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産後の夫婦ゲンカ、月経前に起こっていない? PMSの対処法と夫への伝え方【専門家】

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怒っているミレニアル世代のカップルは、自宅でトラブルの紛争を持っています
fizkes/gettyimages

育児をめぐって、夫婦で言い合いになることは少なくありません。けれど、わけもなくパパにイライラしてしまう、しかも生理前に起こりがち、という場合は、PMS(月経前症候群)が原因の可能性が。産婦人科医であり心療内科医の小野陽子先生に、PMSの治療や対処法、PMSをパパに理解してもらうための伝え方についてうかがいました。

PMSかも⁉と思ったら、簡単な記録をつけて婦人科へ

PMSは月経前の3〜10日間に心身の不調が起こり、月経の開始によって軽減、消失することを3カ月以上くり返している状態をいいます。

主な症状としては、胸の張りやむくみ、関節痛などの体の症状と、気分の落ち込みやイライラなど、心の症状があります。
さらに、PMSの精神的な症状がより深刻になり、「仕事を休んでしまう」「家事がほとんどできない」「家族と口論したりトラブルになる」など、生活に影響を及ぼす場合は、PMDD(月経前不快気分障害)と考えられます。


気持ちの揺らぎは、育児で疲れているからかも…とつい放置してしまいがち。けれど、毎月決まった時期に同じような不調が起こるな…と思ったら、PMSを疑いましょう。

そして、PMSかも⁉と思ったら、できる範囲でよいので、月経開始日と症状があった日を手帳やカレンダーに記録するのがおすすめ。

「PMSの診断は自覚症状が決め手。症状日誌が重要ですが、育児中のママには大変なこと。できる範囲でよいので記録をつけて、婦人科に相談してほしいですね」(小野先生)

治療やセルフケアで月経前のイライラは軽減できる!

PMSの相談で婦人科を受診する場合、どんな治療をするのかも気になるところ。施設の選び方や治療について解説します。

PMSに詳しい施設か、事前にホームページでチェックを

「婦人科を受診するときは、できればPMSに詳しく、治療薬である低用量ピルを使い慣れている施設を選んで」と小野先生。ホームページなどでPMSについて説明されているか、ピルの種類が紹介されているかなどが一つの目安です。

産後6カ月以降は、授乳中でも薬による治療は可能

PMSの治療には、薬を服用する方法と、薬を服用しない方法があります。症状の深刻度や家族計画によって、どのような治療法を選択するのかは異なりますが、薬を使用する場合は低用量ピルや抗うつ薬、漢方などが処方されます。

「次の出産をすぐに考えていなければ、産後6カ月から、授乳中でもピルの服用は可能です。頭痛があれば頭痛薬、熱が高ければ解熱剤を飲むのをためらう人は少ないでしょう。PMSに対してのピルの使用も同じです。それでママの心身がラクになれば、結果的に家族みんなのためにもなりますよね」(小野先生)

薬の服用以外の治療法としては、カウンセリングなどで問題を明確にし、できるところから少しずつ状況を変えていくことで解決を目指す「認知行動療法」が有効だとされています。

医師のアドバイスをもとに、セルフケアも

婦人科を受診すると、それぞれに合った治療やアドバイスがありますが、次のようなセルフケアもPMSの改善に役立ちます。

■PMSの症状が起こる時期にはストレス源となることから距離を置く

仕事をセーブする、子どもを預け一人の時間をつくるなど

■貧血がないかチェックし、貧血であれば鉄分の補充を

鉄の不足とPMS発症には関係があるとみられています。だるくて体が動かない、頭がぼーっとするなど鉄不足が疑われる場合は改善を。

■適度な有酸素運動で気分転換

■カフェイン、糖分の取りすぎに注意

■喫煙を控える

パパには医師からの説明が有効。具体的にお願いを

女性は月経に影響を受けやすいと身をもって知っていますが、ラクになる方法の認知度はまだ低く、“我慢するもの”と思っている人も少なくありません。男性の立場では、知らない、わからない人が多いのはなおさらのこと。

ママがなぜイライラするのかわからず、パパも戸惑っているかもしれません。

わからなくてもしかたがないままにせず、“不調が起こること”をパパに知ってもらいましょう。これから先、一緒に子育てをしていくためには必要なことです。夫婦ゲンカにならないために、夫側にも対処ができるようにしてもらいたいですよね。

「ママが説明をして、パパに理解してもらうのは難しい場合もあるかもしれません。そういうときは、できれば一緒に診察にきてもらい、医師から説明してもらうのが理想的。その上で、PMSが起こる期間にしてほしいことを具体的に伝えてみては。たとえば、『生理の1週間前は夕飯を作るのがつらいから、家族の分を用意してほしい』とか『子どもの相手をしてほしい』というように。『もう少しいたわって』などのぼんやりした言い方では伝わらない可能性もあります」(小野先生)

また、育児中、必要なときにきちんとサポートをしてもらえた人は、そうでない人と比べると産後のPMSが軽度だったというデータもあるのだとか。PMSは子育てや生活の満足度の影響も受けるのではないかと考えられています。

ママがしんどさを一人で抱え込まず、パパに理解してもらうことの大切さがわかります。


監修/小野陽子先生 取材・文/茂木奈穂子、たまごクラブ編集部

「『育児はしんどい』と感じるのは悪いことではありません。それだけ頑張っているということ。産後のPMSをサーフィンにたとえるなら、片手に家事や仕事、反対の手に赤ちゃんを抱え、荒波にのっているようなもの。せめて大波をおだやかな凪(なぎ)の状態にしませんか。そのために医療や家族、家事代行や育児サポートの手を借りてくださいね」と小野先生。

赤ちゃんの笑顔のためにも、ママも笑顔でいられるようにしたいですね。

※掲載している情報は2022年2月現在のものです。

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