「構ってあげられなくてごめんね…」仕事・家事・療育に多忙な毎日…自閉症の息子を持つシングルマザーまるさんにインタビュー
イラストレーターのまるさんは、3歳の息子・リュウくんとの日常を漫画にしてSNSにアップしています。自閉症スペクトラムと軽度知的障がいを持つリュウくんは現在療育に通園中。今回はまるさんにリュウくんの日々の育児についてインタビューしました。
■プロフィール /まる
2018年4月生まれの3歳男の子シングルマザー。息子・リュウが療育通い中の自閉症スペクトラム、軽度知的障がい。デザイナーやパートをしながらTwitter(@shishishishimr)やインスタグラム(@maru.kousaku)(@maru.manga)に工作や育児絵日記など描いてます。
自閉症の診断が出たのは3歳7カ月ころ
――育児絵日記を描き始めたきっかけはなんですか?
まる「子どもが5カ月ころ、元夫と別居し始めてからです。人がいると恥ずかしくて漫画など描けなかったのですが、ひとりになったタイミングで息子の成長記録として漫画を描いてみよう、そして、どうせ描くなら公開してみようという軽い気持ちではじめました。今まで漫画は描いたことがなかったのですが、描き始めたら楽しくなっていきました」
――リュウくんはどういった症状があるのでしょうか?
まる「自閉症と軽度知的障がいと診断されています。2歳2カ月ころに保育園から『ちょっと気になることがあるので保健師さんと話した方がいい』と言われ、相談に行きました。
あくまでも息子の場合ですが、そのときは発語や行動の遅れがありました。まわりの同じ年齢の子たちが単語を言っていたり2語文やそれ以上の文章を話し出しているときに何も言葉が出ていなかった、指差しをせず要求があるときにママに呼びかけずに手を引っ張る(※クレーン現象)などがありました。
それから療育へ通い、発達外来を受診したりし、療育手帳の申請をしたのが3歳5か月のとき、実際に自閉症の診断が出たのはつい最近の3歳7カ月ころです。(とはいえ、たまたま診断書が必要だったため書いてもらった診断書に自閉症と書いてあった感じで、『この症状が出たから自閉症の診断が出た!』という感じではないのですが……)
今も発語の遅れやコミュニケーションのやりとりができない(問いかけに対して答ええられないなど、会話にならない)、椅子に座っていられないなどの多動があります」
※クレーン現象…ものなどを取ってほしいときに、おうちのかたやそばにいる人の手をつかみ、そのものや場所まで持って行く行動のこと(参考:https://benesse.jp/contents/clinic/body/10-1/post-470.html
ふつうの1日もデンジャラス!
<“無事に生かしておく”だけで精一杯…>
――特に大変に感じる時はどのような時でしょうか?
まる「ひとり親なのですべて自分で動いて物事を決めていかないといけないところですかね、仕事しながら育児をして、療育に連れて行き、病院に連れて行き、家事をして……となると時間がいくらあっても足りません。
どこの療育に行くか、どうやって療育に行かせながら働いていくか、これからの話だと進学先などをどうするかなど、周りに相談はできても決めるのは私になるので不安になることも多々あります」
疲れて帰ってきた日は……
<やることが多すぎて分裂したい!!>
外出先でオムツ替えしていると周りがビックリ!
――リュウくんについて周りの人にできれば知っておいてほしいなあということはありますか?
まる「息子は体が大きく、よく『5歳くらいですか?』と言われます。でもまだ知能だけで言うと2歳くらいのようで会話ができないし、おむつも取れていません。見た目だけでは障がいがわからないため、先日外出先のおむつ替えコーナーでオムツを変えていたらびっくりした顔で何度も見られました。たしかにこんなに大きい子が喃語(なんご)を言いながらオムツを変えていたらびっくりするよなぁと思います。『あ、こういう子もいるんだな』ということだけでも知っておいてもらえると嬉しいですね」
お出かけはいつも大荷物!
<年々重くなるまるさんの荷物>
――まるさんが自慢したいリュウくんのいいところはなんですか?
まる「いつもニコニコとしているところです。今まであまりひどい癇癪やパニックなどなく(もちろんイヤイヤで泣き続けるなどはあります)ニコニコと抱きついてきてくれる息子は本当にかわいいです」
疲れているまるさんにベッタリのリュウくん
<忙しくて構ってあげられなくてごめんね……>
家事は無理をせず、休みの日の作り置きはしない
――ひとりで働きながら、家事や育児をしている中で工夫していることは?
まる「できるだけ料理や掃除は無理しないことです!お惣菜だったり冷凍食品だったり、仕事のある日の夕飯は本当に簡単にしていて作り置きもしません。作り置きを作ると休みの日が大変になってしまうのでやめました。休みの日の時間に余裕がある日は、ちゃんとご飯を作ったりしていますよ!掃除も、片付けても片付けてもすぐに息子が散らかすのでたまに一気に掃除するくらいです!元気ならそれでいい!
自分のガス抜きはイラストや漫画を描くことになっています。『共感する!』などの反応をもらえると嬉しくて頑張れます」
忙しい日々を乗り切るコツ
<できるだけラクすることや楽しみを作ることは大事>
――最近嬉しかったリュウくんの成長はなんでしょうか?
まる「2語文が出たことや、今までクレーン現象で要求があるときはママの手を引っ張ってその場所まで連れて行っていたのが、『おいでー!』と手招きをしてくれるようになったことです。ほかの子と比べてだいぶ成長が遅いですが、少しずつでも成長しているんだなと感じられて、できたときの喜びが倍になります」
クレーン現象が少なくなった!
<急に「おいでー」とママを呼べるように>
仕事や家事、療育に病院……趣味だってやりたいけれどひとりで育児をしていると「時間がいくらあっても足りない」と語るまるさん。毎日忙しいけれど家事はできるだけラクをするように心がけているそうです。忙しすぎて大変なこともたくさんあるけれど、リュウくんの成長をゆっくりと見守っています。
心のうちを素直に描いているまるさんの漫画は、障がい児の子育てのリアルをわかりやすく発信しています。障がい児について知っている人もよく知らない人もぜひ一度のぞいてみて欲しいです。
(文・清川優美)
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※2022/2/15 一部修正しました。(たまひよONLINE編集部)