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歯磨き中は「のど突き事故」に注意!歯ブラシ事故は後で急変する可能性も。軽くとらえず必ず受診を【小児科医】

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歯を磨く3歳の女の子
●写真はイメージです
kuppa_rock/gettyimages

消費者庁の報告によると、医療機関ネットワーク事業(※)の参画医療機関からは、6歳以下の子どもが歯磨き中に歯ブラシをくわえたまま転倒してのどを突き、口の中に刺さってけがをしたなどの情報が2016年4月から2021年3月末までに 120 件寄せられていると言います。
歯ブラシによるのど突き事故は、時には後遺症が残るような大きな事故につながることもあります。2022年4月に行われた「第125回 日本小児科学会学術集会」で、子どもの歯ブラシ事故について発表した、済生会横浜市南部病院 小児科 川上兼堂先生に、歯ブラシ事故の危険性や防ぐポイントについて話を聞きました。

歯ブラシ事故は、出血の量や傷の深さに関係なく必ず受診を

前述の消費者庁の調べでは、子どもの歯ブラシ事故で通院を必要とする事例は41%(49 件)、入院を必要とする事例が 22%(27件)で全体の約3分の2を占めています。

――子どもの歯ブラシ事故というと、口の中を歯ブラシで少し傷つける程度をイメージするママやパパもいると思うのですが…。

川上先生(以下敬称略)  歯ブラシは先端がとがっていないため、危険という認識がある保護者はほとんどいません。さらに、口の中はけがをして出血しても、比較的すぐに血が止まり、回復が早いです。そのため軽症と思いがちですが、歯ブラシでのどを突いたり、転倒した拍子に歯ブラシが口に刺さったりした場合は、出血の量や傷の深さに関係なく、必ず受診してください。
人間の体で首から上の部分、頭頸部はとても大切なところです。直接脳につながる大切な血管もありますし、口の奥も脳に近接しています。

――出血の量や傷の深さでは、重症度がわからないということでしょうか。

川上 歯ブラシ事故の重症度は、家庭では判断できません。歯ブラシ事故が起きた直後は異常がなくても、時間がたってから顔色が悪くなったり、呼吸がおかしくなったり、ろれつが回らなくなったりするなど急変することもあります。
事故後、遅れて体に麻痺が現れた症例も経験しています。

23年前には、割りばしがのどに刺さり、4歳の男の子が死亡した事故も

歯ブラシ事故は、口の中を傷つける危険性があるだけではありません。時には脳にダメージを与えたり、死亡する危険性もあります。

――歯ブラシ事故とは異なりますが、1999年、盆踊りに行って綿あめを食べていた4歳の男の子が、割りばしをくわえたまま転倒し、のどに刺さって、後日亡くなってしまった事故がありました。司法解剖の結果、折れた割りばしの一部が頭蓋(ずがい)内に残っていたことがわかりました。
歯ブラシ事故でも同様のことが起こる可能性はあるのでしょうか。

川上 この事故は小児科に限らず、医師・救急医療体制に大きな影響を与えた事故でした。のど突き事故に対する認識が代わり、今でも医師の中では大きな影響を与えている事故です。
口腔内は脳につながる大きな血管が近接しています。万一、歯ブラシ事故でこれらの血管が損傷すると、亡くなったり重い後遺症を残すような事故につながりかねません。歯ブラシの長さや刺さった角度によっては、頭蓋内に刺さり脳に達する恐れもあります。

折れた歯ブラシが見つからないときは、必ず医師に報告

川上先生によると、歯ブラシ事故で折れた歯ブラシが見つからないときは「衝撃で、どこかに飛んで行ったのかな?」と安易に考えるのは厳禁。体内に残っている可能性を考えてくださいと言います。

――万一、歯ブラシ事故が起きた場合は、かかりつけの小児科を受診するといいのでしょうか。

川上 診察時間内ならばかかりつけの小児科か耳鼻咽喉科を受診してください。診察時間外のときは、救急外来を受診しましょう。
医師には、歯ブラシ事故が起きた状況を詳しく伝えて、事故の原因となった歯ブラシを持参して見せましょう。歯ブラシが折れてしまい、折れた部分が見つからないときは、必ず医師に伝えてください。

――体内に折れた歯ブラシが残ってしまうこともあるのでしょうか。

川上 刺さった瞬間に歯ブラシが折れたり、ママやパパが刺さった歯ブラシを抜こうとしたときに折れて、体内に歯ブラシが残ってしまうことは珍しくありません。
日本小児科学会の傷害速報では、次のような事故事例も報告されています。

