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【専門医が検証】産後ママの3割が悩んでいる生理痛。出産後に週1回魚を食べると、生理痛が軽くなる可能性が

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和朝食。
●写真はイメージです
kazoka30/gettyimages

東北大学病院、近畿大学、東北医科薬科大学が共同で行った産後の女性の月経痛(生理痛)の研究によると、週1回以上魚を食べている人は、中等度以上の生理痛になる割合が低い傾向にあることがわかりました。この研究に参加された東北大学病院婦人科学分野助教の横山絵美先生に、研究結果と産後ママにおすすめな魚の食べ方について聞きました。

産後ママの3割程度は、生活に支障が出るような生理痛に悩まされている


生理痛は女性にとって非常に悩ましいもので、生活に大きな影響を与えます。まず、生理痛が起こるメカニズムについて横山先生に聞きました。

「月経が始まる12才ごろから閉経前の45才ごろまでの女性に見られる『月経困難症』は、一般的な婦人科の病気の一つで、月経期間中に起こる病的な状態のこと。月経痛(生理痛)は、月経困難症の症状の一つです。生理痛を感じる期間には個人差がありますが、生理開始の数時間前あるいは開始とともに始まり、48〜72時間続くことが多いです。

生理は、不要となった子宮内膜が子宮からはがれ落ちることで起こり、このとき子宮の組織に傷がつきます。組織が壊されるとアラキドン酸という不飽和脂肪酸が大量に放出され、アラキドン酸は、痛みや発熱を起こす物質の一つであるプロスタグランジンを大量に作りだします。その結果、子宮が強く収縮し、下腹部に強い痛みを感じます。さらに、プロスタグランジンの発痛作用によって頭痛や腰痛なども起こります。これらがいわゆる生理痛です」(横山先生)

今回の研究は、子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の一環として実施され、2011年から2014年にかけて日本で行われたエコチル調査の全データのうち、宮城ユニットセンターに登録された2060人の女性を対象にして行われました。

「産後1年半たった女性の生理痛の重症度を調査しました。生理痛の程度を表すにはいくつかの評価方法がありますが、本研究では『なし』『軽度』『中等度』『重度』の4段階で評価しました。
軽度は仕事(学業や家事を含む)に多少の支障があるもの、中等度は横になって休憩したくなるほど仕事への支障をきたすもの、重度は1日中寝込んでしまい仕事ができないものです。

その結果、
痛みなし375人(18.2%)
軽度1106人(53.7%)
中等度503人(24.4%)
重度76人(3.7%)
となり、3割近くの人に中等度以上の生理痛があることがわかりました」(横山先生)

7割程度の人が痛みなし、軽度と答えていますが、出産後に生理痛が軽くなったという話を聞くことがあります。実際にそのような研究報告があるそうです。

「アイオワ大学看護学部の看護師996人の月経困難症を調査した研究では、妊娠・分娩を経験することにより生理痛が軽くなる傾向にあることが報告されています。私たちも出産後の女性からそのような話を聞くことがよくあります。
しかし、産前と産後の生理の変化のメカニズムについては、実態はまだ明らかにはなっていません。一般的に、年齢の低い人、たばこを吸う人、ストレスが強い人は生理痛が重くなりやすいといわれています」(横山先生)

魚に含まれるDHA、EPA、ビタミンD・Eには生理痛を軽くする可能性が

今回の研究では、産後1年半たった時点で、魚を週1回未満しか食べていない女性の38.0%が中等度以上の生理痛があるのに対し、週1回食べる女性は26.9%、週2~3回の女性は27.8%、週4回以上の女性は23.9%と、中等度以上の生理痛の比率が減ることがわかりました。

「魚に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などのオメガ3脂肪酸には、痛みの原因となるプロスタグランジンを作り出す、アラキドン酸が生成されるのを阻害する働きがあります。
さらに、魚にはビタミンDやEも含まれています。ビタミンDはプロスタグランジンの合成を減少させる働きがあり、抗酸化作用のあるビタミンEは、アラキドン酸の放出を抑える働きがあります。

魚を食べる習慣のある人は、このような魚の栄養素の効果によって、生理痛の程度を軽くできたのだと考えられます」(横山先生)

