは「他者の意図」を察知する力が弱いため、仲間はずれにされることによる自尊感情の低下は、ほかの障害より軽いことが多いようです。
しかし、いじめられてもそのことに気づかなかったり、気づいたとしてもSOSを出すなどの行動がとれなかったりして、周囲の大人の対応が遅れることがあります。その結果、いじめ被害がトラウマ(心的外傷)となって不登校やひきこもりに発展するリスクがあるため、普段から子どもの様子をていねいに観察することが大切です。

自閉症スペクトラム障害(ASD)の児童期~思春期の子どもに起こりやすい合併症(二次障害)

●精神面

□不安・抑うつ
思春期以降はさらに、
□ネット依存
□摂食障害

●行動面

□不登校・ひきこもり
思春期以降はさらに、
□非行 

学習障害(LD)の子どもは、失敗を繰り返すことで自己肯定感が低くなりやすい

学習障害(LD)の子どもは、苦手なことを何度も学習させられると失敗を繰り返しやすいため、「自分にはできない」「自分はダメだ」とネガティブに自己評価するようになりがちです。「きっとできる!」と前向きに考えられなくなり、さまざまな課題に挑戦する意欲が見られなくなってしまいます。
また、「できないのは努力がたりないから」などの大人の誤った発言が、周囲の子どもによるからかいやいじめの発端になることもあります。
その結果、自己肯定感が低下し、「ありのままの自分を受け入れる」「自分が好き」という自己肯定感を持ちづらくなります。

そして、頑張っても挫折を味わうことが多くなると、人間関係などのストレスが増え、仲間づくりにも消極的に。年齢相応のストレス対処能力や生活力を身につけることができないことから、身体・精神・行動にさまざまな不調が起こり、やがて日常生活に支障をきたす合併症(二次障害)が現れるようになります。

学習障害(LD)の子どもに見られる合併症(二次障害)

●身体面

□消化器系:腹痛、下痢、便秘、嘔吐
□神経系:頭痛、チック、起立性調節障害(※1)
□泌尿器系:頻尿、夜尿、遺尿(尿失禁)

※1 起立性調節障害:自律神経系の異常で循環器系の調整がうまくいかなくなる疾患。立ち上がったときに血圧が低下したり、心拍数が上がりすぎたりする

●精神面

□気分障害(うつ状態)
□睡眠障害
□情緒不安定

●行動面

□自傷行為(爪かみ、抜毛)
□ひきこもり・不登校
□反抗挑戦性障害

発達性協調運動障害(DCD)の合併症(二次障害)は、青年期以降にあらわれることがあります

発達性協調運動障害(DCD)の子どもは、運動や手先を使った作業が非常に苦手なので、「みんなと同じようにできない」とあせりを感じたり、できないことをからかわれたりする場面が多くなりやすい傾向にあります。
子どものころに適切なサポートを受けられず、青年期・成人期を迎えた場合、社会参加や職業選択などに影響が現れ、合併症(二次障害)につながってしまうことが知られています。

発達性協調運動障害(DCD)の青年期・成人期に見られる合併症(二次障害)

●身体症面

□生活習慣病:肥満、糖尿病、高血圧など
□血管障害:脳卒中、心身症・心筋梗塞(こうそく)など

●精神面

□うつ病
□不安障害 など

発達障害の合併症(二次障害)を防ぐためには?

発達障害のいずれかの障害がある子どもは集団生活の中で苦戦することが多いため、さまざまな困難を感じています。保育園・幼稚園、小学校で、できるだけ困難を感じずに過ごせるように担任の先生に相談したり、子どもの自己肯定感が高まるようなかかわり方をしたりすることで、合併症(二次障害)を防ぐことが大切です。

合併症(二次障害)のリスクは周囲の大人の対応で大きく変わります

合併症(二次障害)は、障害の特性によって起こるさまざまな困難や問題行動によって、子どもの自己肯定感が低下したことで起こることが多くあります。しかし、両親や先生など周囲の大人の対応によって合併症(二次障害)が起こるリスクは変わります。つまり、周囲の大人の対応が重要なポイントになるのです。
子どもが困難を感じていると判断したら、まずはゆっくり休ませてあげましょう。園や学校で子どもが少しでも困難を感じずに過ごせるよう、担任の先生とよく話し合うことも大切です。

そして、子どもの長所に目を向け、ほめてあげましょう。ほめられると自信がつき、子どもの自己肯定感が高くなるので、合併症(二次障害)が起こるのを抑えたり、起きてしまった合併症(二次障害)の改善を図ったりすることができます。

●子どもの心に響くほめ方のコツ

・その場ですぐほめる
・何をほめられたのかわかるように伝える
・できることに注目してほめる
・得意なことを見つけてほめる
・小さなことでも、できたらほめる
・パパなどママ以外の家族にもほめてもらう

合併症(二次障害)に気づいたら、早めに支援機関で相談を

合併症(二次障害)が起こっていることに気づいたら、自分たちだけで何とかしようとせず、専門的な支援を受け、子どもにとってよりよい方法を一緒に探してもらいましょう。
就学前の子どもに関することは、住んでいる地域の保健所や子育て支援センターなどに相談してみてください。すでに注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)、発達性協調運動障害(DCD)などの発達障害と診断されている場合は、発達障害者支援センターで相談を。保健、医療、福祉、教育などの機関が連携し、発達障害の子どもとその家族の悩みに対応しています。
また、各都道府県にある精神保健福祉センターは小学校高学年以上の子どもを対象に、子どもの発達や行動面での問題、不登校やひきこもり、家庭内暴力などの相談に乗ってくれます。

子どもが小さいころから合併症(二次障害)についての理解を深め、対応することは、思春期以降の合併症(二次障害)を予防することにもつながります。何らかの障害がある子どもが日常生活で劣等感などを抱かず、できるだけ困難を乗り越えられるよう、専門家の手も借りながらサポートしていきましょう。

取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

監修/榊原洋一先生

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