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あの悪役ジョーカーがバットマンの子育てに四苦八苦!? 今大人気の極悪育児コメディ、原作者インタビュー

更新

ある日、不慮の事故からバットマンが赤ちゃんに!! 自身の悪を証明するため、バットマンの存在が欠かせないジョーカーは、悩んだ末、その子を正義のヒーローに育て上げることを決意した……!? 設定から度肝を抜く育児コメディ『ワンオペJOKER』は、なんとバットマンの本家DCコミックス公認の漫画。原作者は、2人のお子さんのパパであり、現在たまごクラブで『パパニティブルー』を連載中の宮川サトシさんなんです。今回は、そんな斜め上をいく育児漫画『ワンオペJOKER』原作者の宮川サトシさんにお話しを聞きました。

宮川サトシ
Profile
岐阜県出身。2013年漫画家デビュー。『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』(新潮社)は大きな話題となる。現在、この連載のほかに「週刊新潮」 (新潮社)にて『俺は健康にふりまわされている』、『SUPERMAN vs飯 スーパーマンのひとり飯』(講談社「イブニング」連載中)等を執筆中。

ワンオペJOKERは自分自身の投影!?


――――ジョーカーと育児はとてもかけ離れている設定のように思いますが、その設定でお話しがきたとき、宮川さんはどのように感じましたか?
宮川さん(以下敬称略) 一つ前に連載していた「宇宙戦艦ティラミス」というロボットに乗って戦う作品があるんですが、その中でも似たような描写を描いたことがあったんです。敵役のすごいゴツい残忍な男が出撃の際、奥さんが仕事で子どもの面倒をみる人がいなくて、自分の娘を連れて出撃しなくちゃいけない、という。だから「あ、あれだ。自分が書いたものと同じだ!」みたいな感じを受けて、あまりかけ離れた印象はありませんでした。
自分の中の男くさい部分だったり、おっさんくさい部分と日常とののギャップみたいなことを常に考えていたので、結構すんなり描けましたね。

ジョーカーも育児あるあるに直面中


例えば、僕が娘から「おままごとやって!」と言われて、おもちゃの食べ物を持ってあむあむとかやっていたりする。その自分を客観的に見てみると、「いいおっさんが何やってんだ?」みたいに考えたりしてしまうんですよね。なんかそういったものが膨らんでいった先にあるのが、『ワンオペJOKER』だったりするんですよね(笑)

――『ワンオペJOKER』のジョーカーの姿はご自身の姿をモチーフにされているんでしょうか?
宮川 そうですね、そのままほぼ自分を投影していると言ってしまうと、ジョーカーファンの人たちには総スカンを食らうかもしれないですが(苦笑)。でも正直に言うと自分をほぼジョーカーに投影した感じなので、ネーム(セリフ・コマ割り等を含めた漫画の設計図)は意外と捗りましたね。

――宮川さんも作中のジョーカーのように、育児で大変な思いをされたんでしょうか?

宮川 ネタはほぼ僕が体験したことです。保育園に入れなくて苦労したり、妻が買ってくる物がキャラクターグッズに偏りがちで、そのうち家中そればかりになってしまうとか。当初は「絶対そんなの家の中には入れないぞ!」って思っていたのに、どんどん侵食されていく感じとか、そのままジョーカーにやらせてしまっています。 


バットマンとジョーカー、2人の切っても切り離せない関係は、親子関係にも通ずる!?


――読者の方の反応はどうでしたか?

宮川 最初の一話、二話あたりはやっぱり批判的な感想もちょこちょこ見かけたんですが、コミックス1巻にまとまったぐらいのときにはもう温かいコメントが多くて、何のストレスもなく書かせてもらいました。
あるところから、自分の中で書きながら確信に変わるところがあって……。この作品は‟ギャップ”というふうに思われがちなんですが、(確かにジョーカーを表面的に見ると、残忍なやつが赤ちゃんを育てているというギャップはあるんですが)でもオリジナルのバットマン作品を見ている限り、ジョーカーとバットマンの関係性はただ単にいがみ合っているだけではないんですよね。
切っても切り離せない存在。これは親子関係や、育児する人とされる人との関係ともちょっと似ているところがあると思えてきて、書いている途中で、何か1本筋が通ったような気がしました。
他人同士だけでは絶対にない、親子は他人ではないのでライバル関係とというか、それこそアンパンマンとバイキンマンもそうですけど、その相互依存の関係性が、育児における親子関係にもあるんだよなと思ったんですよね。

――2人の相互依存の関係が、育児と似ている、ですか?

宮川 はい。もしかしたらバッドマン・ジョーカーファンの方は、ただ単にいがみ合っている2人を見ているのではなく、なんとなくお互いがお互いを必要としている感じに惹かれて原作を見ているところがあるのではないか?それが飛躍してるかもしれないけど、育児っぽいというか。親子っぽいというか。だからこそ、そこは大事にしようと思ったんです。
どうしても離れられない2人の関係を、子育て漫画とバットマン・ジョーカーの漫画と、そこを一貫して描けたらきっと原作ファンの人たちも納得してくれるんじゃないか、そんな思いがありました。

原作のバットマンファンはもちろん、原作を知らない人もその魅力的な設定とテンポの良いストーリーにあっという間にのめり込んでしまうこと間違いなし!の『ワンオペJOKER』。後編では、原作者の宮川さんが実際の育児はどのようにされているのか、また家庭円満のコツなどについてもお聞きします。

取材・文/女子部JAPAN(おぜきめぐみ)

宮川サトシ【2人目育児のパパニティブルー】

ワンオペJOKER

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