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【小児科医リレーエッセイ 33】 「つまらないなぁ、何かおもしろいものないかなぁ」 ~赤ちゃんには暇な時間をプレゼントしよう~

女児の自宅のアルファベットを学習
※写真はイメージです
M-image/gettyimages

「日本外来小児科学会リーフレット検討会」の先生方から、子育てに向き合っているお母さん・お父さんへの情報をお届けしている連載です。今回は、埼玉県・あかちゃんとこどものクリニック院長の田中秀朋先生です。日常診療の中で感じていることを、思いつくままに書きつづってくださいました。吉田兼好、福沢諭吉、JR東海(?)さながらにつぶやいています。

小児科外来の“あるある”

つれづれなるままに、診療の後、キーボードに向かひて、心に移り行くあれやこれやを、書き進めるうちに、旅に出かけたくなりました。

0歳児や1歳児が診察室に入ってわんわん泣くことがあります。毎日何人かはそんな調子です。ときどき「あれ、おかしいな?」と思います。子どもはギャン泣き、父親が黙ってスマホの画面をその子に見せています。「大丈夫、怖くないよ」などと声をかけていれば、違和感を覚えないのですが、無言です。

「ほれほれ」と意味のない言葉をかけていることも。そのような保護者の場合、「はい、背中から見ますからそのまま抱っこしていてください」と言っても、くるりと私のほうに子どもの顔を向けてしまいます。(私の話を聞いてないな・・・)子どもは余計に泣きます(だって、こんなおじちゃんの顔、見たくないもん)

どんな声かけしてますか?

赤ちゃんが泣いたときは、抱っこしたり、おむつを替えたり、授乳したりするとたいてい落ち着きます。1、2歳の子どもが泣いたときは、どうしていますか?「どこか痛いの?」と聞いたり、「怖くないよ。大丈夫だよ」と声をかけたり、歌を歌ってみたり、変な顔をして見せたり…。ちょっと対応が変わりましたね。赤ちゃんの時は、空腹、排せつ、眠気など、不快な感覚で泣いていましたが、大きくなるにつれ、ママの顔が見たい、抱っこしてほしい、○○に触りたい、など、自我の欲求が増えてきます。私たちは子どもの成長や発達を見ながら無意識に態度を変化させています。

“いたずら”のすすめ

1歳や2歳の子どもって、暇なとき、つまらないとき、何をしていますか?あくびをしたり、指しゃぶりをしたり、「何かおもしろいことないかなあ」とキョロキョロしたり、歩けるようになるとウロチョロしたり。扉やふたがあれば、開けて、中に何か入っていれば出してしまう。皆さんを困らせる“いたずら”です。大人にとっては迷惑な“いたずら”も、子どもにとっては大切な社会勉強です。

自分のまわり、家の中には何があるのか、大げさに言えば、世界はどんなところなのか?と真剣な顔で、時には満面の笑みを浮かべて“いたずら”を続けます。キョロキョロと目で見て、おもしろそうなものに目をつけて、近づく、触る、時にはたたいたり、なめたりもします。食べ物かな、と思うとにおいをかいだり、かじってみたり、五感を使って身のまわりのものを調べます。

テレビやおもちゃは上手に使おう

1歳6カ月児健診で言葉の理解ができない子に出会ったときは、次のようなことを聞いてみます。テレビがついている時間、電気じかけのおもちゃの存在、同じ動画の繰り返し視聴についてです。テレビがついていると、周囲のいろいろな音が耳に入らず、家族の声、ドアが閉まる音、雨音、風の音などに耳を傾ける機会が奪われます。親子で一緒に幼児番組を見て楽しく踊ったり、歌ったりは大歓迎です。同じ線路の上をぐるぐる走り続ける電車を見るのが極上の幸せ、という子がいます。この動画さえ見せておけば、いつまでもおとなしくしている、という子がいます。

一方、実社会では、ずっと幸せ、ずっと楽しい、という時間が永遠に続くことはありません。自分で動かしてみたら楽しかった、家じゅう探し回ったらおもしろいものを見つけた、といった体験をしてほしいと考えています。

あるお母さんはスマホで動画を見せるときに、充電残り30%にして子どもに渡すそうです。充電が切れると、「何かおもしろいものないかなぁ」に戻ります。さすが、令和の母は賢い!昭和育ちのおじさんは思いつかなかった・・・。

昔はなかった“オンデマンド”

いつでもどこでも聞けるヘッドホンステレオが今はスマートフォンにとってかわり、24時間営業のコンビニエンスストアが全国津々浦々に存在します。便利になった半面、待つことを知らない、待てない人が増えている気がします。いつもおもしろいものに接するのではなく、おもしろいことを探したり、その時を待ったり、という能動的な活動力や待てる忍耐力を養いたいものです。暇な時間こそ、本物の体験をするチャンスです。子どもは必要以上におもしろがらせなくていいのです。だって、子どもはおもしろいことを見つけるのが得意だし、おもしろいことを自ら発明することすらあるのですから。そこで、おもしろがっている子どもがこっちを見たら、一緒におもしろがったり、何がおもしろいのかを本人に聞いてみたりしてください。

まずは本物を

最近はやりのVR(バーチャルリアリティー)を体験したことがありますか?ゴーグル型のディスプレーを頭にかぶり、高層ビルの上につき出た細い板の上に立ってみたり、空を飛んでみたり、宇宙空間を浮遊したり、実際にはできないような恐ろしいことを疑似体験できます。私たち大人は、いろいろな直接体験や間接体験をしています。ですから、機械から発せられる映像や音から想像力を持って体験したように感じます。

しかし、まだ体験したことのない乳幼児は50階の高層ビルの上に立とうが、空を飛ぼうが、落ちて痛い思いをしたことがなければドキドキしないでしょう。目の前の映像が何を意味するか知らないのですから。今の時代、象が手のひらに載るような小さな生き物と思っている子どもがいるそうです。まずは近所の犬や猫、スズメの姿を見せてあげて、自分の足で歩けるようになったら動物園にも連れて行きましょう。
「そうだ、動物園行こう!」

文/田中秀朋先生(あかちゃんとこどものクリニック 院長)

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