その声かけ、ちょっと待って! 好きな遊び&遊び方は子どもが教えてくれるもの【3児のママ小児科医】
3児を子育て中のママ小児科医・藤井明子先生が、診療の中で寄せられたお悩みについてのアドバイスや、日々の子育てを頑張っているママやパパに伝えたいさまざまな情報を発信している連載です。第18回は、「おもちゃで遊んでくれない」をテーマにお届けします。
「せっかくおもちゃを買ったのに遊んでくれません」というママ・パパからの相談
2〜3才の子どもがいるママ・パパから「おもちゃで遊んでくれない」「本来の遊び方で遊んでくれない(積み木を投げて遊ぶ など)」といった相談を受けることがあります。
私自身の子育てを振り返ってみると、おもちゃで遊ぶことももちろんありましたが、そうでない遊びの場面も多くあったと思います。
例えば、長女がトイレのトイレットペーパーを大量に引き出して、夢中で遊んでいた様子が写真に残っています。長男は、新聞紙を細長くまるめたものを剣に見立て、一人でちゃんばらごっこをして遊んでいたこともあります。次男は、段ボール箱をおうちに見立てて、そこに絵本やぬいぐるみなどを入れて、おうちごっこを楽しんだ時期もありました。
好きな遊びや遊び方は一人ひとり、そのときどきで変わるもの
「おもちゃで遊んでくれない」と感じたときに考えてもらいたいことが2つあります。
一つは、わが子の発達の段階に合ったおもちゃであるかどうか、もう一つは、まわりの大人が遊び方を限定していないか、子どものペースを待たずに声をかけすぎていないか、ということです。
一つ目の「発達の段階とおもちゃ」について。おもちゃの箱をみると、遊べる時期の目安が記載されている場合があります。発達を促し、発達を先取りしたいからと先の月齢のおもちゃを渡しても、子どもは興味を持たないかもしれません。例えば、こまかいものをつまめるようになってからでないと、細かい手先の操作を伴うおもちゃは扱えません。子どもの発達に合ったおもちゃを選ぶようにしてみましょう。
二つ目の「遊び方の限定」について。おもちゃの遊び方は一通りではありません。例えば、積み木は積むだけでなく、横に並べて車などに見立てて遊ぶこともできますし、四角にならべて人形のおうちにもできます。遊びを見守る大人が遊びを限定しないように気をつけたいものです。子ども自身が自由な発想で、さまざまな遊び方が楽しめるおもちゃがおすすめです。
また、いわゆる「おもちゃ」でなくても遊ぶことは可能です。新聞紙を破く、破いた紙を折ってみる、まるめて遠くへ投げてみる、さらに細かく指先でちぎって雪のようにしてみるなど、身近なものを「おもちゃ」にすることもできるし、遊び方も一通りではないのです。
ちなみに、1人でもくもくと遊んでいるときは、その遊びに集中している証拠です。中には数時間も一人で集中して遊ぶ子どももいます。人形を並べて先生役のつもりになって遊ぶ、ブロックでさまざまなものを作るなど、好きな遊びは一人ひとり、そのときどきで違います。どんな遊びが好きなのかは、子どもが教えてくれます。
何でどう遊ぶかということより、子どもが好きな遊びをママ・パパも一緒に楽しむことで、子どもが人と遊ぶ楽しさ、おもちゃで遊ぶ楽しさを感じる時間を増やしてあげることが大切だと思います。
文・監修/藤井明子先生 構成/ひよこクラブ編集部
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