粗大ゴミを一般家庭でムリヤリ解体するとこうなる【御手洗直子のコマダム日記 #126】
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。
「つっこみが止まらないコマダム日記」#126
今回は粗大ゴミにまつわるお話です。
お金を出した方が安い
父の足が悪かったため、実家での力仕事、高所での作業など全て母と姉妹三人でこなしていた。蛍光管の交換や、家具の移動、簡単な大工仕事や工作などもしていた。その中でもよく手伝わされていたのが家具の破壊である。アイセイイットアゲイン。家具の破壊である。
どういう事かというと、そのまま出すと粗大ゴミ回収料金を徴収されるでかい家具を破壊して普通ゴミに出すという作業である。長さ30㎝を超えるほうきをそのまま出すと粗大ゴミ料金がかかるが、ノコギリで切って出すと普通ゴミで出せるのである。というミッションをわりと頻繁にやっていたのだ。母はわりとムチャをするタイプのアグレッシブ女子だったので私たちはあらゆるものを解体してきたのであった。
まず前述したほうきやすのこ、板の類は簡単でノコギリで切って出せばそれで完了だ。この程度の作業は大抵母が一人でこなしていたため我々姉妹が呼び出されることは無かった。そう、我々が招集される時というのはつまり母一人ではこなしきれない大物の解体作業の時であった。
カラーボックスや本棚の棚板を引っ張って外したり、衣装ケースをノコギリで切って解体したりした。椅子を分解し、机を切り、対象物はどんどんでかくなり最終的にはベッドを解体した。おいおい。
しかしベッドは簡単なのだ。組み立て式の家具は接着剤を使ってない限り引っ張れば結合部が外れるのである。やっかいなのは物量である。部品一辺の長さが長いのでそれを30㎝以下に切らなければならないのだ。しかし私たちは電ノコを使いそれを完遂した。そこまでやんな。たぶん粗大ゴミで出せば2000円くらいだと思うのだが私たちの時給を忘れている。
最終的に。と書いたが解体できたのはベッドまでで、その上にも私たちは解体しようと試みたものがあった。
ピアノである。
一般家庭で!!!
ピアノを!!
解体しようとするな!!!
めちゃくちゃ頑張ったが私たちの技術と電ノコをもってしてもピアノは解体できなかった。なぜかというとピアノは一見木製部分が多いように見えるが内部はほぼ金属でできているからである。そう、あいつ見た目は木だが電ノコで切れないのだ。気付くのが遅い。
さてどうなったかというと、鍵盤蓋や脚注、譜面台など外装だけが切り刻まれ鍵盤が半端に露出された状態で作業は途絶した。金属部が邪魔をしてそれ以上分断できなかったからである。当然普通ゴミに出すこともできずピアノの惨殺死体は庭に放置された。この状態のピアノが庭に放置されてる家こわすぎるだろ。
しばらくの間その亡骸を晒していた我が家のピアノだがいつしかその姿を庭から消し、我々には確固たる教訓を残したのであった。
ピアノは電ノコでは解体できないーーーー。
まあたぶん母が粗大ゴミに出したんだと思うが、最初からそうしとけという話である。我々の努力とは一体。今ならやってみました動画とかになるのかもしれないが、どっちにしろ解体できませんでしたの中途半端クソエンドになるのであった。(おわり)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko