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大流行のRSウイルス感染症、例年よりも重症化しやすい傾向が。小児科医たちにも危機感…。予防法は?

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病気の子供の睡眠中に病院のベッドの上は、生理食塩水の点滴をしています。
※写真はイメージです
kan2d/gettyimages

今、乳幼児の間で全国的にRSウイルス感染症が大流行しています。RSウイルス感染症は1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の子が一度は感染するといわれているため「単なる風邪」と考えるママやパパもいるかも知れません。しかし重症化して入院したり、時には亡くなったりする子もいて、乳幼児にとっては新型コロナより怖い病気と言われています。RSウイルス感染症に詳しい、東京医科大学病院 小児科・思春期科 河島尚志先生に、RSウイルス感染症の重症化と予防について話を聞きました。

重症化した内の約33%は基礎疾患の無い乳幼児

RSウイルス感染症は、急性呼吸器感染症です。鼻水、せき、熱などの風邪のような症状が数日続きますが、乳幼児の場合は重症化すると、細気管支炎や肺炎を併発したりして入院が必要なケースもあるため注意が必要です。

「RSウイルス感染症が、とくに重症化しやすいのは0~2カ月の低月齢の赤ちゃんをはじめ、低出生体重児や心臓や肺に基礎疾患がある子ということは以前から知られていますが、基礎疾患のない子でも重症化することがわかっています。

国内においてRSウイルス感染症で入院した5歳以下の子1115例を調べたところ、基礎疾患があったのは約67%(756例)、基礎疾患がなかった子は約33%(359例)でした。

そのため“基礎疾患がないから、かかっても軽症ですむ”とは考えないでください。2歳未満の子は、RSウイルスの迅速検査が受けられるので“おかしいな!?”と思ったら小児科を受診して、早期発見に努めましょう」(河島先生)

合併症で怖いのは急性脳症。無呼吸発作を起こす子も

RSウイルス感染症が重症化すると、せきがひどくなったり、息苦しくなるなど主に呼吸器症状が見られます。しかし注意したほうがいいのは、呼吸器症状だけではありません。

「RSウイルス感染症の合併症で怖いのは急性脳症です。急性脳症はインフルエンザによる合併症が有名ですが、RSウイルス感染症でも起こります。

(1)15分以上けいれんが続く
(2)けいれんを繰り返す
(3)けいれんがおさまっても意識が戻らない
ときは、至急受診してください。適切な治療や観察が必要です。

またRSウイルスは、乳幼児突然死につながる無呼吸発作を起こすウイルスとしても有名です。とくに0~2カ月の子は、RSウイルス感染症になっても鼻水、せき、熱などの症状が見られません。そのため異変に気づきにくいです。
元気だったはずの1カ月の女の子が、朝、起きたら心肺停止しており、死因を調べたらRSウイルス感染症による肺炎を併発し、肺が真っ白だったということがありました」(河島先生)

WHOでは、近い将来、RSウイルスワクチンの実用化をめざしています

RSウイルス感染症を防ぐには、日本では抗RSウイルス抗体「パリビズマブ」という高価な注射薬がありますが、これは出産時の妊娠週数が28週以下で1歳以下など、重症化しやすい子だけが対象です。

注射の効果は約1カ月持続し、RSウイルス感染症の流行期間中は効果を継続させるため、1カ月ごとの注射が必要です。乳幼児全員が受けられる訳ではありません。

「WHO(世界保健機関)では、2015年からRSウイルスワクチンに関する会議を行い、各国でワクチン開発が進んでいます。

お母さんが妊娠中にワクチン接種することで、母体からおなかの赤ちゃんに抗体が移行するものや、子どもに直接、接種するワクチンの開発が進んでいます。当初の予定では今年(2021年)の実用化をめざしていましたが、新型コロナウイルスの流行で、ワクチン開発は難航しているようです。

また日本では、妊娠中に受けるワクチンに対して、妊婦さんから理解が得られるか課題もありますが、RSウイルスワクチンが普及すれば、命にかかわるような重症化を防ぐことができます」(河島先生)

ワクチンが普及していない今は、RSウイルス感染症の予防は、手洗いやうがいが基本です。外から帰って来たり、食事の前は手洗いをしましょう。手が洗えない子の場合は、ママやパパが抱っこして手を洗ってあげてください。またRSウイルス感染症は、上の子から下の子にうつるケースが多いです。

「3歳以上の子はRSウイルス感染症にかかっても重症化しにくく、軽い風邪程度ですむことが多いですが、0~1歳代とくに9カ月以下は注意が必要です。そのため上の子がRSウイルス感染症と診断されたり、RSウイルス感染症の流行時に、上の子に風邪症状が見られるときは、部屋を分けるなどして、できるだけ接触を避けるようにしてください。

今回のRSウイルス感染症の流行は、例年よりも重症化する子が多く、今、小児科の入院病棟は満床という病院が少なくありません。小児科医たちも危機感をもって対応しています」(河島先生)

取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

お話・監修/河島尚志(かわしまひさし)先生

RSウイルス感染症にかかっても軽症の場合は、風邪と同様のホームケアをしながら、こまめな水分補給を心がけましょう。至急受診が必要なサインは、前述のけいれんをはじめ、顔色が悪かったり、いつもと呼吸のしかたが違うときです。肩を上下させる肩呼吸や頻呼吸(1分間で60回以上)が見られたときは大至急受診してください。

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