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<注意!>マスク生活で増えている子どものある特徴。むし歯や健康に悪影響を及ぼすことも…【専門家】

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歯医者の治療を受けている小さな女の子
※写真はイメージです
maroke/gettyimages

新型コロナウイルスの感染拡大により、2才以上の子どももマスク着用での生活シーンが増えたこともありました。感染症対策でのマスク着用により、子どものお口の発達面で弊害になったことはないのでしょうか。マスクの着用で心配される子どもの口の健康のことや、歯が生え始める前から歯科健診が大切な理由について、こどもと女性の歯科クリニック院長 岡井有子先生に話を聞きました。

歯医者さんは楽しいところ、という経験が大切

――子どもの歯と口の健康のために、いつごろから歯医者さんに通うといいでしょうか?

岡井先生(以下敬称略) 歯が生え始めたころ(6~9カ月ごろ)から、お口の中のチェックとむし歯予防のアドバイスをもらいに行くと安心です。私のクリニックでは、早い子は生後1カ月ころから来てくれます。早くから歯医者さんにかかるメリットは、楽しい場所というイメージがつくことです。治療はなく歯のチェックをして、りんご味のフッ素などを塗る楽しいところ、という経験があれば、たとえばむし歯になっても怖いところじゃないよとわかると通いやすいし、治療もしやすくなります。

多いのは、1才6カ月の乳幼児健診が終わったころからむし歯が見つかって来てくれるケースですが、いきなりむし歯治療から始まるのは子どもにとってはちょっとつらいかもしれません。歯医者さんって楽しいところだよ、という感じで通い慣れておくのがいいと思います。

――どのくらいのペースで健診を受けるといいですか?

岡井 3カ月に1回くらいのペースでチェックしてもらうといいでしょう。歯科で使用する高濃度のフッ素は3カ月に1回しか塗布できないので、3カ月くらいが定期健診のペースだと思います。ただ、初期の白っぽい感じのむし歯は3カ月ほうっておくと大きくなってしまうので、むし歯かな、と気になったらすぐに受診しましょう。

また、歯医者さんでは、歯にピンクや紫色の染色液を塗って染め出してもらい、どこに磨き残しがあるかチェックしてみましょう。どこが磨けていないかが一目瞭然(りょうぜん)ですし、磨きにくい場所を上手に磨ける方法を教えてもらうといいでしょう。親は仕上げ磨きの参考になりますし、子ども自身も、早い子だと2才くらいなら、自分で歯磨きの練習ができます。

マスク生活で気になる子どものお口の健康

――新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2才以上の子どももマスクを着用することが増えました。この2〜3年で、子どもの口の健康について問題になっていることはありますか?

岡井先生(以下敬称略) マスク生活で“お口ぽかん(口呼吸)”の子が増えていると感じています。マスクをつけていると息苦しいですよね。外遊びのときもマスクをする子が多いですが、走ったりすると余計に鼻で呼吸しにくいので、口呼吸がくせになっている子が増えています。
また、マスクのゴムのせいで耳の後ろの筋肉が緊張することも影響します。耳の後ろの筋肉は、舌のつけ根にある舌骨(ぜっこつ)につながっています。耳の後ろ筋肉の緊張によって、舌骨が後ろの方に引っ張られて下方向に下がると、同時に舌も下あごも下方向へ引っ張られ、口がぽかんと開いてしまうのです。

口呼吸を続けていると、むし歯になりやすくなる、歯並びが悪くなる、風邪をひきやすくなる、鼻がつまりやすい、など、健康面で悪影響が出る可能性もあるので、注意が必要です。

――コロナ禍での生活習慣の変化などは影響はありますか?

岡井 コロナ禍で子どもの運動の機会が減ったことも口の健康に影響すると考えています。これは私自身の息子で実感したことですが、8才の息子はコロナ前は歯と歯の間にすき間があったんです。それが、保育園が一斉休園になって家にいる時間が増えたら、いつの間にか歯と歯のスペースが縮まってしまっていました。口の中が小さくなって、姿勢も悪くなっていたんです。

――運動をすることがお口の発達にも影響するんですね。

岡井 そうです。保育園や学校に行けば体を動かしたり、お友だちと話したりもしますよね。子どもは遊んだり体を動かすと、首や肩まわりの筋緊張が取れますし、お友だちとお話しすると口まわりの緊張も緩みます。
ですが、ずっと家にいて体を動かさずにいると、首や肩まわりがかたくなってきてしまいます。耳の後ろの筋肉と同様に、首や肩の筋肉も舌骨につながっていますので、首や肩まわりの筋肉がかたくなると、舌骨が下がり、舌も下あごも下方向へ引っ張られて、お口ぽかんにつながってしまうんです。
子どもにとって、保育園や学校に行って少し体を動かすことが大事だと実感しました。

口呼吸に気づいたら、口や首や肩のマッサージを

――子どもが「よく口が開いているな」と気づいたらどのように対処するといいでしょうか。

岡井 マスク生活にかかわらず、抱っこの姿勢などの影響で低月齢のころから口呼吸がくせになってしまっている子はいます。赤ちゃんが口呼吸をしていると気づいたら、寝ているときや抱っこの姿勢を注意してみてください。抱っこやねんねのときに首が反ってしまっていると、首の後ろの筋肉が緊張して、舌の位置が下がってお口ぽかんになってしまっています。首の後ろや肩を、ママやパパの体温で温めてあげながら、毎日優しくさするようにマッサージをしてあげてください。そして、抱っこをするときには、首が反り返らないよう、赤ちゃんの首から背中がまあるくCカーブを描くような形で抱っこしてあげましょう。

言葉がわかる年齢なら、「お口をふさいで、お鼻で『ふん、ふん』とするんだよ」と鼻呼吸のしかたを一緒に練習してあげましょう。もし頻繁に舌を出したり、指を吸ったり、という症状が気になるときには、お口の健康についてもトータルで見てもらう意味でも、早めに小児歯科を受診するといいと思います。

お話・監修/岡井有子先生

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

子どもの口呼吸は単なるくせではなく、歯並びや健康面に悪影響が出てしまうことも。就学前の子どもは、密でない場所や屋外ではマスクをはずす、適度に運動をするなどして、首の後ろや肩まわりがかたくならないようにしてあげることは、子どもの口の健康にとっても大切なようです。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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