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「生後1カ月の娘。目の上のあざが、日ごとに大きく…」自分を責め続けた日々【体験記】

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福岡県に住む桑野亜希さん(40才)は、辰徳さん(41才)、成(じょう)くん(6才)、絃(いと)ちゃん(4才)の4人家族です。第2子の絃ちゃんは、生まれたときからうっすらとあった目の上の赤いあざが、生後数週のころからどんどんふくらみ、治療をすることに。上の写真は生後2カ月のときの様子です。ママの亜希さんに当時の気持ちや、3年以上に及んだ服薬やレーザー治療のことについて話を聞きました。

目の上のあざが、日ごとに大きく真っ赤になった

2017年7月に福岡大学病院で生まれた絃ちゃん。生まれたときから目の上にうっすらあった赤いあざが、生後数週間で徐々に大きくなったそうです。

「生まれてすぐに目の上のあざに気づきました。少し気になりましたが、すぐに消えるだろうと思っていました。でも、産後1カ月間を里帰り先の実家で過ごす間に、あざは日に日に赤みが増して、ふくらんできました。そのときは『これは一体なんだろう?』と毎日心配で、授乳などで抱っこして娘の顔を見るたびにかわいそう、と感じていました」(亜希さん)

1カ月健診で産婦人科の先生に目の上の赤みは「いちご状血管腫」と言われました。いちご状血管腫は赤あざの一種で、見た目が赤く、いちごのような外観をしているものです。生後1週間~1カ月ごろ真っ赤な斑点が現れ、生後1才ごろまでに急激に大きくなることがあります。亜希さんはすぐにインターネットで治療できる病院を探しました。県内2カ所だけ見つかった子どものレーザー治療ができる専門のクリニックのうち、亜希さんの祖父母の家から近く、道も詳しい地域にあったみやびクリニックを受診することにしたと言います。

「みやびクリニックを受診したのは、娘が2カ月の時でした。受診すると、先生から『いちご状血管腫の治療にはレーザー治療とβ(ベータ)ブロッカー内服薬を毎日2回服用する』と説明されました。いちご状血管腫は、皮膚の表面近くに不必要な血管が増えてできるため、赤みの原因となる血管をレーザーで破壊する治療を行います。また、血管腫が増大するスピードが速く、機能障害をきたす可能性がある場合はβブロッカーを内服するというのです」(亜希さん)

レーザー治療は、赤血球のなかの赤色(酸化ヘモグロビン)に反応する色素レーザーを使用します。

「娘はまだ生後2カ月なのにレーザー治療をすると聞いて、目の近くということもあり、本当に大丈夫なのか、目は傷つかないのか、など悪い方向にばかり考えてしまいました。でも、先生が私の質問や不安に感じていることについて1つ1つていねいに答えてくれたので、安心してお任せしようと思いました」(亜希さん)

それでも、治療が始まるまでの間にも少しずつ大きくなる絃ちゃんの赤いあざを見て、心配で心配で「どうしてこんなふうに産んでしまったのだろう」と自身を責めながら、思い悩んでいたと言います。

「いちご状血管腫って、本当に真っ赤なんです。『目の上に真っ赤なあざが残ったままだったらどうしよう』と、毎日毎日、娘の顔を見てはあざのことばかり考えて、インターネットで同じ症状の子どもの情報を調べてばかりいました。

いずれ薄くなると先生は言っていたけれど、本当に薄くなるのか、消えなかったらどうしよう、そればっかり考えて、自分を責め続けていました。私自身の笑顔も減っていたころかもしれません。そんなとき夫は、とにかく先生を信じて治療を受けさせようと何度も励ましてくれました」(亜希さん)

内服薬の副作用のために毎日通院することに

絃ちゃんはβブロッカー内服薬に対して副作用が出ないかどうか、福岡大学病院に3日間ほど入院して検査をした上で治療を開始しました。
しかし、入院中は大丈夫だったのに自宅で1日2回の内服をスタートとしたところ、ぜんそくのような発作が出はじめたと言います。

「少しでも薬を口に入れると、胸やのどのあたりが『ゼコゼコ』『ゴロゴロ』とし始めて、呼吸困難で息が止まりそうな状態になってしまいました。20〜30分様子を見ているとようやく落ち着くのですが、2カ月の娘の様子があまりにも苦しそうで、私もこのまま娘の症状が悪くなってしまったらどうしたらいいのだろう、とすごく怖くて…。

先生に相談すると『自宅で服用が怖かったら、クリニックで飲ませましょう』と言ってくれました。それから平日は毎日みやびクリニックに通院することになりました。本来は1日2回飲む薬も、通院時の1回だけ飲むことに。
また、クリニックと同じビルの下の階に小児科があったのですが、小児科の先生も協力をしてくれて、クリニックで薬を飲ませたあとに、息が楽になるように吸入をさせてくれました」(亜希さん)

亜希さんの自宅からみやびクリニックまでは車で片道1時間。診療や吸入の時間を含め、治療には毎日4時間ほどかかっていたと言います。当時2才だったお兄ちゃんの成くんは亜希さんのお母さんに預け、絃ちゃんの毎日の通院には義父母がつき添ってくれたのだとか。

「夫も義父母も娘のあざをとても心配して、できる治療はしてあげたい、と言ってくれました。家族が協力してくれてとても助かりましたが、あのときは本当に大変でした」(亜希さん)

飲み薬の服用と合わせ、3カ月に1回のペースでレーザー治療も行いました。

「あざが消えるまでレーザー治療をするのかな、と思っていたのですが、やりすぎると逆によくないようです。合計3回行い、1才前には終わりました。娘がレーザー治療をしている間、親は待合室で待っているので治療の様子は詳しくはわかりませんが、娘の泣き声が聞こえてくるので『痛いよね…』とこちらも泣きそうになりながら苦しい思いで待っていました」(亜希さん)

