漫画家になりたい君へ…プロ編からのアドバイス!!【御手洗直子のコマダム日記 #139】
一大センセーションを巻き起こした「婚活コミック」著者、御手洗直子さんが結婚して2児の姉妹の母に。あいかわらずのつっこみどころ満載の日々、渾身のひとコママンガ&エッセイでお送りします。
「つっこみが止まらないコマダム日記」#139
今回は学生時代に行った漫画の持ち込みにまつわるお話です。
『何か描いてる?同人誌とか』
前回までのあらすじ…某少年漫画誌の編集部に漫画の持ち込みに行ったら約束していた人ではなく隣で持ち込み新人をボッコボコに罵倒していた人に見てもらうことになった。おそろしい。
そんなわけでおそろしい編集さんに見てもらうことになってしまった。いや、よく考えれば約束に現れなかった担当さんに代わり急遽持ち込みの学生を見てくれることになった編集さんなので優しくありがたくすばらしい存在なのである。いやでもだってこえーよ『ただの君の自己満足で誰もこんな漫画読まないよ』とか言ってたぞこの人。そんなこと言われたら死ぬ。
じゃあ見せて。と言われお願いします。と31ページの完成原稿ともうひと作品違う話のネームを渡し、サッサッとスピーディーに読み進めていく編集さんをハァ~~~~えらいこっちゃという気持ちでハラハラと待っていると全てを読み終わり、トントンと原稿とネームを揃えて机に置いたところで編集さんが口を開いた。
『絵が上手だけど、何か描いてる?同人誌とか。』
めちゃくちゃドストレートである。そのまんますぎて口から胃が出るかと思った。正直に言った方がいいのか嘘をついてでも避けた方がいいのかわからなかったのだが『ア”ッ…!ハイ!描いてます!』と一応正直に答えた。(ジャンルはコナンとか封神演義とかです!)とか死ぬほど余計な補足をしそうになりながらギリギリの所で耐えた。よく耐えた。編集さんも活動ジャンルを聞かされても困惑であろう。
『絵は上手だけど』という褒め言葉から始まった批評であるが、『どっちのお話もね、『この人』が主人公である理由がわからないんだよね。』ということを丁寧に説明された。めちゃくちゃ簡単に言うと『キャラが弱い』という話である。『絶対にこのキャラじゃないとダメな主人公がいて、お話はそれに合わせてついてくる感じ』『とにかくキャラがよくないとダメ』『キャラを好きになればどんなに話がつまらなくてもみんな読む』というめちゃくちゃためになるお話を聞かせていただいた。
『あなたもさ、同人誌を描いてる理由って誰か好きなキャラがいてそのキャラを描きたいから描いてるわけでしょ?』
ハハァ~~~~ッ…!その通りでございますゥ~~~~~~同人誌って単語が出てくるたびに後ろ暗さで胃がキュウキュウするんだけどめちゃくちゃためになるなァ。ハイ、ハイ、と相槌を打つことしかできないが編集さんのお話はこんこんと続くのであった。
ちなみにこの連載はたまひよから『マダムのちょっと優雅な日常』というテーマで依頼されている。ごめんなさいたまひよ。(つづく)
御手洗直子
Profile pixivで大人気。累計閲覧数1100万を誇る爆笑コミックエッセイスト。なんでそんなにネタ満載人生を・・・という謎の人。既刊に「31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる」「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」(共に新書館)、「腐女子になると、人生こうなる!~底~」(一迅社)、「つっこみが止まらない育児日記」「さらにつっこみが止まらない育児日記」(ベネッセコーポレーション)など。たまひよのサイトで、数話限定公開中。
御手洗直子twitter:@mitarainaoko