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【小児科医リレーエッセイ 39】 「弧育て」にさよならを! 子育て世代に途切れない支援について考える

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赤ちゃんを抱くアジアの家族
※写真はイメージです
kazuma seki/gettyimages

「日本外来小児科学会リーフレット検討会」の先生方から、子育てに向き合っているお母さん・お父さんへの情報をお届けしている連載です。今回は、三重県亀山市・落合小児科医院院長の落合仁先生です。落合先生は「赤ちゃんが誕生し、毎日育児に奮闘していたり、転入・転出で見知らぬ土地で悪戦苦闘の日々を送っているお母さん・お父さんにお伝えしたいことがあります」と言います。

友人が多いほど病気になりにくく長生きする

私たち人類は人と人とのつき合いを通していろいろなことを学びながら生きてきました。イギリスの進化心理学者ロビン・ダンバーは「なぜ私たちは友だちをつくるのか(青土社/吉嶺英美訳)」の中で、友人が多いほど病気になりにくく長生きする可能性が高いと述べています。アメリカの心理学者ジュリアン・ホルト・ランスタッドは、30万人超の調査を基にした研究結果で社会的な交流やサポートの機会が多いほど生き延びる可能性が最大50%高くなると報告しています。私たちが生活していく上で友人を持つことの大切さを知ることができます。
近年、妊娠~出産~育児を途切れなく支援することが子育て支援のみならず、少子化対策や貧困対策として求められています。子育て世代に対する途切れない支援ということはありがたいことですが、私たちが住んでいる街ではどうなっているのでしょうか。

安心して子育てできる体制を利用しよう

出産後の行政サービスとかかりつけ医の話をします。
国の法律で成育基本法という子育て世代を支援する法律が2019年に施行され、法律に基づき全国どこの地域にも「子育て世代包括支援センター」という相談支援のワンストップ拠点が設置されました。産まれる前から就学・成人に向け安心して子育てができる地域をつくる体制が構築されてきています。このしくみを使わない手はありません。近年、全国で少子化の進行により地域で子育てを支える機能が低下し「孤育て」という言葉を使われるようになってきました。具体的に産後1カ月から2カ月はお母さんは精神的に不安定な時期に入ります。この時期に産後1カ月健診と新生児の健診という不安を話せる場がありますが、それ以外に行政が実施している「こんにちは赤ちゃん事業」があります。訪問される保健師・看護師などの専門職の方に話してみると、地域での支援体制を知ることができ、だれに相談するといいのかも教えてもらえます。

かかりつけ医との出会い

2カ月になると6カ月ころまで毎月定期的に予防接種を受けることになっており、かかりつけ医との出会いが始まります。この間に3~4カ月健診・6~7カ月健診・9~10カ月健診の乳幼児健診も実施されます。生まれてから健康な赤ちゃんも、必ずかかりつけの医療機関を受診する機会が何回かあります。健診時は、発達以外に育児等の相談をする場でもあります。未就園期間は子育ての見守り、支援をかかりつけ医の先生が補ってくれます。心配事などメモ用紙に書いて渡してもらうことも一つの方法です。
現在みられる「孤育て」は、社会環境の変化と時代の流れであり、今すぐ30年前の社会に戻ることはできません。しかし、未就園期間はかかりつけ医の先生がそばにいます。集団保育が始まると毎日の子どもさんの状況を送り迎えの際、保護者と園でも短いながらのやり取りができ、子育ての見守り支援の幅がひろがります。地域で子育てを幅広く支援する体制が現在整備されつつありますが、当事者の保護者の方にとってはどこに相談したらいいのか迷うことが多く「孤育て」に陥っている場合が見受けられます。
子育て幅を広くするにはかかりつけ医・保育園・幼稚園で出会う人たちと顔見知りになるのがいちばんの近道です。自分から話しかけられないからと悩む方もいると思いますが、ひと言あいさつを交わすことが第一歩になります。みなさん「こんにちは」のあいさつから始めましょう。

ママ友との関係とかかわり

公的機関利用による相談以外に近所にいるママ友の存在も大きいですね。ママ友は、困った時に助けてもらえる心強い存在である反面、家庭環境や価値観の違いなどから交流にストレスを感じる人も少なくありません。専門家は「無理なくつき合える関係が大切」とアドバイスしています。ひと口に「ママ」と言っても、年齢や収入、働いているか専業主婦かなど家庭環境や価値観はそれぞれ異なるにもかかわらず、「子どものために」と思うとつき合わざるを得ないのがママ友の難しさといわれます。たとえば、金銭的に余裕がない中でランチに誘われた場合。本当は嫌なのに、子どもが取り残されることがないよう行くしかなかったといった経験をした人は少なくないでしょう。交流サイト(SNS)でほかのママ友たちが一緒に出かけたり、集まったりしたという投稿を見て落ち込む場合もあります。加えて、コロナ禍で行動が制限され、大人同士の付き合いが近くのママ友だけという人も多く、自分を取り巻く世界が狭まる中、ストレスがたまるのは当然です。

密な関係は今だけ

ママ友との関係に悩んだ場合「自分を客観的に見る」ことです。たとえば、10年後から見た「今」を意識してみます。ママ友とのつき合いが密なのは、子どもが小さいうちだけ。しだいに子ども同士で遊んだり出かけたりする機会が増えます。長く続く関係ではないと理解できれば無理をする必要はないことがわかります。その上で誘われて応じるのは2回に1回、または3回に1回だけなど負担にならないつき合い方を探ればいいと思います。ママ友づくりが苦手な人もいます。何を話せばいいかわからず、母親たちの輪の中に入れなかったりします。コミュニケーションのコツは相手が共感してくれそうな話を自分からしてみることだと思います。子育ての大変さや困っていること、そうした話題を「ストック」としてためておくと会話が続きやすいと思います。

身近な配偶者は大きな味方です

お母さんがママ友関係で悩んでいる場合、配偶者が真剣に話を聞き、共感してもらえることがいちばんです。だめなのは「嫌ならつき合わなければいい」などと簡単に突き放すことです。それができないから本人は悩んでいます。解決策を示そうとするのではなく、どうすれば妻の気持ちが楽になるか、TVを消して普段の何気ない会話に耳を傾けてあげてください。一緒に考える姿勢が大事ですね。このことをもう一度配偶者と話してみましょう。

ぜひ、子育て世代包括支援センターとはどんなところか一度、市町村のホームページをのぞいてみてください。地域で子どもたちや保護者の方にどのように向き合っているかわかるはずです。決してお母さんが「孤育て」に陥らないよう社会はその体制を整えようとしています。また、身近に話せるお友だちがいることも重要であることに気づいていただきたくペンを取りました。

文/落合仁(おちあいひとし)先生

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