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0歳で発表会、イメトレで金メダル、たくさんの語りかけ… 池江璃花子選手を強くした「本番力」の育て方

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池江璃花子選手が小3の時に描いた「オリンピック優勝」の絵

2021年7月、白血病からの復活を果たして東京2020オリンピックに出場した競泳の池江璃花子選手。困難が立ちはだかっても決してあきらめずに前に進もうとする強い心は、どのような環境で育まれたのでしょうか。

璃花子選手の母・美由紀さんは、30年近く幼児教室を営みながら、ひとり親で3人の子どもを育ててきました。今回は美由紀さんに、育児の中で心がけてきたことや、教室での取り組みなど、「池江式教育法」についてお聞きしました。

~特集「たまひよ 家族を考える」では、妊娠・育児をとりまくさまざまな事象を、できるだけわかりやすくお届けし、少しでも子育てしやすい社会になるようなヒントを探したいと考えています~

赤ちゃん時代からの「楽しい!」の積み重ねで本番に強くなれる

池江美由紀さん

――昨年11月に出版された「あきらめない『強い心』をもつために」(アスコム)には、末っ子の璃花子さんら3人のお子さんの子育てについてのエピソードが書かれています。美由紀さんが子育ての中で特に意識してきたのは、どんなことでしょうか?

美由紀さん まず、愛情のこもった語りかけを意識していました。一番上の長女は今年29歳になりますが、初めての子どもだったので、生まれた時から“この世界に関する塗り絵を1ページずつ丁寧に塗っていく”ように話しかけていました。例えば、ただあやしながら家までの道を歩くだけでなく、「電車が通っているね」「あれは黄色い電車だから、総武線だね」など、目に見えるいろいろなものを一つ一つ語りかけていたのを覚えています。ちなみに璃花子の時はお兄ちゃんもお姉ちゃんもいて、周りがたくさん話しかけてくれたので、環境が整っていましたね。

 私が経営している幼児教室で以前、1人のお母さんが赤ちゃんを連れて教室に入る前に、しばらく立ち止まっていたのが印象的でした。「どうしたのかな」と思っていると、お母さんは玄関に生けていたチューリップを指さしながら「いい匂いがするかな?」「何本あるのかな?」「チューリップって春に咲くんだよ」などと、とても丁寧に話しかけていたんです。そのせいか、そのお子さんは発語がとても早かったですね。

――璃花子さんも、美由紀さんの経営する幼児教室に幼い頃からずっと通っていたそうですね。

美由紀さん 璃花子は0歳から教室に通っていました。教室で行ってきた取り組みの一つが、「本番力をつける」というものです。子どもたちが1人1人、家庭で取り組んできたことをみんなの前で発表して、「よくできたね!」と褒めてモチベーションを持たせて、また次の取り組みをしてもらうんです。30年間幼児教室を続けてきましたが、発表の場などを通して本番力が育った子どもたちは、その後いろいろな方面で生き生きと自分の希望する道に進んでいます。

――本番力とは、どういうものでしょうか。

美由紀さん 人間には、顕在能力と潜在能力があります。顕在能力は表に出ている能力で、潜在能力は、たくさんの練習経験など、顕在能力の土台になるものです。実は潜在能力のほうが9割を占めていて、氷山でいえば海面の下にもぐっている大部分です。わずかな顕在能力の部分で勝負するのではなくて、潜在能力で培った部分をここぞという時にバーンと出すのが本番力です。

 璃花子は水泳もそうですが、練習の時にはそこまで期待できるような感じではないのですが、本番になるとびっくりするような成果を上げることが子どもの時からたくさんありました。日本人は謙虚な民族性なためか、どんなに実力がある人でも、緊張や不安におそわれて本番でなかなか力を発揮できない人がいます。でも、物心がつく前から「みんなの前で披露するのは楽しいことなんだ」「みんなに見てもらえる素敵な時間なんだ」という環境を作ってあげられたのが良かったのかなと思います。

イメージトレーニングで夢が現実に!

