心身が少しづつ「静」から「動」へと変化する娘の1才の成長に喜び【フリーアナ・登坂淳一】
現在50才で、1才を迎えた娘さんのパパでもあるフリーアナウンサーの登坂淳一さん。この連載では、娘さんとの育児の様子や、夫として・パパとしての思いなどを登坂さんの本人の言葉でつづってもらいます。連載7回目となる今回のテーマは、娘さんが1才になって思うこと。パパになってこの1年で、どんな変化があったのでしょうか。
「登坂パパ50才 家族ファースト主義」第7回
「抱っこして」と意志表示する行動が。成長に驚きを感じる
その姿を見ていて、「一心不乱に」という表現がぴったりだなと思いました。それは、娘が両ひざをつき、足を外へ、内へと動かし続ける姿のことです。ベッドの柵や、椅子の脚、時には私の下腿(かたい)につかまりながら、足と腰を動かし続けるのです。汗だくになりながらも、こちらが止めなければ、おそらく30分は続きそうな雰囲気なのです。妻は「股関節(こかんせつ)運動」と名づけています。
11カ月を過ぎたころから、はいはいのスピードが速くなったと思い、娘の動きを見てみると、手と足の動きがスムーズに連動していて、さらに声を出しながら、顔を前に向け、私のところやってくると、ひざ立ちして「抱っこ」とばかりに両手を上げます。私は驚きました。娘の意思が行動となって表れていることがわかったからです。自分の興味あるものを見つけ、そこへ向かって動く時と、明らかに違っていました。もう一つ意思が感じられるのは、「足」をもっと動かしたいという好奇心です。抱っこから降ろそうとすると、最近は両足に力を入れピンと伸ばして床に立とうとします。立つ、そして歩くという娘を見た時、どのようなことを感じるのだろうか。その日を楽しみに待ちたいと思います。
まわりの人も笑顔にする子どものパワーを実感
季節が巡りまた春になり、娘は1才を迎えました。初めての誕生日は記念の写真を撮り、手作りのケーキでお祝い。夫婦でいろいろ考えた末、割とシンプルなところに落ち着きました。
娘は生まれてから、この1年で身長が20㎝以上伸び、ミルクを離乳し、ごはんやパンも大人と同じように食べられるようになりました。人の成長に実際に接してみると、驚きと発見の連続だということを、私も初めて体験しました。娘を撮った動画や写真を見返してみると、心身が少しずつ「静」から「動」へと前進しているさまがあらためてわかります。そして、その時の娘に対し自分がどんなことを感じ、考えていたのか、何度も思い返しては成長を喜んでいます。
コロナ禍で生まれた娘は、お散歩に連れていく時も、広くて混雑していない公園や、街中を通り過ぎるだけということが多く、同じ月齢の赤ちゃんと接する機会はありませんでした。離乳食が始まってから、レストランに連れていくと、初めて見るものに興味津々で、好奇心でテンションが上がっているのがよくわかりました。笑顔を向けられると娘は満面の笑みを返します。大人たちは「かわいい」と声を出し喜んでくれます。その姿を見て娘はさらに笑います。親の私だけではなく、まわりの人も楽しく和やかにする、子どものパワーはすごいものだと実感します。こうした“小さな幸せ“を大切にしていきたいと心から思います。
幼少期に好奇心をはぐくむ体験をプレゼントしたい
1年前と比べて、私自身は、このコラムのタイトル通り「家族ファースト」になりました。娘の健診や妻の所用など家族の予定を把握して、自分の仕事のスケジュールと調整したり、家では、食事、入浴、寝かしつけなど娘のペースに合わせるようになりました。このコラムを書いている今も、娘の寝かしつけで中断しました。家族のためにできることは何かと考え、できる限り一緒に過ごす時間をつくり、家族で共有する記憶を増やしていきたいと考えています。
私たち夫婦は、旅行が好きですが、コロナ禍で注意を要する状況が続いています。今すぐではなくても、そこまで遠くはない将来に、家族でいろいろな場所に旅行に出かけ、娘に自分で見て、感じて、知るという体験をさせてあげたいと考えています。幼少期に、好奇心をはぐくむ経験を少しでもプレゼントしたいと願っています。こう考え出すと、あれもこれもと欲張りになりそうですが、娘の1才の1年間も、とにもかくにも、健やかであることが最大の願いです。
文・写真提供/登坂淳一さん 構成/ひよこクラブ編集部
家族との時間を何より大切にし、小さな幸せを感じながら、娘さんの成長を見守る登坂さんの様子に、深い愛情を感じます。次回も登坂さんのパパ目線での子育てを紹介します。お楽しみに!
登坂淳一さん(とさかじゅんいち)
PROFILE
1971年生まれ、東京都出身。1997年NHK入局、初任地は和歌山放送局。
その後、2003年からは東京アナウンス室へ異動し「おはよう日本」などを担当。35才で白髪染めを中止し話題になる。2018年にNHKを退社し、現在はフリーとして活動し、オフィシャルブログ『白髪のパパ』オフィシャルブログ『白髪のパパ』で子育ての様子を発信している。