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「“しつけない”しつけ」って?子どもの非認知能力を育てるには【専門家】

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若いアジアの母と娘
※写真はイメージです
itakayuki/gettyimages

子どもが将来社会の中で生活していくために、お友だちとのかかわり方や社会的なルールを教えるのが「しつけ」です。「子どもにしつけをするのは親の役目」という考え方を多くの人が持っているかもしれません。でも、しつけを考えるときに「厳しすぎる」と、子ども自身が自分で考える力が育ちにくくなる面もあるようです。

子どもの才能を伸ばしながら、社会のルールを教えるにはどのようにかかわればいいのか、非認知能力を高める育児に詳しい、玉川大学教育学部非常勤講師の大豆生田千夏先生に話を聞きました。

強制的なしつけより「“しつけない”しつけ」を

――子どもの成長に合わせて、社会的なルールやお友だちとのかかわり方を教えるときに「〜しなさい」「〜してはダメだよ」と少し強制的にでも、強い言葉で「しつけ」をする必要がありますか。

大豆生田先生(以下敬称略) もちろん、社会のルールや生活習慣など、親が伝えたいことはあります。とはいえ、子どもが自発的にしたことを親から否定される場面が多いと、自分がやりたいことやどうするべきかを考えるよりも、怒られるからやらないことや、親や先生の言うとおりにすることを学ぶようになります。親が強制するようなことが多いと自分から何かをやってみようとか、自由な創造性を持って集中して取り組む力を発揮しにくくなってしまうんです。

自分で何かをやってみようという意欲、自由な創造性などは“非認知能力”といわれ、忍耐力・社交性・自尊心など数値で測りにくい能力のことです。厳しくしかるなどしてしつけを進めると、そのときは一見いろいろできたように感じるかもしれません。しかし、自分で考えることができるようになりません。これまでの価値観が通用しないようになってくるこれからの社会の中で、“非認知能力”を伸ばすことは重要であると考えられています。

――では、子どもの個性を伸ばしながらも社会のルールを教えるにはどのようなかかわり方をするといいのでしょうか?

大豆生田 まずよく見ることです。どこまでできていて、何ができないのか、できるためにはどんな工夫をするとよいのか。できていることをちゃんと認めてもらえ、できないことの手助けをしてもらえると安心感や信頼関係が親子の間に育ちます。安全で安心できる環境という土台があって、初めて子どもはさまざまなことを学ぶことができます。

子どもが生活習慣や社会のルールを学ぶためのかかわり方として、以下のようなポイントがあげられます。

・共感する(子どもの気持ちを言葉にしてあげる)
・待つ・見守る(気持ちが切り替わる時間を待つ)
・選択肢や見通しを示す(「こうしてみる」など子どもが選択できる言葉がけ)
・Iメッセージ(「ありがとう」など大人の気持ちを伝える)

このような「“しつけない”しつけ」は、「子どもの人格や才能を伸ばしながら、社会的な自立をするためのサポート」という考え方です。

――具体的にはどのように声かけやコミュニケーションをすればいいのですか?

大豆生田 たとえば、スーパーに買い物に行って、お菓子売り場の廊下で子どもがお菓子を欲しがってかんしゃくを起こしたとします。子どもが欲しがるものを見つけてしまってから「買いません!」と戦うのは大変ですよね。目の前に大好きなものがあるのに我慢をするのは大人でも難しいものです。

 まずはそのような難しい状況であることを理解することが大切です。「買わないと約束したのに欲しがる悪い子」「忙しいのにわがままを言う悪い子」として厳しくしつけなければと思うのと、子どもにも理由があると思うのでは声のかけ方が違ってきます。

「これ大好きだよね、買ってほしいんだね」と共感してあげたり、かんしゃくが落ち着くまで待ってみたり、「おうちでポップコーンを作ろうか?」とほかの選択肢を示したり、「昨日も買ったからむし歯が心配だな」と親の気持ちを伝えたり、「今日はこの1つだけ買おうか」とお互いの折り合いをつけてみたり、などです。

毎回うまくいくとは限りませんが、子どもの心に寄り添って尊重することで、子ども自身が自分で気持ちをコントロールすることにつながります。この、自分自身の気持ちや行動をコントロールする力も“非認知能力”の1つです。
ただ、このような状況を前もって避けるために環境を整えておくことも必要です。

厳しくしつけるより環境の工夫で乗りきって。

――環境を整える、とはどういうことでしょうか。

大豆生田 子どもの成長の様子をよく観察し、今は何ができそうかな、こんなことができるから危なそうかな、と予想をして、子どもが行動しやすい環境にすることです。家の中に危険なものがいっぱいあるのに「触っちゃダメ!」といつも怒られると、否定された気持ちばかりが残ってしまいます。

危ないものは極力子どもの手の届くところに置かないとか、スーパーに行かなくて済むようにネットスーパーを利用するとか、保育園に行くときにはなるべく安全な道を選ぶとか、そのような環境的な工夫です。子どもをしからなくて済む環境が整っていれば、親も結果的にはうるさく言わなくて済むかもしれませんね。
育児書に書いてあるから、この時期にはこのしつけ、ではなくて、わが子ならどんなことをしそうかな、と考えるのが大事だと思います。

――危なくない環境の工夫という面では、最近では子ども用ハーネスの利用の善し悪しも話題になっていますね。

大豆生田 親がどんなに気をつけても飛び出して行ってしまう子もいますよね。保育園までに危険な道を避けられない場面も多いと感じます。そんな中で子育てをするママやパパは、周囲の声に追い詰められてしまうこともあるのではないでしょうか。

子ども用ハーネスは、見た目に抵抗がある人もいるかもしれませんが、人によって必要な道具ですし、いいものを作ってくれたと思います。天使の羽がついているものなど、かわいいですよね。このような道具の工夫が必要なほど、現代社会は子育てには大変な環境なのだと思います。

――親になると「親として子どもをしつけなくてはならない」といった考えにしばられてしまうこともあるかもしれません。

大豆生田 日本では「あるべき親」の固定観念があるかもしれませんが、それにとらわれずに、自分は何を大事にしたいのか、自分の子どもには何が本当に必要なのかを考えることが大切です。

子どもは親とは違う別の人格で、子どもの人権があって、性格も違います。家族が一緒に生きる上で、子どもの思いも尊重しながら「あなたはこうなんだね、お母さんはこう思ったんだよ」とお互いに話し合っていく。そのようなかかわりを重ねると、自然と非認知能力が育っていくでしょう。すると、社会と折り合いをつけながら自分の生き方も大切にできるような力が育ち、子どもの助けになっていくと思います。

お話・監修/大豆生田千夏(おおまめうだちか)先生

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

子どもの気持ちに寄り添いながら、親の気持ちも伝えることで、子どもは社会のルールを学んでいきます。親は子どものためにと、つい厳しくしてしまう場面もありますが、子どもを1人の対等な関係として尊重することが大切です。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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