緊急!授乳中のママも新型コロナワクチン接種を受けて。安全でしっかり免疫がつきます【小児科医】
「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#12は、太田文夫先生から緊急で重要なお知らせです。先生のクリニックにも育児中のママたちから問い合わせが増えているという「新型コロナワクチン接種と母乳育児の関連」について。2021年9月5日に編集部に届いた内容です。
「新型コロナワクチンを接種したら授乳はNG」は間違った情報
新型コロナウイルスの感染予防策としてワクチン接種が進み、接種率の高い高齢者の発症者数は減って、まだ接種の済んでいない若い世代の感染者が増えています。せっかく接種しようとしても接種についての誤った理解により、授乳婦さんに対してのつらい対応もあると聞きます。
ワクチンの啓発活動をしていると、いろいろな相談を受けます。新型コロナワクチンについても悩みを聞いてくれと母乳育児に詳しい小児科医から相談がありました。
「ワクチン接種の予診中に『授乳中はダメ』、『ワクチンをうったら断乳しなさい』、『ワクチン後は3日間授乳できないから母乳は搾乳して捨てなさい』などと不適切な発言をされてママたちが困っているので、正しい情報を伝える手伝いをしてほしい」と言うのです。
それ以外にもSNSなどにも、さまざまな偽情報や誤情報があり、授乳中のママがワクチンの接種を迷うケースがみられます。
国の予測では11月初旬には接種希望者は2回目の接種が終わるはずだと言っているので、一刻も早く正確な情報を知ってもらおうと思って記事を書いています。
厚生労働省の「新型コロナワクチンQ&A」も参考に
医師の中には不正確な情報に振り回されている人もいるので、授乳中のママたちがワクチン接種を受けてもいいのかどうか判断に迷うのは当然。悩んでいてもどこに相談したらいいのかさえわからないですよね。思いあまって小児科医に話してくれたのでしょうか、先週一週間だけでも3人のママから、「今も授乳中ですが、ワクチン接種は大丈夫でしょうか」と立て続けに質問されました。「もちろん大丈夫です」と答えましたが、授乳継続中のワクチン接種についての情報提供報道が目立たないのも不安をあおる原因なのかもしれません。
実は、授乳中の対応についても厚生労働省の新型コロナワクチンQ&Aには「妊娠中・授乳中・妊娠を計画中でも接種を受けられます」と出ていますが、なかなかママたちの目には止まらないようです。まだ不安なので予約を取るのをためらっているママ。接種会場まで行ってダメだと言われたらどうしようと心配しているママ。大丈夫です。下記サイトに国のお墨付き情報が出ています。
私がかかわっている“NPO法人VPDを知って子どもを守ろうの会”でも急いで「赤ちゃんを新型コロナウイルスから守るために~妊娠・授乳期のコロナワクチン接種について~」というコメントをウェブサイトに公表しました。
このコメントも読んで、安心して接種を受けてください。
感染力が強いデルタ株による家庭内感染が増えている
最近はやっている変異株(デルタ株)は、感染力が強いので一人かかると家族にもかかるケースが増えています。親がかかったら子どもたちもかかります。ママもパパもできるだけ早く接種して子どもたちを家庭内感染からも守りましょう。
もしママが接種後に発熱しても、安全に使える薬はあります。鎮痛解熱剤のカロナール(アセトアミノフェン製剤)は、妊娠中も授乳中も服用できます。熱や痛みでつらければ飲んでもかまいません。
最近の研究では、母乳にはワクチンの成分はほとんど出てこないと判明。接種直後から授乳は可能です。
また、接種後の免疫は、授乳しているママたちにもしっかりつくとわかっています。
母乳中にもウイルスに対する抗体が存在することもわかりましたが、これが子どもにも効くかどうかはまだ研究中となっています。
新型コロナワクチンは安全に接種可能です。でも、接種が済んだからと言ってすぐに気を許してはいけません。しっかり免疫がつくのは2回目接種から2週間先からです。ママもパパもなるべく早く接種をしてください。
構成/ひよこクラブ編集部