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「子どものことば」はどうやって発達する?専門家が注目する発語より大切な2つのポイント

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母は彼女の赤ちゃんを養う
※写真はイメージです
yamasan/gettyimages

「うちの子、なかなかことばが出ない…」と感じたとき、専門家に相談したほうがいいのか、様子を見たほうがいいのか迷うママやパパも多いでしょう。こうざと矯正歯科クリニックの「ことばのきょうしつ」で診療を行う言語聴覚士 山田有紀先生は、「1歳ころにことばが出ていなくても、コミュニケーションが取れていれば様子を見ていい」と言います。生まれてからおしゃべりが始まるまでの、子どものことばの発達の流れについて山田先生に聞きました。

発語の数よりコミュニケーションが取れているかが大切

――そもそも赤ちゃんはどんなふうにことばを学んでお話ができるようになっていくのでしょうか?

山田先生(以下敬称略) ことばには『1.コミュニケーション』『2.理解』『3.発話』の3つの要素があります。
生まれてすぐの赤ちゃんは「おむつがぬれた」「おなかがすいた」の不快な状態を泣くことで身近な大人に知らせます。初めは大人を呼びたいわけではなく気持ちが悪いことを表現するために泣いていますが、親が赤ちゃんの泣き声をキャッチして応えてあげることで、「泣いたら来てくれる」「快適になる」というのがわかってきます。すると、自分が不快なとき、何かしてほしいときに泣いたり声を出したりして人を呼ぶようになってきます。これが『コミュニケーション』の始まりです。

生後2カ月を過ぎるころからは泣くだけではなく、意図的に「あー」「くー」などの発声をするようになります。これを“クーイング”と言います。
さらに生後3〜4カ月ころから子音と母音を組み合わせた「ぶー(bu)」「だー(da)」といった音が出始めます。これを“喃語(なんご)”と言います。赤ちゃんはこのような声を出して、大人に呼びかけるようになってきます。

また、ママやパパが赤ちゃんに授乳をするとき目を合わせてあげることもコミュニケーション。赤ちゃんは成長に従って、おっぱいやミルクを飲んで、休んで、ちょっとママやパパを見てまた飲む、のような遊び飲みが始まりますね。そのときにママやパパが赤ちゃんの表情や視線をキャッチして見つめ返したり微笑みかけたりしてあげる、このようなことばではないやりとりをノンバーバルコミュニケーションと言いますが、これを繰り返すことでことばの力が育っていきます。

――では、「理解」というのはどのようなことでしょうか。

山田 赤ちゃんが発した声に対して、親のほうが「今、◯◯って言ったね」「◯◯なんだね」と意味をイメージしてキャッチしてあげることがあると思います。そのようなコミュニケーションを繰り返すうち、赤ちゃんは大人のことばの意味をわかり始めます。やがて、一緒に絵本を見て「ワンワンどれ?」と聞くと指をさしたり、「ごみポイしてね」というとごみをごみ箱に入れに行くといった、大人のことばに反応して行動したりする、これが『理解』です。
やがて喃語で出せるようになった音を繰り返し発音して、その意味がわかってきたのちに、1歳ころから「ブーブー」など意味のあることばが少しずつ出てくるようになります。これが『発話』です。

1歳前後で意味のあることばが出ない、と心配するママやパパもいますが、まず大事なのは『1.コミュニケーション』が取れるかどうかと、親の呼びかけを『2.理解』しているかどうか。その2つの様子が見られれば、『3.発話』についてはまだ心配しなくてもいいかなと思います。

やりとりや聞こえなど、子どもの様子を見てあげよう

――1歳ごろにいくつくらい単語を話せたほうがいい、などと気にせず、少し様子を見て大丈夫でしょうか?

山田 そうですね、それよりもコミュニケーションが取れているかを見ることが大切です。人に対して興味があるか、ことばでなくても人に対して何かしらの働きかけをするか。たとえば大人が「ちょうだい」と言ったら「どうぞ」とものを渡してくるとか、「バイバイ」の身ぶりをするかといった、人とやりとりができるかどうかです。それがその後のことばの発達に大きくかかわります。

表情や視線もノンバーバルコミュニケーションです。抱っこ、とせがんで抱っこしたらうれしそう、といったやりとりができていれば、発話がなくても様子を見ていいと思います。

――クーイングや喃語などの声が出ないときには耳の聞こえなどの心配があるのでしょうか?

山田 聴覚障害があるお子さんも、喃語くらいまでは声が出ることもあります。ただその後にほかの人に働きかける手段として喃語を使うということが難しいので、気になるサインとして見たほうがいいかもしれません。喃語がどのくらい出ているかよりも、音に反応するか、人に呼びかけているか、といった様子を見てあげましょう。一方で、しっかり聞こえていても声があまり出ないお子さんもたまにいます。

また、1歳半ごろになって呼んでも振り向かないとか、テレビの音がやけに大きいといった様子が見られるときは、聞こえの問題があるかもしれません。中耳炎などの病気で耳の聞こえが悪いと、ことばの発達にも影響しますので耳鼻科で相談してみるといいでしょう。

親子のスキンシップや遊びの経験がことばの発達に重要

――山田先生は20年以上言語聴覚士として子どものことばの発達を見てきたそうですが、この20年でどんな変化があると感じますか?

山田 最近は家庭環境的にも忙しい家庭が多く、時間もなくてコミュニケーションの機会が少なかっただろうな、という子どもが、4〜5歳になって、ことばが少し遅れていたり、語彙(ごい)力が低かったり、人と会話をすることに慣れていないといったケースは増えてきていると感じます。

また、子ども自身も小さいうちからタブレットなどを使うようになっていますね。小さな画面にばかり没頭していると、ほかの刺激が入ってこないし、一方的に情報を受け取るだけでコミュニケーションがない状態が続いてしまうと、ことばの発達面で影響が出ているのではないか、と現場では感じています。
親や周囲の人と、ことばだけではないやりとりや、スキンシップや、一緒に遊ぶことなどを十分に経験していることがことばの発達には重要です。

――コロナ禍でマスク着用が日常になりつつありますが、保育園や幼稚園などで先生の口元を見ていないことはことばの発達に影響があるのでしょうか?

山田 0〜3歳くらいの子どもは、口元や目の動き、表情や手振りなどを総合して情報を読み取っています。ですが、先生たちがマスクをすると、目しか見えません。目に表情をつけるのはとても難しいですし、情報量が少なく、子どもにとってはわかりにくいでしょう。ことばだけではない、ノンバーバルの部分の理解が進まないと、3歳以降にことばに影響が出てくるのでは、と言われています。
マスク生活以前の3歳児健診に比べて、これからの3歳児健診の方が、もしかしたらことばの遅れを指摘される子が多くなる可能性が出てくるのでは、と心配されています。

お話・監修/山田有紀先生

監修/上里聡先生

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

お友だちの成長と比べて、わが子のことばが遅いかも…と気になることもあるでしょう。大切なのは、ことばの数よりも親子のやりとりができているかなのだそうです。呼びかけの意味を理解し、態度で応えているようであれば、気にしすぎずに少し様子を見てもいいのかもしれません。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

※当記事では“ことば”とひらがな表記にしています

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