【小児歯科医が教える】赤ちゃんのむし歯予防はいつから?イヤがらないやり方も
赤ちゃんの歯が生え始めるのは、だいだい6カ月ごろといわれています。ですが、むし歯対策は、6カ月以前の歯が生える前からのケアがおすすめです。将来、赤ちゃんがむし歯で困らないためにできることを、小児歯科医で2児のママでもある岡井有子先生に聞きました。
むし歯対策には、あごの形と唾液(だえき)がポイント
赤ちゃんのむし歯対策には、歯並びをよくする必要があります。そのためには、歯が生える前からあごの形を意識することが大切で、お口のマッサージとよくかんで唾液の分泌を促すことが有効です。
あごの形は「まあるいあご」が理想的。「まあるいあご」だと自然と歯並びも整うため、歯磨きをしやすくなるからです。一方、「三角のあご」だと、歯並びが悪くなりやすく、口呼吸にもなりがちで、口内が乾いてしまうので、歯の表面も乾燥して汚れも残りやすくむし歯などの原因になります。
また、唾液にはお口の中を洗い流す作用があるため、“カミカミ”をたくさんすることでたっぷりと唾液を分泌させることが大切です。
歯が生える前は、赤ちゃんが口に物を入れることに抵抗がない時期なので、ケアを始めやすいというメリットもあります。
お口のマッサージって何?
お口のマッサージは、あごの形を整え、唾液の分泌を促します。清潔にした人さし指を赤ちゃんの口の奥へ入れ、歯ぐきとほおの間を奥から手前へ、ほうれい線を伸ばすようにマッサージします。上下左右行います。歯が生えてきたら、歯と歯ぐきの際も左右にマッサージしましょう。5分くらいできると効果的です。
“カミカミ”って何?
“カミカミ”は、唾液の分泌を促します。歯が生える前は、お口にママの小指を入れ、赤ちゃんに「咬反射(こうはんしゃ)」によって、小指を“カミカミ”してもらいます。歯が生え始めたら、安全プレートのついた自分磨き用歯ブラシを与えて、“カミカミ”をさせましょう。自分磨き用歯ブラシではなくても、お口に入れて危なくないものであれば“カミカミ”を見守ってあげてください。
歯が生えてからは仕上げ磨きをプラス
歯が生え始めたら、お口のマッサージ、“カミカミ”にプラスして、仕上げ磨きも行いましょう。1才ごろまではささっとでOKです。歯を磨くことより、仕上げ磨きの姿勢などに慣れることが目標です。1才を過ぎたら、1本1本ていねいに磨くことを意識しましょう。
まだある! 赤ちゃんの歯の健康のためにできること
健康なお口のために、生活習慣でも心がけたいことがあります。
●食べものに気をつける
8カ月ごろからの離乳食は、やわらかいものばかりにならないように気をつけましょう。おやつも、歯ごたえを残した野菜スティックやかためのせんべいなど、たくさんかめて、かめばかむほど唾液が出るものがおすすめです。
●口の中に食べものを残さない
お口の中に食べものに含まれる糖分がいつまでもあるのはNGです。食事やおやつのあとは必ず、水や麦茶を飲ませてお口の中を洗い流しましょう。
●家族の口の中もきれいに
1才6カ月ごろから、むし歯菌の感染リスクが高まります。ママ・パパをはじめ、赤ちゃんの周囲にいる人は、むし歯があれば歯科で治療を受けるなど、お口の中をクリーニングし、むし歯菌を減らすようにしましょう。
イラスト/児島衣里 取材・文/ひよこクラブ編集部
赤ちゃんのむし歯対策は、歯が生える前からのケアが肝心。お口のマッサージ&“カミカミ”でむし歯リスクを抑えることができます。歯が生え始めたら、歯磨きもプラスして、むし歯菌を寄せつけないお口にしましょう。
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