週1回程度魚を食べることを意識すれば、生理痛軽減の効果が期待できると横山先生は言います。

「今回の調査結果を見ると、週1回魚を食べる習慣がある女性と、週4回食べている女性とでは、そこまで大きな差は出ていません。週1回魚を食べることを習慣にすることで、生理痛への効果が期待できると考えられます。

一方、魚を食べ過ぎると生理痛が悪化するといったデータはありませんが、魚の摂取と産後うつの関係を調べた研究では、魚の摂取量が多すぎると、産後うつに対する魚のよい効果が弱まるというデータはあります。
本研究では、魚の種類や摂取量については調査していないので、それは今後の課題と考えていますが、切り身一切れ分など、1食として食べるのに適した量を1日1回、週1回程度のペースでコンスタントに食事に取り入れるのがいいのではないかと思います」(横山先生)

抗炎症作用が期待されるオメガ3脂肪酸を多く含む魚はいわし、さんま、鮭など脂肪の多い魚で、缶詰などでも効果は得られるそうです。

「育児に忙しくて魚料理を作る時間がない場合は、缶詰やレトルトの魚料理を利用するのもいい方法です。とくに缶詰は生魚と栄養量が変わらないですし、骨つきのものであればカルシウムもとることができます。
日本人の魚離れが進んでいる原因の一つとして、魚は調理に手間がかかることがあげられているので、缶詰やレトルト食品、総菜など、簡単に食べられるものも取り入れながら、無理なく魚を食べる習慣をつけてほしいです」(横山先生)

魚に含まれる水銀が母乳から赤ちゃんに移行することは心配しなくて大丈夫

厚生労働省が2003年に「魚介類に含まれる水銀の摂取に関する注意事項」を出して以来、妊娠中のママは魚の食べ方を注意するようになりました。その影響で、授乳期も魚を食べることをためらうママがいそうです。

「妊娠中のママが高濃度の水銀を摂取することで、赤ちゃんの脳の発達に影響を与える可能性を示す報告がありますので、水銀を多く含む魚を妊娠中に大量に食べることは避けたほうがいいと言えます。
くろまぐろやめばちまぐろなどの大きな魚は比較的水銀濃度が高いので、注意が必要ではありますが、まったく食べてはいけないわけではなく、妊娠中は1回に80g程度で週1回までが目安とされています。いわしや鮭など小さな魚については、妊娠中もとくに制限はありません。

水銀が母乳に移行する量はごく少量で、赤ちゃんへの影響はないと考えられるため、授乳中に魚の摂取量を制限する指針はありません。魚は産後に必要なカルシウムやビタミンなどの栄養素が豊富に含まれているため、むしろ積極的に食べてほしい食材です。
とはいえ、魚ばかり食べるのもNGです。肉や大豆製品、野菜などもバランスよく取りましょう」(横山先生)

魚を週1回食べる以外に、生理痛の緩和に役立つことはあるでしょうか。

「ウオーキングなどの有酸素運動で体内の循環をよくしたり、おなかまわりを温めて血行を促したりすることは、生理痛の緩和に効果的です。また、ストレスは生理痛を重くするといわれているので、ヨガなどでリラックスするもおすすめです。育児の合間に無理なくできることを試してみてください」(横山先生)

育児中のママは、自分の体のことはつい二の次にしがちです。生理痛がつらくて受診する目安を教えてください。

「仕事や家事・育児に支障が出るほど生理痛をつらいと感じるときは、受診してください。生理痛の原因として子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れていないか、きちんと検査することが大切です。生理痛以外に頭痛やイライラなどの症状がある場合も、産婦人科医に相談しましょう。鎮痛剤や漢方薬などを使うと、症状が緩和することがあります。

ママがつらい顔をしていると赤ちゃんも不安になってしまいます。生理痛がつらいときは我慢せず、早めに受診してくださいね」(横山先生)

週1回魚を食卓に取り入れるだけで、生理痛が改善されるなら、試してみたくなりませんか。しかも缶詰でもOKということなので、育児に忙しいママでも無理なく続けられそうです。

取材・文/東裕美、たまひよONLINE編集部

お話・監修/横山絵美先生

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
●この研究は環境省が実施しているエコチル調査の結果を用いて、研究者の責任で行われたものです。

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