1年治療を続け、あざは少しずつ薄くなり…

11カ月のころのあざの様子。赤みが薄くなってきた

毎日の通院を続け、1才ころには少しずつ治療の効果が見えてきたそうです。

「1才の少し前くらいに、赤みが少しずつ薄くなってきました。また成長とともに副作用が軽くなり、1才を過ぎたころから自宅でβブロッカーを1日2回飲めるようになりました。自宅で服用したあとに発作が起きにくいように、小児科の先生が吸入器の貸し出しをしてくれました。それらのこともあって、通院は経過をみてもらい薬を処方をしてもらう2週間に1回のペースになりました」(亜希さん)

絃ちゃんのあざが少しずつ薄くなり始めたのは3回のレーザー治療が終わったころから。そしてそんな状況になって亜希さんの気持ちにも変化があったそうです。

「治療を続けて娘のあざが薄くなってきて、とってもうれしかったです。1年はすごく長かったけれど、ずっとどんよりした曇り空のような気持ちだったのが、
やっと明るい光が見えた、と感じました」(亜希さん)

隠すものではないけれど、早く治してあげてよかった

4才の今、赤みはほとんど目立たないまでになった

その後、1日2回の薬の服用を続けると、2才半ごろには赤みがほとんど目立たなくなったそうです。

「もとの血管腫が大きかったので完全にきれいに消えるということはなく、うっすら赤みとふくらみはあります。でも、生後2カ月のころと比べるとかなりよくなっていますし、ほとんど気にならなくなりました。

3才には薬は1日1回の服用となり、通院回数も1〜2カ月に1回、半年に1回、と徐々に減っていき、4才の現在は1年に1回の経過観察のみとなりました」(亜希さん)

通院時のガソリン代はかかったけれど、治療はすべて保険適用で行うことができ無料だったそうです。

「1カ月健診でいちご状血管腫とわかるまでは不安でいっぱいでしたし、治療を始めてからも『本当に薄くなるのか?』と心配ばかりしていました。家族を巻き込んでの通院も本当に大変でした。
いちご状血管腫のことを調べて、先生にもアドバイスをもらってからは、とにかくできることをやってあげるしかない、と少し前を向けるようになりました。ただ、目の上ということもあり、なるべく早く治してあげたいという気持ちが強かったです。

生まれたときからあったあざについて隠すことではないと思っています。娘のあざを人にどう思われるかはあまり気にならず、お出かけのときなどに『どうしたの?』と聞かれたときには、隠さずに『いちご状血管腫という病気で徐々に薄くなるよ』と、説明をしていました。

赤ちゃんのうちから治療したので、娘は薬を飲むのも慣れてくれたし、あんなに泣いていたレーザー治療のことは今では覚えていないようなので、早めに治療してよかったと思っています。

年齢が小さいからか、本人も自分のあざについてなにも気にしていないようです。私たち家族は信頼できる先生に出会えて、ていねいに治療をしてもらえ安心でしたし、感謝の気持ちでいっぱいです」(亜希さん)

【矢加部先生より】機能障害の恐れがあったため早期治療が必要だった

生後2カ月の絃ちゃんの左目の上のいちご状血管腫はとてもふくらみが強く、まぶたが被さって視野障害を起こしたらいけないため、初診時にレーザー治療、βブロッカーの内服治療が早急に必要と判断し、大学病院に入院の連絡を取りました。私のクリニックでレーザー治療を開始、11日後には大学病院で内服治療を開始。入院中は副作用がなかったものの、退院後から副作用が出始めました。

副作用が強いということで内服を中止しましたが、3日間中止した途端血管腫はどんどん大きくなりました。薬を止めるのは簡単だが、将来、絃ちゃんの視力や視野障害を起こしたらどうしようと私自身非常に悩みました。同じビルにある小児科の先生に相談すると、病院での内服後に喘息の状態が出た際に吸入をさせてもらえることになり、とても助かりました。
通常は1年くらいで徐々に内服治療は終えるのですが、減薬や休薬をすると絃ちゃんの血管腫は膨らんでくるため、結果、3歳過ぎまで経過を診ながら薬を減らして中止しました。

いちご状血管腫は、7歳くらいまでに75%くらいのケースで目立ちにくくなるので、以前は「経過観察」が治療法でした。乳児に使えるレーザーや、飲み薬など安全な治療法が確立していなかったからです。現在では、機能障害をきたす可能性がある場合、目立つ部位にあり大きくなる場合は乳児期から治療を行います。

いちご状血管腫に関わらず、あざの治療はまだ一般的には行われていません。「見た目の問題」と片づけられることが多いためです。しかし、時に機能障害や発育障害につながることもあります。大学病院や子ども病院などの大きな病院でしかあざ治療は受けられないとか、常駐の専門の先生はいないなどの多くの問題があります。さらに、あざ治療を専門とするクリニックは全国でも数えるほどです。

あざの治療がもっと医療として一般的に行われるようなり、また多くの「あざ」で悩む患者さん、家族に正しい知識を伝えていきたいというのが私の強い思いです。

監修/矢加部文(やかべあや)先生

お話・写真提供/桑野亜希さん 取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

「1年間の通院は大変だったけれど、レーザー専門医と小児科医が協力して治療してくれて幸運だった」と亜希さん。あざの症状や治療法は人によって異なるので、もし子どもに目立つあざがあって心配なら、早めに専門医に相談するといいでしょう。

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