折れた歯ブラシ片が頸椎付近に残り、全身麻酔で摘出

2012年1月、4歳の男の子が夕食後、洗面所で歯磨きをしていた。ママが居間に移動したため、男の子も後をついて居間へ。1人用のソファの袖の部分に立って歯ブラシをくわえていた。泣き声がしてママが振り向くと、歯ブラシを口にくわえたまま、床にうつぶせになり転倒していた。
男の子をあお向けにしたところ歯ブラシが口の中に突き刺さっており、あわてて歯ブラシを引っ張った。歯ブラシを抜くと先端(約3cm)がなく、口の中にもなかった。#7119に連絡したところ、救急車の要請を指示されて、救急搬送された。
搬送先の小児科で、胸部のレントゲンや腹部のCT画像などを撮って検査をしたが、歯ブラシの先端は見つからず経過観察となった。
翌日、心配になり耳鼻科を受診し、頭部単純CT検査を行ったところ異物を確認。歯ブラシの可能性があるため、救急搬送された。搬送時、男の子の意識ははっきりしており、歩行もでき、気道、呼吸などには異常は認められなかった。
検査の結果、のどに刺さった傷跡があり、また、のどの奥に歯ブラシ片が認められ、全身麻酔で摘出術が行われ、約2.5cmの歯ブラシ片が摘出された。合併症として、強い炎症(膿瘍形成)が認められた。

――事故事例のように、折れた歯ブラシ片が見つからない場合は、再診したほうがいいのでしょうか。

川上 万一、折れた歯ブラシが体内に残っていると合併症を起こすので、必ず小児科か耳鼻咽喉科を再診してください。事故事例の子は、頸椎付近から歯ブラシ片が見つかりましたが、くまなく診ないとわからないこともあります。

歯ブラシ事故を防ぐには、親が見守ることが第一

歯ブラシ事故は、歯を磨くときの環境を見直すことで防ぐことができます。

――事故が起きにくい歯ブラシもあるのでしょうか。

川上 のど突き防止プレートつきの歯ブラシもありますが、のど突き防止プレートがはずれて、口の中に入っていたという事故もあります。
また歯ブラシ自体がやわらかくて、力を加えると曲がるものなどもありますが、基本は歯を磨くときに注意することが大切です。

――どのように注意したらいいのでしょうか。

川上 まずはママやパパには、頭頸部の事故の危険性を認識してほしいです。そのうえで、次の3点を守ってください。
●歯磨きは、必ず座って行う。
●歯磨きの最中は動いたり、ふざけたりしない。動き始めたら終わりにする。
●歯磨き中は、ママ(パパ)がそばで見守る。

前述の日本小児科学会の傷害速報の事故事例も、ママが居間に移動したら、子どもがついてきて事故が起きています。ママやパパが歯磨き中に部屋を移動したり、家事などをすると、事故が起きる可能性は高まります。忙しいときは短い時間で構わないので、子どもが歯を磨いている間は隣で見守ってあげてください。
そして、もし事故が起こってしまったら、しっかり受診をして経過観察をすることを心がけましょう。

お話・監修/川上兼堂先生 協力/公益社団法人 日本小児科学会 消費者庁 取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

「子どもの歯ブラシなんて先端が丸いのに、口の中に刺さったりするの?」と思ったママやパパもいるかも知れません。しかしドラッグストアなどで販売されている一般的な乳幼児用歯ブラシで事故は起きています。川上先生によると「事故でけがをした子を診察していると、つき添いのママやパパは“なんであのとき…”と自分を責めています。1人でも多くのママやパパが、そうした苦しい経験をしないで済むように、歯ブラシ事故を防ぐ対策をとってください」と言います。

※医療機関ネットワーク事業は、参画する医療機関から事故情報を収集し、再発防止にいかすことを目的とした消費者庁と国民生活センターとの共同事業。2010年12月から運用を開始。2021年3月末時点で30機関が参画。

川上兼堂先生(かわかみけんと)

PROFILE
小児科医。済生会横浜市南部病院小児科。横浜市立大学医学部卒業。横浜市立大学附属病院、横浜市立大学附属市民総合医療センターなどでの勤務を経て現職。現在は地域の小児拠点病院の中で、一般外来から救急外来において幅広く診療にあたっている。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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