――私たちが普段の育児の中で本番力をつけるには、どうすればいいでしょうか。

美由紀さん 本番力のベースとなるのは、イメージトレーニングです。璃花子が以前出演させていただいたCMで、小さい頃の映像が流れたのを覚えている方もいるかもしれません。部屋の中で璃花子が台の上に乗り、「1コース、池江璃花子さん」「はい!」と試合で水の中に飛び込むイメージをしていました。ああいう「ごっこ遊び」などで、小さい時からたくさんそして、リアルにイメージをするのがいいと思います。

 人間って、リアルにたくさんイメージしたことは、本番でも同じようにできるようになるものです。璃花子は小学3年生の頃には、「将来自分のなりたいものをイメージして、見えたものを絵に描く」という課題に、金メダルをかけて表彰台に立っている絵を描いていました(編集部注:本記事冒頭の絵)。将来の夢をイメージするトレーニングを何度もしているうちに、だんだん自分の中に刷り込まれて、イメージした通りになっていきます。そうすることで潜在能力の引き出しの中にたくさんのことが収まっていき、本番で力を発揮する場面で実現するのです。

――子どもにぜひ身につけてほしい能力ですね。

美由紀さん そうですね。私が長年の子育てで、そして幼児教室を運営する中で「大切なことを1つ選べ」と言われたら、「強い心」だと答えます。先ほどお話しした本番力やイメージ力も、強い心を育む大切な要素です。強い心さえあれば、どんなに困難なことがあっても自力で解決していけます。

 それには、やはり普段の家庭での生活から、いろいろな学びを得ることが一番大切です。時には子どもが失敗するのを見守らなければいけないこともあります。例えば、水をこぼしそうな場面で、あえて手を出さずに水をこぼすのを見守る。そして、自分で拭き掃除をさせて「失敗するとこうなるんだ」と体験させることも、大事な学びの一つです。

失敗しても大丈夫!親はどっしり構えて

――璃花子さんは優れた水泳の才能で順調に頭角を現してきたイメージがあるのですが、そこに至るまでの過程にはいろいろな失敗もあったのでしょうか。

美由紀さん もちろんです。ただ、失敗しても、完璧にできなくても、親としては「大丈夫!」「また次があるよ!」と声をかけて、チャレンジ精神をつぶさないようにしてきました。これまで水泳のことについて、どんな結果であっても私が否定的なことを言ったことは一度もありません。また、璃花子は3歳から水泳を始めて、4歳から大会にも出ていたのですが、当時から「親から離れて寂しい思いをするんじゃないか」「不安なんじゃないか」と考えるよりも、「絶対できるし、楽しいからやってごらん!」と背中を押していました。周りの人から見たら「そんなに小さいのに大会は無茶なんじゃない?」などと思ったかもしれませんが、私が全てのリスクを引き受ける覚悟で経験させてきました。

 たとえ失敗を経験しても、親の言葉かけ一つで良い成長につながるはずです。「ほら、やっぱり失敗した」「不安だったね、やらなければよかったね」ではなく、「すごいね、不安だったけどできるなんて、本当にあなたはすばらしいね!」と声をかけたほうが、また今度チャレンジしてみようという気持ちになります。マイナスな言葉かけをせず、伸びることができた部分をたくさん褒めてあげるようにすると、自己肯定感がどんどん育っていき、強い心を形づくっていくはずです。

「どんな子どもも、生まれた時はみんな一緒。豊かな刺激や環境を与えてあげたいですね」という美由紀さん。璃花子さんの果敢なチャレンジ精神は、母である美由紀さんの働きかけに後押しされたものでした。次回は過去の闘病生活や、東京2020オリンピック出場について話を聞きます。

池江美由紀さん(プロフィール)

3人(長女、長男、次女)の子育てをしながら、幼児教室の講師兼経営者を務める。次女が小学校に上がるころに離婚し、ひとり親で3人を育てる。1995年、子どものための能力開発教室を開校。約30年間、子どもたちの指導に携わってきた。現在も講師として教室のクラスを受けもち、子どもの才能を引き出し、本番力、人間力、何があってもあきらめない強い心を育む指導をしている。同時に、教室に通う子どもの親の子育て相談や指導を数多く行う。また、長年の経験に基づいた講演活動も行う。東京経営短期大学こども教育学科特別講師。EQWELチャイルドアカデミー本八幡教室代表・講師。著書に『あきらめない「強い心」をもつために』(アスコム刊)がある。公式サイト https://ikee-miyuki.com/

(取材・文 武田純子)

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