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盗撮やSNSの被害から子どもを守るには!? 親の何気ない行動が事件の引き金になることも【専門家】

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公園で一緒に遊ぶ姉妹
●写真はイメージです
maroke/gettyimages

2022年7月、岡山県で医師が子どもたちを盗撮した疑いで再逮捕されました。医師は担当していた中学校の健康診断で、女子生徒5人を盗撮したとして、すでに逮捕・起訴されています。その後の警察の調べで押収されたカメラなどから、小学生を含む児童・生徒約280人分の盗撮とみられる動画が見つかったということです。こうした事件は珍しいことではなく、未就学児をねらった犯行もあります。ママやパパたちは、どのように子どもを守るといいのでしょうか。子どもをねらった犯罪に詳しい、立正大学文学部社会学科教授 小宮信夫先生に話を聞きました。

パパになりすまして子どもを盗撮していれば、周囲からは気づかれにくい

子どもの盗撮というと「自分たちの身のまわりには起こらないのでは?」と人ごとのように思うママやパパもいるかもしれません。しかし盗撮は身近なところで起きています。

「盗撮というとバッグの中に隠しカメラをしかけたりする手口を想像するママやパパもいるかもしれませんが、大抵はスマートフォンで手軽に盗撮します。パパになりすまして、まるでわが子を撮影するかのように、公園のじゃぶじゃぶ池で遊ぶ子どもを撮ったり、すべり台やブランコの前のベンチに座って、子どものスカートの中をねらって撮ったりするというやり方です。
パパになりすましてスマートフォンで撮影していれば、まわりからあやしいとは思われにくいです。またママやパパが、わが子から目を離していれば盗撮はしやすいです」(小宮先生)

もし盗撮を見つけても、その場でママやパパが問い詰めたり、取り押さえたりするのは危険な行為だと、小宮先生は言います。

「盗撮とわかり、警察や警備員がそばにいないときは、子どもとすぐにその場を立ち去りましょう。ママやパパがあやしい行為をした人を問い詰めたり、取り押さえたりすると、逆恨みされることもあります。また万一、ママやパパが勘違いして注意などした場合は、訴訟に発展することもあります。
もし近所の公園などで盗撮されたときは、ママ(パパ)友だちにネットワークなどを使って注意するように呼びかけたほうが犯罪の抑止力になります」(小宮先生)

また過去には、サッカークラブの合宿など、親と離れた場所で盗撮された子もいます。

「夏休みになると、習い事の合宿やサマーキャンプなどに、子どもだけで参加することもあるでしょう。ママやパパは必ず主催団体にどういう人たちがスタッフとして同行するのか、どういう基準でスタッフを選んでいるのか確認してください。もちろん主催団体は、ママやパパが安心するような言葉を並べるでしょうが、そうしたことを確認することが、犯罪の抑止力につながります。子どもをねらう犯罪者は、親にバレて警察に通報されることをいちばん恐れます。
日本は、逮捕歴がある性犯罪者の情報共有などが行われないので、こうした手段で子どもを守るしかないのです。またボランティアとして、保護者が参加しているほうが安心です。保護者の目があるほうが犯罪は起きにくいです」(小宮先生)

SNSに子どもの写真を投稿すると、“ジグソーパズルアプローチ”で個人情報が浮き彫りに

盗撮された子どもの写真は、ママやパパが知らないところで流出したり、売買されることがあります。
しかし盗撮だけでなく、ママやパパが何気なくやっているSNSに子どもの写真を投稿することも、犯罪の入り口になることがあります。

「ブログなど不特定多数の人が見るSNSに子どもの写真を投稿し続けると“ジグソーパズルアプローチ”といって個人情報がだんだん浮き彫りになります。1枚の写真ではわからなくても、ジグソーパズルを完成させるように、2枚、3枚、4枚…と写真を組み合わせて行くと、最寄り駅がわかったり、子どもの通っている幼稚園、保育園がわかったりします。庭で遊ぶ子どもの写真などを投稿すれば、家がわかってしまうこともあります。写真に何気なく写り込んだ電信柱や看板で住所がわかることもあります。“この子、かわいいな”“どこに住んでいるのかな?”と思えば、たやすく調べられるのです。そのため不特定多数の人が閲覧できるように設定しているSNSへの投稿はやめたほうが安心です」(小宮先生)

自爆テロ型犯罪が多発。幸福のシンボルとして子どもがねらわれることも

2019年5月、川崎市で私立カリタス小学校のスクールバスを待っていた子どもたちと大人が、男に次々と刃物で刺された痛ましい事件がありました。この事件では、小6の女の子と別の児童の保護者が亡くなっています。

また2022年2月には東大前の路上で、大学入学共通テストの受験生ら3人を刺した少年(高校生)が逮捕されました。最近、この手の“自爆テロ型犯罪”が増えています。

「自爆テロ型犯罪とは、捕まってもいいと思って振るう暴力です。無差別に行うことが多いですが、前述の二つの事件は、襲う相手はだれでもいいわけではありませんでした。名門私立小学校や大学のブランド力、幸福のシンボルをねらった犯行です。それを壊したかったのでしょう。

2001年6月、大阪教育大学附属池田小学校で殺人事件が起きました。子どもたち8人の命が奪われるという悲しい事件です。のちに犯人は「エリートでインテリの子をたくさん殺せば、確実に死刑になると思った」と供述しています。

悲しいことですが子どもたちは、こうした目で見られて、ねらわれることもあります。また不特定多数に公開されたSNSの投稿から、知らない人に嫉妬や嫌悪感を抱かれて、子どもがねらうこともあるのです。格差社会が広がっている今の世の中では、そうした傾向がより強くなっているのではないかということも心配されます。ママやパパには、SNSの危険性を改めて認識してほしいと思います」(小宮先生)

お話・監修/小宮信夫先生

取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

SNSのトラブルというと、小学生以上の子どもたちや一部の有名人の間で起きている問題のように思っていたママやパパもいるでしょうが、小宮先生によるとママやパパたちも使い方に注意が必要と言います。小宮先生は、YouTubeで子ども向けのアニメーション動画「小宮先生の防犯教室 どうしてスマートフォンはあぶないの?」を公開しています。

小宮先生の防犯教室 どうしてスマートフォンはあぶないの?

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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