赤ちゃんのあざは放っておいて大丈夫?あざができる原因は?治療法は?【専門医】
生まれながらに体にあざのある赤ちゃんがいます。ほとんどのあざは悪性化することはなく、早期の治療で7〜8割のケースで目立ちにくくなるそうです。気になる赤ちゃんのあざについて、これまで1万人以上のあざ治療を行ってきた矢加部文先生に取材しました。
赤ちゃんのあざは遺伝性はなくほとんど悪性化しない
生まれた赤ちゃんの体にあざがあると、何か病気ではないかと心配になるママやパパは少なくないでしょう。赤ちゃんのあざにはさまざまな種類がありますが、その治療方法について、あざ治療の専門医である矢加部文先生に聞きました。
「赤ちゃんに青あざや茶あざが現れるのは、皮膚内部にあるメラニン色素が必要のない場所に多く集まることが原因です。赤あざは真皮内に不必要な毛細血管が増えることで皮膚が赤く見えます。黒あざは母斑(ぼはん)細胞という黒色の細胞が表皮から皮下脂肪まで増えている状態です(図1)。
これらのあざがどのくらいの割合で現れるのか正確にはわかりませんが、ほとんどのあざは悪性化することはなく、特殊な例を除いて遺伝性もありません。目立たない場所にある、色が薄いあざなどは無理に治療をする必要はないと考えます。あざを“かわいそう”などと過度に心配せず、“人とは違う個性”ととらえたほうが、親も子もポジティブにあざとつき合うことができるでしょう」
消えないあざ、広範囲のあざは保険適用のレーザーや手術治療で
顔などの目立つ場所にある、あざが広範囲にわたっているなどで、精神的負担が大きいという場合は、厚生労働省が認めたレーザー機器を使用すれば保険適用で治療することができます。
「自然に目立たなくなるあざは経過観察しますが、赤あざ(ポートワイン母斑、いちご状血管腫)、青あざ(太田母斑、異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん))、茶あざ(扁平(へんぺい)母斑)などはレーザー治療を行うことで目立ちにくくなります。赤あざのうち“いちご状血管腫”は、急激に大きくなって、尿道やまぶたをふさいでしまう、などの体の機能に影響する場合には、レーザー治療とともにβ(ベータ)ブロッカーという薬を内服し、血管腫の増大を予防します。また、黒あざの治療は基本的に手術による切除を行います」
乳幼児期に治療したほうが目立たなくなる効果が高い
レーザー治療は、皮膚の厚みが薄い乳児期に始めたほうが高い効果が得られるそうです。
「あざは成長とともに大きくなるので、体が小さいうちならレーザーの照射面積も小さく、治療時間も短くて済みます。レーザーの治療時間は数十秒〜3分程度で、輪ゴムではじかれるような痛みがあります。乳幼児の場合は麻酔クリームやテープを使用して痛みを少なくします。ただし、レーザー治療はやりすぎると副作用のリスクも。治療が必要かどうか専門医と相談して進めましょう」
赤ちゃんのあざが心配な場合は、適切な時期に治療するためにも、一度専門医を受診すると安心です。
お話・監修/矢加部文先生 イラスト/福士陽香 取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部
目立たない薄いあざだとしても、親が過度に心配して「かわいそう」と言いすぎてしまうと、子どももネガティブな思いを抱えてしまうこともあるのだとか。目立つあざの場合は、レーザー治療ができるかどうかも含め、専門医に相談してみましょう。
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