失敗しない“断乳”成功のコツとは?【助産師が解説】
赤ちゃんが10カ月ごろになると気になり始める、“おっぱいをいつ卒業するのか”問題。とくに、仕事復帰を予定しているママは、入園前に断乳を検討している人もいるかと思います。
しかし、断乳しようといきなりすべての授乳をストップすると、赤ちゃんが受け入れられなかったり、ママの胸が対応できずおっぱいトラブルが起きたりなど、うまくいかない可能性が。
授乳のスペシャリストとして多くのママにアドバイスしてきた助産師の徳永江美子先生によると、「現在の授乳回数や、出ている母乳の量にもよりますが、時間をかけて授乳回数を減らしていく方法がおすすめ」とのこと。
そこで、親子で負担なく、断乳がすすめられる回数を減らすときのポイントを教えてもらいました。
断乳とは、親が日付を決めて授乳をやめること
授乳の卒業には、「卒乳」と「断乳」の2パターンがあります。
卒乳とは、赤ちゃんが授乳を欲さなくなり、自然と授乳を卒業することを指します。一方で断乳とは、ママやパパがこの日までに授乳をやめようと期限を決め、授乳を中止することを指します。
「母乳は、何才までにやめるという決まりはなく、欲しがる時期は飲ませていてOKです。
その上で、授乳をいつまで続けるかは、人それぞれ。家族ごとの事情や、考え方によって決めるものです。
入園後も授乳を続けられるなら続けていいですし、難しそうであれば授乳を卒業しても大丈夫。ママの働き方や、保育園の環境などを踏まえて検討しましょう」(徳永先生)
断乳成功のコツは“徐々に授乳回数を減らすこと”
ママの乳房が、授乳回数や量の変化に対応するには、少し時間がかかります。そのため、急に授乳をやめたり、大幅に減らしたりすると、乳房の張りが強くなり、おっぱいトラブルが起こる恐れがあるのです。痛みなどでうまくいかず、断乳を断念する人も多いといいます。
「減らし方の目安としては、1日の授乳回数を1回減らすのに1週間程度かけると無理がありません。
たとえば、現在の授乳回数が1日5回なら、断乳までに5週間かけるのが理想的。ただし、断乳の時期をずらせないこともあると思いますので、その場合は複数回の授乳をまとめて減らして、期間を短縮してもOKです」(徳永先生)
【授乳回数の調整方法】母乳のみの場合のポイント
「母乳のみの授乳の人は、先ほどの減らし方の目安に沿って、徐々に授乳回数を減らしていきましょう」(徳永先生)
【授乳回数の調整方法】混合授乳の場合のポイント
「混合授乳の人は、まず母乳の授乳から減らしましょう。母乳は、飲んだ分だけつくられるもの。ママの乳房の不安を減らすには、分泌量を徐々に減らすことが大切です。
母乳をやめたあと、月齢や離乳食の進み具合に合わせてミルクを徐々に減らしていきます」(徳永先生)
おっぱいトラブルが起きやすいのは、完全に断乳してから48時間後ごろまで
授乳を完全にやめてから48時間後ごろまでは、1日分の母乳がたまるので胸が強く張り、48時間後ごろにピークアウトします。
この間、張りすぎて痛いほどなのに、搾乳してはいけないと我慢する人も多いそうですが、張りすぎをそのままにしていると、深刻なおっぱいトラブルが起こることもあるのだとか。
「断乳後48時間ごろまでは、胸全体の張りを保ちつつも、部分的に強く張りすぎないよう、MAXの張りの8割程度まで搾乳して張り具合を調節します。
そして、48時間後ごろにピークアウトしたら、1回しっかりと搾乳する。これが、おっぱいトラブルを防ぐポイントです」(徳永先生)
監修/徳永江美子先生 撮影/矢部ひとみ スタイリング/佐戸川千香子 取材・文/ひよこクラブ編集部
断乳の進め方をネットで調べても、さまざまな方法が紹介されていて、どれを試せばいいか迷ってしまうという声も多いです。授乳のプロである助産師の指導のもとで、親子ともに無理なく断乳に取り組みましょう。
『ひよこクラブ』2022年1・2月合併号には、「10カ月からのおっぱい・ミルクのやめ方、減らし方」特集があります。
断乳の基本的な進め方として、「1.断乳をしていい状態かチェック」「2.計画を立てる」「3.実際に1日の授乳回数を減らす」「4.アフターケアをする」のステップごとに詳しく解説しているので、断乳しようとお考えの方は参考にしてください。
参考/『ひよこクラブ』2022年1・2月号特集「10カ月からのおっぱい・ミルクのやめ方、減らし方」
※掲載している情報は2021年12月現在のものです。